第10話
カノンとレヴィアが野菜を売りさばいた村に、ある一人の人物が訪れていた。
その人物は昼間だというのにマントのフードを深く被っており、性別すらわからない。
「確かにこっちの方から妙な魔力反応を感じたんだけれど……」
その人物は右手を前にかざし「むむむ……」と唸りながら何かを探している。
それは魔力探知という高等技術なのだが、はたから見たら不審者にしか見えない。村の人達は遠目からその人物を変人を見る目で見ていた。
『おいおい、変な目で見られてるゾ。怪しいからやめろよう』
そうその人物をたしなめたのは、腰に差している赤い剣だった。その剣は長さ一メートルほどの曲剣であり、少女のように高い声で話していた。この剣もレヴィアと同じく魔剣のようだ。
「ですがこうしないと魔力探知が上手く出来ないんですよレムたん。むむむ……」
『はあ、お前って何でもできそうに見えて抜けてるとこあんよな。悲しいぜうちは』
その人物は、はたから見たら一人二役で話しているようにしか見えない。村人たちは増々不信感を強くするがその人物は気にしなかった。
しばらくそうして魔力探知していたその人物はやがて強い魔力を見つけだす。
「む。これ……ですね。これからヤケに高い魔力反応を感じます」
そう言って手に取ったのは店で売られていた小瓶だった。中には緑色の液体が詰まっている。
「何でしょうかこれ。探してた魔剣らしき反応とは別物みたいですが……」
『ポーション……それもかなり上等な品質のポーションと似た魔力を感じんな。なんでこんな物が辺境の村に売ってんだ?』
その液体を不審がったその不審な人物は店主にこの液体の正体を聞く。
「え? これは昨日この村に来た黒い剣を持った小僧が売っていったんだよ。なんでも栄養価満点の野菜ジュースらしいぜ。俺も飲んでみたんだが二日酔いが綺麗サッパリ治って元気いっぱいになったぜ! 嬢ちゃんも飲んでみたらどうだ?」
そう言われたその人物……赤髪の美少女は小瓶を握りしめる店主に再度質問をする。
「……教えていただけますか? その少年はどちらに行きましたか」
そう尋ねる彼女の目は獲物を発見した獣のように鋭く、恐ろしいものだった。
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