第3話
とりあえず、改訂が済んだので投稿します。
第三話〜始末とドタバタ〜
僚也と寧香はハイエルフのセレーネと再会した。
「よかった、生きていてくださったのですね……
10年もの間どこに行っていたのですか?私はとても心配しておりました。」
「「「10年!?」」」
俺たちはあまりの年数の経過に対して少々困惑したが、それを機敏に察知したセレーネは優しく問うてきた。
「あら?10年ですが、それがどうかなさいましたか?」
「えっとね、セレーネ。俺と寧香がバイコーンを倒しに行ったことは覚えてる?」
「もちろんです。御主人たちが留守にしてから今日この時までの出来事は全て覚えております。」
「そうか。俺と寧香はバイコーンを倒したあとログアウトして暫くしたら…………」
俺たちは創造神に会ったことなど、今までの出来事を全てセレーネに話した。
セレーネにもこの10年で何があったのかを尋ねた。
そうして情報を共有し、自分たちがどのような状況にいるのかを確認する為に寧香は思考の海にどっぷりと浸かっている。
かくいう俺も、寧香程ではないが簡単に考えを纏め、考察を重ねる。
そこからわかったことは、創造神がこのゲームの世界を弄った影響からか、プレーヤーは姿を消したこと。
その結果、武器・防具・アイテムなどが質の悪いものばかりになってしまったこと。
今まで安全だった地域も含め大混乱による騒動で階級社会や支配社会に変わってしまったこと。
今までNPCだったキャラクターが自我を持ち、データから命ある生物へと存在そのものが変化し、自発的に動いていること(ゲームではないから当たり前と言えば当たり前だが)
ゲームでの言い方をするなら、粗暴なNPCも含め、プレイヤーの代わりにNPCが増えてしまったという状態も増えてきているということ。
従者だったシュウとネネは国に追われることになり、どこかに身を隠したこと。
国家や都市も改変されたこと。
この『ルーナ』がどの国にも属しておらず、尚且つ、今やこの世界で最強と言っても過言ではないセレーネの力と『ルーナ』の軍事品、資金を手に入れようと様々な国や都市、貴族が勧誘に来ること。
今まではセレーネは店主ではないから答えることはできないと返答を断っていたこと。
それによって力による制圧を試みたが、寧香と僚也が張った結界によって近づく前に無力化されたこと。
ギルドには所属しておいたほうが良いということ。ギルドは資金さえあれば個人で設立もできるということ。
家の方は手をつけていないことなどなど……様々なことを理解した。
一通り聞きたいことを聞き終えた頃、気絶していた騎士たちが目を覚ました。
「うぅ…………一体何が起きたのだ……」
首を抑えながらジマールは起き上がった。
そこにセレーネは騎士たちがギョッとすることを言った。
「あら、あなたとあなたの馬鹿な部下が店主に喧嘩売るからそうなるのよ。
死ななかっただけありがたいと思いなさい?」
「「「「「「「何!?店主だと!?」」」」」」」
「そう、あなたたちがとても会いたがっていたこの『ルーナ』の店主のトモヤとノドカよ。
まぁ実際に動いたのはトモヤだけだったけど…」
「なんと……申し訳なかった!!心よりお詫び申し上げます!!どうか、お許し下さい店主様」
「だそうですよ、御主人。如何しますか?」
少し考えるふりをして寧香に聞いてみた。
「寧香はどうするべきだと思う?」
「私はトモ君の気が済むようにやればいいと思うよ。私の気持ちはさっきの目線でもう伝わってるでしょ?」
「うん、わかった。じゃ、俺の好きなようにする。寧香は先に家の方に行って色々と確認しておいてくれるかな?」
「はぁい。じゃ、トモ君よろしくね。」
そう言って寧香はカウンターの奥の扉を開けて家の方に移っていった。
それを見届けたあと、僚也はセレーネを抱き寄せ、いくつか質問した。
「これ、斬って問題ないかな?」
「一応は騎士なので替えはいくらでもいるかと……」
「じゃ、これ斬ったらどれぐらい影響出るかな?」
「えぇと……どのみち私たちには関係がないのではないですか?
