第9話 品切れ
魔剣の力で筋力が増えたカノンは荷車を押せるようになり、一日かけて王都に一番近い村にたどり着くことができた。
そこで彼は持っていた野菜を全て売り捌いた。品質はいいが突然押しかけ信頼も得れないままの商売だったので、相場よりもだいぶ安値にはなってしまったがそれでも一文無しから脱出できたのは大きい。
少しばかりの野菜と路銀を手に、少年と魔剣の奇妙な旅は幕を開けた。
「で、ここからどうする? アテはあるのか?」
人型になったレヴィアがカノンにそう尋ねる。
戦いの時以外、彼女は基本人型でいる。剣モードは動けなくて窮屈らしい。
一方カノンはというと地面に膝をつき「ぜえ、ぜえ」と肩で息をしていた。
「その前にちょっと休ましてえ……」
魔剣の力で筋力を上げても、体力までは上がらない。
カノンは野菜がたんまり乗った荷車を押し続けたせいでまた疲労困憊になっていた。彼は懐から野菜ジュースの入った小瓶を取り出してそれを飲んで回復しようとするが……それをレヴィアがひょいと取り上げる。
「あ!? 何すんだよ!! 返してよレヴィア!!」
「くふふ、私も疲れたんだ。飲ませてもらうぞ」
そう言ってレヴィアは奪った野菜ジュースを一息に飲み干す。すると彼女の体に活力がみなぎってくる。
「がはは! こりゃあいい! 今ならドラゴンも一捻りできそうだ!」
「うう、最後の野菜ジュースだったのに……」
路銀を稼ぐためにほぼ全ての野菜と野菜ジュースを売ってしまったカノンは、目の前で最後の野菜ジュースを飲み干されガックリと項垂れる。
するとそんな彼を見かねてレヴィアが行動にでる。
「情けないなあカノンは。しょうがない」
レヴィアはやれやれといった表情でそう言うと、彼をひょいと持ち上げる。
しかもおぶったり肩に担いだりではない、いわゆるお姫様だっこだ。
「ちょ! 何やってんのレヴィア!? 恥ずかしいからやめてよ!!」
「くくく、嫌なら抵抗してみるといいじゃないかカノンくん?」
レヴィアはそう言って悪戯好きそうな笑みをカノンに向ける。妖艶さを持ちながらも子供っぽさも併せ持つその魅力的な表情に、カノンは顔を真っ赤にさせてしまう。
「〜〜〜っ!! レヴィアのバカっ!!」
カノンの必死な抵抗虚しく、身体が回復するまでのしばらくの間彼はレヴィアにお姫様抱っこで運ばれるのだった。
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