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ソロ神官のVRMMO冒険記 ~どこから見ても狂戦士です本当にありがとうございました~  作者: 原初
四章 初イベントと夏休みの終わり編

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リバイヴ・オブ・ディスピア 封印

《システム:決闘モードに移行します》


《モード1orMany。時間無制限。勝利条件はHPの全損及び降参宣言です》


《賭けの対象は設定されていません》


《バトルフィールド:タイプ闘技場を展開します》


《それでは、プレイヤー:リューとチーム:オロボスの決闘を開始します》


《レディ…………ファイツ!!》



 展開されるバトルフィールドは、リューがライゴとの決闘で使用した闘技場型。遮蔽物の無いステージの上に、リュー達は転送された。

 リューと対峙するのは、オロボス率いるレベル60越えのプレイヤーが十二人。近接職が七人、遠距離職が五人。その内訳はこうだ。

 オロボス。レベル68、魔戦闘士。

 アーダ。レベル66、軽戦士。

 オルダ。レベル66、守護騎士。

 ロッド。レベル65、魔法剣士。

 レージン。レベル65、侍。

 オッドム。レベル64、炎戦士。

 アディ。レベル63、暗殺者。

 ウディタ。レベル67、魔導士。

 エフォス。レベル66、風導士。

 ミネル。レベル65、司祭。

 クートル。レベル65、司祭。

 アイゼン。レベル64、強弓士。

 もはや、レイドボスを相手にするかのような戦力。その全員がそれぞれの武器を構え、リューへと鋭い闘気を放っている。

 対するリューは、紅戦棍を片手に彼らを睥睨する。この戦力差を相手にして、その顔に怯えや恐れの感情は皆無。ただ、獰猛な笑みを浮かべて戦いの始まりを待っている。

 そして……開幕は、唐突だった。



「【フレイムレイン】!」


「【ゲイルストライク】!」

 


 開始の合図は、ウディタの放つ炎の雨と、エフォスの放つ風弾の乱舞。 赤い魔法陣が空に現れ、炎弾を次々に発射し、エフォスの突き出した手のひらから放たれた不可視の砲弾がリュー目がけて突き進んでくる。

 上空からの絨毯爆撃により逃げ場を無くし、そこへ弾速が速く、不可視ゆえに回避しにくい魔法を放つ。シンプルだが効果の高い連携技だ。

 リューは己に迫る炎弾と風弾を見て、すぐさま動き出す。紅戦棍を片手で構えたリューは、思いっきり地面を蹴り付けた。



「【クイックステップ】」



 発動するは、【バックステップ】の上位アーツ。後ろにしか飛べない【バックステップ】とは違い、【クイックステップ】はどの方向にも瞬時に移動することができる。リューはその高速移動を使い、斜め右へと飛び出した。

 もう少しで魔法が当たるという寸前でリューの姿が掻き消え、オロボスたちがいる場所の近くへ一瞬で移動した。

 戦闘中に言葉は不要と、リューが声もなくオロボス達へと突っ込んでいく。紅戦棍を振り上げながら次々に補助魔法を発動し、己の能力を強化していく。

 突っ込んでくるリューの前に立ちふさがるのは、守護騎士オルダ。オルダは巨大なタワーシールドを構え、リューの行方を遮ろうとする。

 


「止めさせてもらうぞ、神官! 【ガーディアンシールド】!」


「やってみろよ。【パワークラッシュ】」



 アーツを発動したオルダに、リューもアーツで対抗する。構えられた巨盾に小細工を一切混ぜない一撃が放たれる。

 瞬間、響き渡る激突音。



「ぐぅ……!」



 オルダは腕にかかる重みに呻き声を上げる。どうにか踏ん張ろうとするが、リューが紅戦棍を押し込む力はありえないほどに強い。

 「セラァッ!!」という裂帛の気合と共に、紅戦棍が振り切られ、オルダはタワーシールドごと後ろに吹き飛ばされた。ゴロゴロと地面を転がるオルダを見て、オロボスたちの顔に驚愕が走る。



「なッ! オルダを一撃でぶっ飛ばすだと!?」


「どんな馬鹿力してやがる!?」


「と、とにかく! 囲んで攻撃しちまえ! 相手は一人だ!」



 オロボスたちの作戦はとてもシンプル。人数差を活かしてリューを囲み、波状攻撃を仕掛けるというもの。

 


「【マジックソード・ダークネス】!」


「【ダンシングソード】!」


「【居合一閃】!」


「【デモンストライク】!」


「【バーニングエッジ】!」


「【キリングスタブ】!」


「【スパイラルアロー】!」


「「【ライトジャベリン】!」」



 闇の魔法剣が、踊り狂う連撃が、神速の居合抜きが、悪魔の一撃が、燃え盛る刃が、殺戮の一閃が、螺旋を纏う一矢が、光の投槍が、絶妙なタイミングでリューへと襲い掛かる。

 オロボスたちの渾身の攻撃。それを前に、リューはさらに笑みを深めた。



「《黒刃展開》」



 紅戦棍が握られているのと逆の手、甲冑に覆われた腕から、漆黒の刃が生える。



「【サークルスラッシュ】!」



 放たれた回転斬りが、近接組が振り下ろす攻撃に次々と命中し、それらを弾き逸らす。



「ほいッ、んでもって【ハイジャンプ】!」



 螺旋纏う矢を紅戦棍で弾き飛ばしたリューが、アーツにより空中に躍り出た。一拍遅れて、リューがいたところを光の投槍が貫いた。

 飛び上がったリューは、空中で体を捻り、丁度自分の真下にいたレージンに向かって《獣撃》込みの蹴りを放った。

 その一撃はレージンの肩を撃った。吹き飛んだレージンのいた場所に交代するように着地したリューは、近接組を無視して後衛組へと襲い掛かった。まず狙うべきは、司祭の二人。



