18:援護と窮地と召喚と
「お願い!みんなを助けて!」
声を枯らすほどに叫んだラスティへ、クロが安心させるようにしっかりと目を合わせて頷き立ち上がると、背中を見せて蛇の大群に向かって走り出す。
「ああ、任せとけ! イリス、人命救助が優先だ! 手を貸してくれ!」
「ん。まかされた!」
「レミ様はその子と瘴気に侵された人の手当てをお願いします!」
懐から二丁の拳銃を取り出したクロが走りながら言うと、レミはこくこくと頷いてラスティに向け手を伸ばして魔力を送り込んだ。
クロがレミの放つ真っ白な浄化の魔力に照らされた蛇達を見据えて走り、併走するイリスは正面に手を向けて冷気を放った。
凍えるほどの冷気が蛇の大群を飲み込み、魔物達の動きは徐々に鈍くなる。
「イリス! ありがとう!」
「ん。クロ、がんばって」
「任せろ!」
イリスがクロと右手の甲同士でロータッチを交わし、すれ違いつつ退がる。
前に出たクロは銃口を正面へ向けて両手の引き金に指を掛け、強く引き絞る。
クロの右手の銃から乾いた炸裂音を響かせて小さな弾丸が飛び出し蛇を一体貫くと、その魔力を糧にして炎を生み出した。
左手から射出された弾丸は空中でクロの注いだ魔力を使って風を生み出し操った。
「退いてください!」
クロが気流を操ると燃え盛る炎がうねり、まるで意志を持つかのように武装した人々を避けつつ、蛇の群勢があっという間に火に包まれる。
それはさながら、炎の大蛇が地を這いずりまわっているようにも見えた。
「すまない! 恩に着る!」
燃えた蛇達の隙を突いた彼らはクロとすれ違いつつ後方の橋の中央地点、レミがラスティと共に負傷者の手当てをする場所へと退いて行く。
「これで全員ですか!?」
「いや、マルクの野郎がまだ取り残されてる! あいつだけ格好つけやがって!」
マルク、とは戦鎚を携えた黄土色の髪を持つ青年の事だ。
「あそこか!」
クロが睨みつけたのは魔力による街灯に照らされて薄らと見える、橋の少し先に蛇が群がり小さな丘になっている場所だった。
「ちょっと行ってくる!」
「ひとりはダメ!」
ラスティや他の面々の涙を見たクロは手が白くなるほどに銃を握り込んで駆けると、イリスもそれに追従して後を追った。
「イリス⋯⋯分かった。二人で正面突破する!」
イリスが氷で作った身の丈ほどもある巨大な腕を振り回して蛇を掻き分けると、すぐに大槌を振るうマルクの姿が見つかった。
「私はもうダメです! 先に進んでください!」
見れば彼の腕や脚には無数の噛み跡が残されており、そこから血の筋が何本も伝っていた。
「知るか! 全員、生きて帰るぞ!」
吠えたクロが彼の隣へ辿り着き、両手の銃を乱射し、真っ正面を弾倉が空になるまで撃ち尽くした。
吹き荒れる疾風の刃と轟音と共に迸る青白い雷の槍が交互に入り乱れ、蛇を蹴散らす。
「ん! みんなで!」
トドメとばかりにイリスが巨大な氷の拳を握り込み、正面の蛇の山に射出すると、人が通れる程度の道が開けた。
そのまま彼女は冷気を操って蛇に道を塞がれないように、両脇に氷の壁を作り上げて維持する。
「全員走れ!」
「ながく、もたない!」
クロが大きな声を上げて前方の道を走るように促すと、彼女自身は後方へ走る。
「クロ!?」
「最後尾に声が届いてない!」
イリスにマルクと共に先頭を誘導するように指示を出し、後方で水の壁によって猛攻を防いでいたラスティとレミに追いついた。
