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僕の義妹が本気で貞操を奪いにきて、ヤバイ

起きるともう十二時半だ。ベスト寝起き。これから佐織と映画か。隣にはすでにアリスの姿はなかった。


「・・・・・朝風呂だね」


着衣室へ行って、まず確認するのは、服が無いかどうか。


「クリアー」


次に、浴室から音が聞こえないかどうか。


「・・クリアー」


さらに、そのまま、じっと浴室で動くものがいないかをチェックする。


「・・・・クリ」


ザバァっという水の音が聞こえて、それから湯船から出る音が聞こえる。


「むむ」


残念ながら先客がいるようだ。それなら、いいさ。朝ごはんを食べよう。


「今日の昼食は、テキサスバーガーとポテトL、ポークサンドになります」


着衣室から出た瞬間に、た~~るにゃんが、そんな事を言った。


「おはようございます。アリス様と一緒にお風呂を入られなかったのですね」


「当たり前だよ。・・・・洗濯機に服をぶち込まれたら、判断に困るよね・・・って、今日はマックか」


「アリス様がお召しになりたかったそうでございます。なんでも、友達に『テキサスバーガーは美味しいからアリスちゃんも食べてみなよ』という事だそうです」


口調がうまい。中学生のような喋り方もできるのか。た~~るにゃん。


「へぇ。美味しかった?」


「たまに食べると美味しいと思います」


「無難なコメントだね。それ、お願い」


「かしこまりました」


メイドらしく、家事を行ってくれるのだ。美味しいバーガーの匂いとコーヒーをすすりながら居間でくつろいでいると、佐織がやってきた。


「おはようございます、兄さん」


青を基調とした着物姿の佐織がいた。


「おはよう、佐織。似合ってるよ」


「ありがとうございます。兄さんも是非、正装でお願い致します」


「・・わかったよ。言っておくけど、ドライブスルーの結婚式を出張させて、イキナリ永遠の愛の誓いを交わさせるなんて、ナシだよ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


佐織は、袖からスマフォを取り出すと、リダイアルボダンを一つ押して、電話をかけた。


「先ほど、予約をいれました三上です。すいません。キャンセルです」


僕は目をぱちくりさせるしか、無かった。本気を出してきている事が、うかがえる。


「・・・さすが兄さん。鋭いですね」


「ま・・まぁね・・・・」


ジョークのつもりで言ったけど、心の奥では、まさかまさかと考えての事だった。案の定だなんて。


「ご主人様。温まりました。こちらに置いておきますので、どうぞお召しになってくださいませ」


アツアツのハンバーガーを頷きながら、かぶりつく。


「・・・・なるほど」


そんな僕を見て、佐織は呟いた。


「どうしたの?」


「いえ。食欲と性欲はそのまま同じレベルの欲求だそうで、食べ物にかぶりついている姿は、そのまま、性的な状況においても、そのままの表情なのだそうです」


「・・・・・」


「電気は消すつもりですので見えませんから、今のうちに見る事が出来て良かったです」


「あ・・あはは・・」


今度から、もう少し外面を気にして食べようと思ったが、何かが違う気がする。しかし、きっと、ブラッドピットのハンバーガーを食べるシーンは格好良いんだろうな。なんてのも思う。


「それ食べたら行きますよ。予定は詰まってるんですから。でもオープニングには少し空きがでましたから、ゆっくりしていいですよ」


それって、出張結婚式の予定がなくなったからだよね?なんて事は恐ろしくて聞けない。それでも予定は詰まっているのだ。僕は戦々恐々としながら、優しく微笑む佐織を見た。一体、どんな予定が詰まってるんだ・・・。

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