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16 信じてもいいよ


クリスマスが近づいて浮足立つ街に粉雪が舞う。私達は二人でパーティーをしようと、その買い出しに出ていた。軒を連ねるお店にはきらびやかな装飾が施され、所々でイルミネーションが点滅する。風もなく、穏やかに降る雪。いつかは溶けて消えてしまうのか。そう思うと、なんだか訳も分からず切ない気持ちになる。


「春海」


視線の外の無月に話しかけられ、我に帰る。慌てて答えた。


「どうしたの?」

「春海は、恐れているでしょ」

「何を?」

「時が経つこと」


……何故こうも見抜かれてしまうんだろう。思わず目を逸らす。無月は私のすべてを見透かすようだ。私が顔に出やすかったりするのだろうか。


「よく分からないけど、雪を見つめる春海の瞳がそう言っていた気がしたの。間違っていたらごめん」

「ううん、図星……」


いつだって怖い。いつか無月が私のそばから離れていくんじゃないかって。いや、それはもう確定事項なんだ。その時が来ることに、その後それに慣れていく私に、今から絶望しているだけなんだ。


無月は空を見上げてちらちらと降る雪を眺めながら、なんでもない事のように言う。


「私は永遠を望まないよ。ずっと続けるなんて、きっとどこかで均衡が崩れていくと思うから」


無月は強い。そりゃそうか。繰り返し続けて、私には計り知れない時を生きてる。だから私より少し大人で、達観しているんだ。


「……無月。私ね、変化を恐れない心が欲しい。それが無ければきっと、時が経っても変わらないものにだって気づけないから」


無月は私を見て、穏やかに笑う。きらきらと白の舞い散る中のその笑顔は、冬の妖精を思わせた。


「それに気づけてるなら見失わないよ、大丈夫」

「それに私だって、変化が怖くないといったら嘘になるよ。でもね、楽しみな事だってあるからさ。ほら、二人きりのパーティーだってそうでしょ?」


そう言って、いたずらに笑う冬の妖精。無月とならどんなに拒んでも来る明日を怖がる必要はなくて、むしろ笑って跳ね除けてしまう事もできるのかもしれない。


私は頷いて、無月に寄り添うように歩き出した。


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