「もう充分だ! 走れぇ!」
クロが声を枯らして叫ぶと、それに気付いた二人は頷き合い足を動かし、クロに追いつき併走した。
「夢幻機兵は使えないのか!?」
道すがら、口を開いたクロにラスティは頷く。
「ああ。あやつは魔力探知器官、という物を持っているらしく、あまり大きな魔力の反応を出すと目覚めてしまうらしい」
あやつと言ってラスティが差す場所は、安寧の塔を絞めつけるかのように巻きついた巨大な白い蛇だった。
「らしい⋯⋯って、誰に聞いたんだ?」
「それはもちろん⋯⋯」
「なんかアレ、おかしくないか!?」
クロが左手に見える安寧の塔を見てラスティの言葉を遮った。
ラスティも安寧の塔に目を向けると、不服そうに顰めた眉を吊り上げて、ハッと目を見張る。
二人の視線の先には、ボロボロと体を崩す大蛇の姿があったのだ。
だんだんと外皮が崩れ中身が露わになると、そこには空洞が広がっているのが伺えた。
「まさか、脱皮か?」
呟くように言葉を放ったラスティに、クロが小さく反応をします。
「それじゃあ、本体はどこに⋯⋯」
言い切る前に、答えを示すかのようにいくつかの家屋を倒壊させながら凄まじい音を立て、クロ達の後方から例の大蛇が大口を開けて迫る。
その大きさは遠くで見るよりもずっと大きく、幅百メートルはあろうという大きな橋を飲み込むほどの大きさであった。
「まずいぞ!あれはまずい! 全員!全速力で走れぇ!」
いち早く事態を飲み込んだラスティが声を上げて全力で走るが、体格差が大きすぎるため、あっという間に距離を詰められる。
「橋の先には大きな鉄扉がある! そこまでの辛抱だ!」
懸命に声を張り上げるラスティに励まされ、なんとか足を動かしていたレミだったが、迫っていた小さな白蛇に足首を噛まれてしまった。
レミは叫び声を上げることもできず、痛みに蹲ってしまった。
「レミ!」
即座に気が付いたクロは彼女を腕に抱いて、その鋭利な牙から逃れるため、大蛇の口腔内へと自分から飛び込んだ。
「全員一緒と言ったのは貴様だぞ!」
二人を追いかけたラスティもまた、蛇の口の中へと飛び込んだ。
「クロ⋯⋯クロぉぉ!!」
「お嬢さん! ここは危険です!」
クロを追いかけようと手を伸ばしたイリスの肩を掴んで引き留めて、マルクは手に持った戦鎚を投げ渡して叫ぶ。
「限界です! 閉めてください!」
「「おうっ!」」
両端の男達が息を合わせて鉄の重厚な鉄板を叩くと、衝撃と轟音が辺りを揺らし、非情にも扉は閉ざされた。
大蛇は扉の前に何枚も張られた水の壁に勢いを削がれ、分厚い鉄扉を打ち破る事が出来ずにいる。
「クロ⋯⋯いきてて」
イリスは手を胸の前できゅっと握りしめて、クロの無事を祈る事しか出来なかった。
一方、大蛇の口へと飛び込んだ三人は、薄暗い腹の中を進んでいた。
「ふむ。どうやらまだ胃液の分泌は始まってあらぬようだな」
飲み込まれた瓦礫を乗り越えつつ呟いたラスティを尻目に、クロは転移魔法を使うべく目を閉じて魔力を練り、青白い光が霧散する様を見て悪態をついた。
「やっぱこの蛇、ずっと動き回ってんのか⋯⋯」
『あの、ごめんなさい』
申し訳なさそうに項垂れたレミが画帳に文字を書き、クロヘ見せた。
「何で謝るんですか?」
『私が弱いせいで⋯⋯』
レミの視線の先には、包帯の巻かれた足首があり、クロはブンブンと首を横に振った。
「そんな事ないですよ! 弱かったら私達の現地調査について来るなんて言えませんよ。レミ様の心は充分お強いですよ」
