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「魔女姉妹の勝手にレスキュー」(セーラー服と雪女 第20巻)  作者: サナダムシオ


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㉑ 由理子の愛情

「ジャンヌさん、貴女は、多分、イングランド派ではない方の、フランス王室への愛と、キリスト教への宗教愛から、英雄として戦っていたのよね?」


 眼下の名護屋の街並みを見ながら、ふと由理子が語り出した。


「天草四郎の事件も、実は同じキリスト教の中の、別の宗派…確かカトリックとプロテスタント、だっけ?…の争いの、代理戦争の側面があったんだって。おかしな話よね?」


 彼女はコレで合ってるかしら?という顔を鷹志に見せながら、話し続ける。


「因みに、私の愛情は違うのよ。もっともっと、大きなモノを目指しているの。ニンゲンだけじゃなく、イヌやネコやトリや他の生命も、みんな愛で包み込むのよ。もちろん一番は、鷹志だけどね!」


「はあ…。」

「だからジャンヌさんも、これから、色々と考えてみて。大切にするべき事は何なのかって。そして、正しい生き方はどんなモノかって。ごめんなさい。私、口下手だから、こんな事しか言えないわ。」


「ああ、でも、ありがとうございます。私なりに、色々考えてみますね?」


「困った時は、サン・ジェルマン伯爵に相談するとイイよ。彼は聡明で、経験豊かな永遠の35歳だからね。」

 鷹志がそう付け加えた。


「鷹志も相談に乗ってあげなよ。賢いんたから!」

「いや、ボクは、もう、タダのファンだから…えへへ。」

「あ〜締まりの無い顔して!ちょっとジェラシーだわ。」


「いや、コレはあくまでも、尊敬の気持ち…リスペクトだから。誤解しないでよね、ユリちゃん。」

「分かってるけどお〜。」

 そう言いながら、頬を膨らます由理子だった。


 それを見ながら、思わずジャンヌはクスクス笑った。

「あっ、やっと笑顔になった。良かった。」


「アナタはホントに天真爛漫ねえ。因みに歳は、おいくつなの?」

「こう見えても、私は21歳なのです。」

 今日も赤いウィッグを着けた彼女は、メイド服のエプロンをヒラヒラさせながら、そう言った。

「あら、失礼。年上でしたの?」


「イイのイイの。フランクな付き合いで行きましょ?」

「優しくしていただいて、ありがとうございます。」


「もう、堅いんだから。でも600年前の女の子は、みんなこんな感じなのかな?あ、アチラに見えて来たのが、東山スカイタワーでございま〜す。」

 アレコレと、忙しく喋る由理子である。


「不思議ね…。」

 ジャンヌが呟いた。


「由理子、アナタからは邪気というモノを、まったく感じない…。私は、他人の殺気や邪気を感じ取ることが得意なの…でもアナタからはナニも感じない。アナタは、他人に殺気を出す事なんてあるの?」


「…有りますよ。」

 その問いに、何故か鷹志が答えた。

「ボクは、ソレを見た事があります。ナニかが、彼女の逆鱗に触れた時にね。恐ろしい目に遭いますよ。」


「…もう、やめてよ。鷹志ったら。」

「あら、じゃあ、怒らせないように、気をつけなくっちゃ、ですね?」

「アハハハ…。」

 由理子は笑って誤魔化したのだった。


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