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『40:「みかん」』

「――ひっ……!」

ミカンを食べていると、背筋に悪寒がはしった。

肩が震え、背中が縮んだ。

振り向いてはいけない、と本能が警告し、脂汗が流れた。

固まった筋肉を無理に動かし確認する。


「――っ」

声が漏れるより先に口をおさえた。

今この家には自分しかいないのに、襖の間から何者かがこちらを見ている。

眼球の中には無数の瞳孔が存在し、ぎょろりとこちらを向ていた。


「えいっ」

ミカンの皮をそちらに向けて、押しつぶした。

悲鳴が聞こえ、目がどこかへと消えた。


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