肩を掴んで目を合わせ真剣に語るクロに、レミは深く息を吐く。
「先に進むにつれて瘴気も濃くなってます。多分、この大蛇の魔石が近いんでしょう。なので、もう少しだけ、頑張ってみましょう。ね?」
コクコクと頷いたレミに肩を貸し、クロが更に奥へ進むと、これまで以上に濃密で重い瘴気が漂う場所で、三人は足を止めた。
「この真上が恐らく彼奴の魔石の場所だな」
ラスティが蠢く腹の上を見上げると、小さな亀裂があり、そこから赤黒い瘴気が漏れ出している事が窺えた。
「あらぁ。こんなところに居たんですねぇ」
ねっとりと纏わりつくような声を出したのは、改造軍服に身を包み、ウェーブがかった金髪を払う女騎士、ネフィルだった。
「それはこちらのセリフだ! 避難所の警備はどうした!?」
「それなら、元気になったロウさんが引き受けてくれるそうなのでぇ。任せてきてしまいましたぁ」
てへ、握った手をこつんと頭に乗せて舌を出し、ネフィルは段々とクロ達に近づいて来る。
「それで自分が食われていたら世話がないだろう⋯⋯待てネフィル。お前、どうしてこの瘴気の中で平然として居られる!」
レミの左手を握るラスティが吠えると、ネフィルはニヤリと口角を上げる。
「ぜんぜん平気じゃないですよぉ。もうわたしぃ辛くて辛くてぇ」
態とらしく足をよろめかせ、ネフィルは尚もクロ達に迫る。
「だからぁ。死んでいただけますぅ?」
彼女は人差し指をレミに向けると、そこには赤黒い瘴気が圧縮された弾丸が生成され、止める暇もなくそれは発射された。
弾丸の速度はディピスの放つ弾丸よりも速く、ラスティもレミも追いつけず、動体視力が獣人のそれ以上となったクロが咄嗟にレミを庇って彼女の前に躍り出る。
「小賢しいですねぇ。けれど残念ですぅ」
ネフィルが指を曲げるとそれに合わせるように黒い弾は空中で軌道を変え、クロの胸の真ん中、魔石を貫いた。
「かはっ」
「はぁい、一名様冥府へごあんな〜い」
「クロ殿! 貴様、どういうつもりだ!」
他に倒れ伏したクロを尻目に、ラスティが腰の剣を抜き放ち、正眼に構えて叫ぶ。
「どうもこうも、ご覧になった通りですよぅ。我々の主であらせられる魔王様復活を邪魔する子猫ちゃんをやっつけただけですよぅ」
「ふざけるな!」
「あららぁ。良い表情ですねぇ。泣いちゃいますぅ? その絶望が、魔王様を再びこの世に蘇らせる糧になるんですよぅ」
「ヨホホ。流石にお喋りが過ぎますよ」
ヌッと物影から飛び出したのは、フォゲルナの街でクロ達が出会った道化の男だった。
「あらぁ?良いじゃないですかぁ。どうせ死ぬなら、少しでも絶望を撒き散らしてもらわないとぉ」
「ヌホホ! それもそうですな。では、お待ちしておりますぞ」
ポンッと軽い音と白い煙を立てて男が去ると、ネフィルもまた、指を鳴らした。
「それじゃあ、ゆっくりとこの子の養分になってくださいなぁ」
「いつから⋯⋯」
「あらぁ? 喋る元気があったんですねぇ?」
「いつからこんな事に手を染めていた! 答えろ、ネフィル!」
「いつからぁ? はて、そうですねぇ⋯⋯貴女のようなちんちくりんが親の七光りで騎士団長に任命された時から、ですかねぇ? 正直、退屈な日々でしたよぉ。ま、それも今日で終わりですけどねぇ」
罵声とも皮肉とも取れるような声で、淡々と告げる彼女に、ラスティは顔を青ざめさせ、膝を折った。
「わたしは、わたしのできる事を精一杯⋯⋯」
