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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

雲嶺を越ゆる風

最新エピソード掲載日:2026/06/15
衰え唐帝国を見せるなか、吐蕃は再び国境を越えて侵攻を開始した。

かつてなら、吐蕃の属国である南詔は必ず兵を送り、その軍勢を支えていた。だが今回に限って、援軍は少なく、到着も遅れ、その態度には明らかな迷いがあった。

唐の宰相韋皋(いこう)は、そのためらいを単なる怠慢とは見なさなかった。それは吐蕃と南詔の関係に生じた、わずかな亀裂である。もし南詔の忠誠を揺るがすことができれば、長年唐の辺境を脅かしてきた脅威を、外交上の好機へと変えられるかもしれない。

そこで韋皋は、中級外交官・崔承遠を密かに国境の向こうへ送り出す。華々しい約束ではなく、慎重な言葉と封じられた書簡だけを携えた使者として。

だが、南詔へ至る道は、出発の時点からすでに危険に満ちていた。荒れ果てた辺境、険しい山道、唐の威光など届かぬ部族の地。影には刺客が潜み、街道には盗賊が目を光らせ、敵意ある氏族は通りかかる異邦人を獲物か取引材料として値踏みしていた。
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