御主人が戻ってきたのでこの家持ち運べますし…」
「それもそうだね。じゃ、これって利用価値ある?」
「……………さぁ?少なくとも私たちのように有能とは思えませんねぇ……」
「そっかぁ。どうしよっかなぁ〜」
こんなやりとりを目の前で見ていたジマールは顔が真っ青になっているが、お構いなしに話は続く。
「五体不満足でも騎士って続けられるの?」
「指導する立場ならば続けることはできたはずですよ。」
「そっかぁ、じゃ最後にセレーネはこれどう思う?」
「……正直5年ほどまとわりついていたので、とても嫌です。気持ち悪いです。気色悪いです。
ですが、決定権は御主人にあるので、私は御主人に従うだけです。」
「……そっか。素直な気持ちを言ってくれてありがと。これは今までのお礼ね。」
そう言って僚也はセレーネに熱いキスをおくる。
キスが終わったあと恍惚とした表情のままセレーネは僚也の後ろに隠れるようにしゃがんだ。
「さて、聞いていたと思うけど、最初の礼を尽くさない態度は正直見逃せないねぇ…
ましてや騎士なら、なおさら……ね。君たちみたいにいきなり抜刀して斬り殺してもいいんだけど……どうする?」
これをきいたジマールは絶望の表情で訴えてきた。
「お願いです、どうか命だけはお助けください。我々の不届きをお許し下さい」
「うぅん……そうだねぇ…じゃぁ、こうしよう。
今から弾が3つ入ったレボルバーを渡す。それを自分で自分の頭に向けて撃ってみる?
確率は2分の1だよ。どうかな?」
「お願いです、お許し下さい。どうか、命だけは、命だけはお許しください。」
「えぇ……全く、騎士ってのは自分の命の方が平民のよりも大事だっていうのか…
丁度いいや、ここ『ルーナ』はどの国にも属さないんだったね。じゃ平民が騎士や貴族を殺してもいいんだね。」
「………………」
「おいおい、何を黙り込んでるんだよ。先に喧嘩売ってきたのはお前らだろうに。
それで、何か?自分の目的としている人物だと知った途端に態度を裏返すってのは如何なもんだ?
え?騎士様よぉ〜。恥を知れよな。さっきも言ったがしっかりとした礼節で相手をもてなせよ。そうすりゃこんなふうにはならなかったろうに。」
「………………」
騎士団たちは誰一人として言葉を発しない。
そんな事は御構い無しに俺は威圧をもって話し続ける。
「セレーネにも迷惑を散々かけたんだろ?俺たちがかけた結界がなかったら今頃死んでたかもしれんのだぞ?
それをどう思うよ?騎士様よぉ?俺は正直お前を殺そうとは思わんが嫌悪はする。
それにセレーネや寧香は殺してほしいみたいだから、無傷ってのは示しがつかん。」
そう言って暫く黙り込んで、威圧たっぷりの間を用意する。
一般人が相手であれば、この威圧感だけで気絶してもおかしくなはいほど脅威を振りまいているが、
騎士団は誰一人として気絶していない姿をみて俺は少し見直そうとしたが、よくみて見ると意識はあるものの朦朧としてこちらの話など耳に入っていないのであろう人が大半であった。
その事に落胆した俺は唯一この威圧に耐えてなお意識を保っている女騎士も一緒に処罰するのは勿体無いと思い、ジマールのみを厳しく処断することにした。
「さて、ここにいる中でもこの威圧に意識を保って耐えている女騎士に免じてジマールの処罰を決定する。
ジマールはここ『ルーナ』から永久追放とする。なお、今までの侵略行為に対する賠償をジマールが今、現在のこの瞬間、所属する国の最高権力者並びに当人に求める事とする。
威圧に耐え抜いた女騎士を除く他の騎士団はこの事実をしかと最高権力者並びに全ての民に知らせよ。
女騎士は……」
とここで俺は思考が少々ピンク色に染まりかけたが、後ろでしゃがんでいる少女の刺すような冷たい視線によってすぐさま邪な考えを捨てた。
「女騎士は先程の威圧に耐えた事に免じて無罪放免並びに女騎士一個人に対して一度に限り『ルーナ』の支援を確約しよう。以上だ。」
「……ハッ、承知いたしました。」
「わかったら、即刻立ち去れぃ!!」
「…………御意、おい皆の者行くぞ」
そう言って騎士たちは渋々ながら去っていった。
が、女騎士だけは俺の側へ近づき連絡手段を受け取っり、一礼してから去って行った。
これで一応かたがつき、『ルーナ』はしばしの平穏を取り戻すのだった。
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騎士たちが去った後、俺とセレーネは店を閉めて家の方に移り、寧香が居る寧香の部屋に集まった。
俺とセレーネを見た寧香はどうなったのか聞いてきたので、ありのまま全て話した。
一通り説明し終えると、三人とも安堵の息をついた。
店では話しにくかったことも三人だけがいる家の中ならば話しても問題はないと判断したセレーネは
先ほどいわなかったヒューマンについて話を始めた。
「たった10年でヒューマンは世界の約4割にまで減少してしまったわ。」
「「「え!?前は6割がヒューマンだったよね?」」」
「そう、10年前はそれだけ多くいたんだけど、御主人たちが行方不明になってからヒューマンに変化が起こった。」
「変化?」
自分はハイヒューマンで男だが、何一つ以前と変わりがないので疑問に思ったが、