「あららぁ。正義感ぶってるところ悪いですけど、もうこの子もお腹空いてるようですので、本当にさよならですねぇ」
ラスティの足元から、じわりと黄色い粘着質の液体が滲み出ると、白蛇の飲み込んだ周辺の瓦礫がじゅわりと溶けて無くなった。
「いやぁ。こうもあっさり騙されるなんてぇ。騎士としても失格じゃないですぅ?」
追い詰めるように問いかけた、ラスティを追い詰めるように迫る、ネフィルの太ももに小さな穴が空き、そこから血が噴き出した。
「ぐうっ!?」
「ラスティを⋯⋯仲間を裏切った奴が⋯⋯はぁ、はぁ⋯⋯騎士を語るんじゃねえ!」
手に握った拳銃からは白煙が上がり、血が流れる胸の中央を押さえたクロが声を震わせて覚束ないながらも、一歩前へ出た。
「バカな!? 確かにお前の魔石は砕いたはず! 何故立ち上がる!?」
魔石が砕かれれば、死ぬ、という常識すらも覆す異常事態に、絡みつくような口調も忘れるほどに取り乱したネフィルは頭を掻きむしり、一つ息を大きく吐いて呼吸を整える。
「まぁ、いいでしょぉ。もう一度冥府へ送って差し上げますぅ」
人差し指を突きつけるネフィルが青白い光に包まれ、その場から消え去った。
「いいや。アンタがこっちへ来るんだよぉ!」
クロが左足を一歩踏み込み、腰の捻りを加えた拳を突き出すと、ネフィルが目の前に現れ、鳩尾へ渾身の一撃が炸裂した。
「ぐほぁ!!」
肺の中の空気と唾液を吐き出して数メートル吹き飛んだネフィルは、両膝を地面に突いて空気を取り込もうと肩で息をするが、それは適わずネフィルの視界は段々と霞がかるように白く染まる。
「ヨホホ。いつまで遊んでいるのかと思いきや、大ピンチじゃないですか。いやぁアホですねぇ。後でお説教ですよ」
再び真っ黒な影に覆われた道化の男が現れ、ネフィルを抱えると、クロに向き直った。
「逃すと思うか?」
「おやおや? また会いましたね。二度目は名乗るとワタクシめは決めておるのですよ。ワタクシの名はマリス、と申します。以後、お見知り置きを」
「そうかい。それじゃあ続きはアンタを牢屋にぶち込んでから聞くとするか!」
肉でできた床を抉り取るように踏み込んで駆け出したクロは、自身の最高速度でマリスに迫り、拳を突き出す。
「ヨホホ。素直な子は大好きですよ」
「そいつは光栄だね!⋯⋯と!」
「ヨホ!?」
左へ半歩ずれて避け、赤黒い瘴気の塊を掌に収束させていたマリスの目の前で止まり、クロの回し蹴りが彼の後頭部を捉えた。
「⋯⋯訂正しますよ。ワタクシ、あなたのこと嫌いです」
マリスはよろめいて痛みの走る後頭部を押さえ、クロを睨みつける。
「本当は仕返しをしたいところですが、足を引っ張る雑魚が居ますからねぇ。せいぜい臭い胃液の中で泳ぎ回って苦しみ悶えながら死ぬが良いでしょう」
「逃すか!」
再び右足を軸にした回し蹴りを放つが、その脚は空を切るに留まり、マリスの頭に当たることはなかった。
「いやはや。皆様の絶望に歪むお顔を拝見できないのは大変残念ですが、それもまた一興」
ヨホホホホ⋯⋯と残響を残してマリスがネフィルを連れて闇へと紛れ消え去ると、クロたちの上にあった裂け目が広がり、内から大量の黄色い粘着性の水が溢れ出す。
「クソッ! とにかくここは危ない。一旦離れるぞ!」
未だに地に膝を突き、項垂れているラスティの襟首を捕まえ、顔面蒼白のレミも腕に抱えたクロが、靴の裏から上がる煙に目を逸らし、全力で元来た道を引き返す。