「く、来るな! 【ライトシールド】!」


「クソぉ! 【ファイアランス】! 【アースグレイブ】!」



 司祭の一人が向かってくるリューを見て防御魔法を張り、魔導士が炎の槍と地面から土くれを撃ち出す魔法を放ってくる。

 しかし、その程度の抵抗は、リューのとっては無意味に等しい。



「【バトルエンチャント・マジックブレイク】」



 リューの詠唱と共に、紅戦棍が紫紺のオーラに包まれた。リューがそれを魔法に向けて振るうと、魔法はガラスが割れるような音を立てて消えてしまった。

 スキル《付与魔法・決戦式》の魔法【バトルエンチャント】。これは能力補助ではなく、戦闘を補助するための魔法である。【マジックブレイク】はその名の通り、武器に魔法破壊の効果を持つオーラを付与するというもの。付与される時間は短いが、使うタイミングを間違えなければとても強力な魔法だ。

 魔法を破壊したリューはクールタイムの終わった【クイックステップ】で司祭ミネルの至近距離に迫り、甲冑の腕を抜き手の形にし【ファングエッジ】を放つ。



「ガハッ!?」


「ミネル!? チクショウ、止まりやがれこの野郎!」



 強弓士アイゼンがミネルからリューを引きはがそうと牽制の矢を放った。

 自分にギリギリ当たるか当たらないかの軌道を描く矢に、リューはミネルの体を強引に振り回すと、そのまま矢の軌道上にそれを持ってくる。

 結果、矢はミネルの体に突き刺さった。



「み、ミネル!? 神官、てめぇえええッ!!」


「……【ソードオブフェイス】」



 怒りの咆哮を上げるアイゼンに、リューから放たれた光の剣が迫る。アイゼンがそれの対処をしているうちに、リューは【スラッシュ】でミネルのとどめを刺した。



「オラッ! がら空きだぞ神官ヤロー!」



 ミネルが粒子に変換される中、背後からリューへとオロボスが大剣を振るう。その後ろには軽戦士アーダと魔法剣士ロッドが続いてる。

 リューは即座にその状況を、オロボスの大剣は囮、本命は背後の二人の挟撃だと判断し、それに対処するように動き出す。

 振り下ろされるオロボスの大剣を半身になって避け、そのまま前進。オロボスの脇を潜り抜け、アーダとロッドの間に滑り込む。

 そして、左右から放たれた斬撃を、『回避も防御もせずにその身で受け』た。十分に回避や防御が間に合うようなタイミングだったにも拘わらず、わざと攻撃を受けたのだ。

 そして、今までの動きから当然の如く回避されることを予想し、二撃目につなげようとしていたアーダとロッドの動きが止まった。

 スッ、とリューの口元が三日月状に裂ける。



「【フォースジェノサイド】ッ!!」



 ただひたすらに威力があるだけの単純なアーツ。だが、相手の意表をついたこの瞬間に置いて、その一撃は何よりも脅威となる。

 リューが横薙ぎに振るった紅戦棍は、アーダとロッドの側頭部を撃ち抜く。称号やアーツで強化されたリューの頭部への攻撃は、まさしく必殺の一撃。耐久力のあまり高くない軽戦士であるアーダは勿論、ロッドもHPを全損させ、粒子へと変換した。



「【ヒール】……おっと危ない」


「チッ、後ろに目でもついてんのかよ!」



 わざと受けた攻撃で受けたダメージを回復させつつ、オロボスの攻撃を紅戦棍で受け止めたリューは、悪態をつくオロボスに、にこやかに笑いかけた。



「どうした? 十二対一がもう九対一になったぞ? ほら、もっと頑張れよ」


「……分かった。てめぇがそう言うなら、こっちも考えがあるぜ?」



 リューの煽り(無自覚)に、ピキリと青筋を額に浮かび上がらせたオロボスは、その場から飛びのいてリューから離れると、懐から何かの液体が入った瓶を取り出した。



「……なんだそれ。ドーピングでもするつもりか?」


「ふんっ、その余裕がどこまで続くか見ものだぜ」



 リューがその様子を訝し気に見ていると、オロボスがニタリと君の悪い笑みを浮かべ、瓶を持ったまま大剣でのアーツ【スラスト】を放ってきた。

 リューは難なくそれを回避するが、オロボスがすれ違いざまに投げつけてきた瓶に入っていた薬品を浴びてしまう。



「へッ! その薬を浴びたな! お前はもうお終いだァ!」


「うっわ、べちゃべちゃする…………ん?」



 謎の液体を浴びて嫌そうな顔をしているリューは、自分のHPバーの横に見覚えのないアイコンが付いていることに気が付く。

 それは、魔法使いが持ってそうな杖のマークに大きく赤いバツが付いているというもので……。

 


「……魔法、封印?」



 その通りだぜ――――オロボスの声が、その場にやけに響いた。


感想、評価、ブックマを付けてくださった方々、本当にありがとうございます!


『彼岸の華が咲く頃に』もよろしくね!

https://ncode.syosetu.com/n5579ev/

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