それよりもセレーネが素の話し方をしていることに驚いていた。
「生殖機能のある精子を製造できないヒューマンの男性が増えたのよ。けれども見た目は勃起も射精もするから区別がとてもつきにくいの。
ヒューマンの女性は生殖機能のある卵子を製造できない人が増えたの。
どちらも特殊な測定器を使って調べるんだけど、機能がない人は『不能種』と呼ばれ、
機能のある人は『純系』と呼ばれているわ。 今じゃ男の不能種は7割にも及ぶはずよ。残りの3割の人は純系なんだけど、
純系にも『純度』があってランク分けされてるの。」
「「「純度?」」」
「あぁ、『純度』ていうのは純系のレベルって解釈でいいかな。高ければ高いほどその者が供給する精子や卵子のレベルも高いのよ。
つまりは、より妊娠の確率が高まるってことよ。
簡単な例で男性の場合を考えると、不能種や純度が低い人たちがヒューマンの男性の約9割を閉めているから自然とヒューマンの数も減っていったのよ。
純系の人の精子から特殊な性剤を作ることによって不能種も妊娠させる確率は上がるんだけどそこまで高い数値ではないの。
大体、0.0025%が2.125%にあがるぐらいよ。お金を払って性交剤を作るための精子をもらっているのが現状よ。
それと純度のランクなんだけど、IからVまであってそのまま純系の評価に直結するの。
だからレベルが高いほど優秀と評価されて各地で賓客として礼遇されたり、過激な人たちにさらわれたりしているのよ。」
俺たちは純度の差について疑問を持ったため、より詳しく聞いてみた結果、純度はおおよそ次の様に分かれていることがわかった。
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・不能種
生殖機能のない精子しか作れない。妊娠の確率はほぼゼロ
・純度I
一応純系だが不能種と大差はないためあまり重要視されていない。
・純度II
能力は決して高くないが、純度Iよりは高い。重要性は低いが、資金繰りの困難な地方では優遇されることもある。
純系に固有の『特権』が認められる
・純度III
能力はそこそこなため、重要視されることもある。だが、純度は依然として低い。地方では礼遇されるレベル。
純系に固有の『特権』が認められる。
・純度IV
一般に『一流』と呼ばれるレベル。かなりの能力や精子の品質も高く、純度IIIとは印象や重要度が変わってくるが、現存の個体数も少ない。
国によっては貴族と同等かそれ以上の権力を有する。発動できる『特権』も増える。
・純度V
世界最高ランクの至宝と言っても差し支えないレベル。
もし存在すれば一国の命運を左右する鍵になることもある。
使える『特権』も高級で、数も増える。
・純度II以上の純系は純度維持のためアマートルを作ることが世界中で義務づけられている。
・アマートルは専用の指輪をつけることが義務づけられている。
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「「「なるほど、よくわかった。」」」
「それでは説明し終えたところで、御主人の純度を測定していいかしら?」
それを聞いた寧香はギョッとしたが、すぐ寧香とセレーネは計測するためにどちらが僚也をイかせて精子を採取するかもめていた。
それを見ていた僚也は一人で(創造神にVだって言われてたけど……まぁいいや。この状況を楽しもう)などと思っていたり……
結局じゃんけんで勝った寧香が近づいてきた。何故か既に全裸で……
「じゃ、トモ君、一緒に気持ちよくなろっか。」
「ん、いいよ。確か精液だけ瓶に入れればいいんだよね?」
「うん、てことで、他はいつもと同じでいいんじゃないかな?」
「そっか。じゃ……おいで、のんちゃん」
「うん…………」
僚也は寧香を自分が腰掛けているベッドに誘い、セレーネは向かいのソファーに腰掛ける。
寧香は普段と同じようにゆったりと抱きついて情熱的なキスをする。
そのまま僚也は舌を彼女の口の中にねじ込み、口内を蹂躙する。
舌を絡ませ、口の中の味、感触を存分に楽しむ。
長々と責めていくうちに自然と寧香の舌も彼の口の中に進入するようになり、双方の舌が互いの口内を責め合う。
そうしていつものように前戯を終え、本番をし、絶頂とともに僚也の精液が解き放たれる。
「……で、この機会にセットすればいいんだよね?」
「はい、セットすればすぐに反応して、純度が表示されるはずなので」
「ん、わかった。……純度Vだって。」
「そうですか……Vですか…また厄介事が増えそうですね、御主人。」
「うぅん……そのようだねぇ。とりあえず寧香が落ち着いたら今後について話をしよっか。」
「はい」
そう言って僚也は寧香を膝枕して横にした。
セレーネは厨房から飲み物を人数分とりにいった。
セレーネが戻ってきて、皆飲み物を口にすると、落ち着いたのか全員すっきりした表情をしている。
暫くまったりと過ごしていたが、いつまでも何も決めないのはマズイので
今後について話そうと頭を働かせる僚也とセレーネだった。
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