「わ⋯⋯わたし⋯⋯いや、我は⋯⋯」
余程ネフィルに信頼を寄せていたのだろう。茫然自失、という言葉を体現したかのようにボソボソと口を動かすラスティに、クロは飲み込まれた家屋の瓦礫を背にして一旦胃液の濁流をやり過ごす。
「全部受け入れるのか?」
「貴様に何がわかる!」
「まあ、分かんねえよ。アンタの痛みはアンタのもんだしな。けど、ここで溶けたらアンタを心配してる奴らはどうなる? 親父さん、待ってるんだろ?」
「しかし⋯⋯我にはもう、手段が⋯⋯」
「命のかかってる場面で簡単に諦めるな! って言うのは簡単だけどな。⋯⋯さっき思いついた方法、試しても良いか?」
「うん。⋯⋯わたしに出来ることはある?」
「ああ。この壁が壊れないように、水で壁を作ってほしいんだ」
「分かった! やってみる!」
「それとレミ様。ここで見たことは他言無用でお願いしますよ。ラスティもな」
二人がこくりと頷いたのを見て、クロは自身の首に付いている鈴を握り、目を閉じて深く息を吸って集中する。
激しい水流が水の壁を削り、背中の石壁がじゅわりと溶ける嫌な音を遮断し、クロが吠える。
「来い! メイメツゥゥゥゥゥ!」
言葉に応えるように、クロの目の前が辺りに転がっている魔石の街灯を遥かに凌駕する青白い閃光が迸り、目の前にはあの黒い夢幻機兵、メイメツがその姿を現した。
フューリーの中へ戻ったイリスから事情を聞かされたリアとネメアは、格納庫の秘密の部屋で言葉を交わしていた。
「ええ!? クロさん、体の中に魔石を二つも持ってるっすか!?」
目を見開き大きな声を出したのは、肩にかかる程度の短い橙色の髪を振り乱したリアだった。
そうだね。と小さく頷いたネメアに、リアは興味深そうに彼女の次の言葉を待った。
「あの子の体を調べた時に、違和感を感じた正体はそれだったようだね。まあ、特に本人は異変を感じてはいない様だから特に何も言わなかったけどね」
「そう⋯⋯なんすね! でも、それって普通のヒトの倍は魔法を使えるって事っすよね!」
「うんうん。単純計算で言えばそうだけれど、ボク達エルフは何も食べなくても、魔力さえ有れば一年間は何も食べなくても生きていけるほどの魔力を秘めた種族だよ? つまり、人間とは比べ物にならない程の魔力を貯蔵しておけるのさ」
「ほぇ〜⋯⋯じゃあ、クロさんって実は⋯⋯?」
「うん。獣人の動体視力や身体能力、そして魔力貯蔵量や変換効率を持った、人間の完全上位互換みたいなものだね」
「うはあ」
「まあ、だからこそなのかもしれないけれど、あの子自身、心の揺れ幅で変動する魔力や動体視力やらを制御できていない節があるようだけれどね」
「なんとまあ、難儀なもんっすねぇ⋯⋯ブフッ!?」
ズズっとカップのお茶を啜りながらメイメツを眺めていたリアがお茶を吹き出した。
「おやおや。噂をすれば早速お呼び出しかな? そうだよクロくん。キミの魔法の真骨頂は転移する事じゃない。転移をさせる事だよ」
「調整も万端っす! なんせウチが整備したんすからね!」
仰々しく手を広げたネメアが、メイメツを見上げて高らかに笑う。
「ふふ。さあ、キミの力で、あの子達に希望の光を灯して来ておくれ。⋯⋯⋯⋯行ってらっしゃい」
青白い閃光に包まれたメイメツは、光が収まる頃には、二人の前から姿を消していた。
ネメアはクロがいるであろう方向を見据えて、小さく呟いた。
「頑張るんだよ⋯⋯」




