『41:「ヒールマスクの引退会見」』
「ヒールマスクさん、引退するにあたって次の目標は何でしょうか?」
「フハハハハ! 愚問だな! ナンバーワンヒーローがやめたらやることなんて決まってる、ゴミ掃除だ!」
「それはつまりヴィランたちを殺すためにヒーローをやめるということですね」
「ハッ! 愚かな奴らよ。俺がマスクを脱いだ後にどうなるか震えて待ってろよ」
ナンバーワンヒーローであるヒールマスクが引退会見はほうぼうに多大な反響を与えた。
あるものはヒールマスクが政界に出るためのパフォーマンスであると論じ、あるものは共にヴィランを殺すために決起を待ち、ヴィランたちは震えて活動の自粛をした。
しかし、その後においてもヒールマスクは表舞台に姿を現すことはなく、数年の月日がたつうちに忘れ去られてしまった。
「すいません、あなたヒールマスクさんだよね?」
「ほう、俺に気づいたか……よくわかったな」
「私はあなたに助けられて憧れて、ヒーローを目指しました」
「なるほど。俺のファンだったか」
「確かにあなたは現役の時に比べると大きく様変わりしましたね……、片手にゴミ袋を持って何を?」
「引退会見の時に言っただろ、ごみ拾いだ。ヒーロー活動に一区切りついたのでな。次は市政で慈善活動をして生きようとおもったのさ」
「……なるほど」
「俺の正体をみんなにばらすかい?」
「いいえ、私はヒーローですから。市民となったあなたを守る義務がある」
「頑張れよ、ヒーロー」
ヒーローは頭を下げて去り、ヒールマスクは再びゴミを拾い、袋にいれた。




