第二十二話
その後、わたくしとラインハルザ様は無事に結婚いたしました。
侯爵家の結婚と言うこともあり、盛大な式が執り行われましたわ。
時間をかけて準備したウエディングドレス姿のわたくしを見たラインハルザ様は、蕩けそうな微笑みで言ってくださったの。
「セラヴィー、とても、とても綺麗だよ……。俺の妻になってくれてありがとう」
「ラインハルザ様……。わたくしこそ、わたくしを愛して下さってありがとうございます」
二人で手を取り合い、神の前で愛を誓い合ったわたくしとラインハルザ様は、晴れて夫婦となりました。
わたくしは約束を守って、キス以上のことを我慢した結果、初夜で破瓜の痛みを知りました。
ですが、それはとても甘い痛みで、これ以上ないくらいラインハルザ様に愛されて、とても満たされて幸せでしたわ。
お恥ずかしいお話ですが、情事は三日三晩続きましたの……。
あんなにラインハルザ様に激しく求められてしまっては、もうやめてくださいとも言えずに、最終的には体力の尽きたわたくしが熱を出して寝込むことで、激しすぎる初夜は幕を閉じたのです。
結婚後は、心置きなくイチャイチャいたしましたわ。
使用人たちに呆れられてしまうくらい、たくさんイチャイチャしましたの。
だけど、ラインハルザ様の妻という甘美な身分にわたくしは、タガが外れたようにラインハルザ様を甘やかしましたの。
ええ、それは昼も夜も……。
蕩けるほど甘く、甘やかし、時に甘やかされて……。
その甘々な日々の結果、可愛い男の子を授かりましたの。
全体的な作りや髪色はラインハルザ様に似て、瞳の色はわたくしにそっくりな男の子ですの。
きっと、ラインハルザ様に似た素敵な男性に成長することでしょう。ですが、なんとなくこの子の紫色の瞳を見ていると性格はわたくしに似てしまいそうな気がいたします。
本当にわたくしに性格が似てしまったら、お相手の子が可愛そうな気がいたしますわね。
自分のことを棚に上げて、そんなことを考えていると、愛しいラインハルザ様がわたくしに言ったの。
「俺は、セラヴィーと一緒になれて、世界一の幸せ者だよ。セラヴィー、愛してる」
「わたくしだってそうです。ラインハルザ様、覚悟してくださいませ。もう絶対に、離しませんし、逃がしませんわ。何があってもわたくしは、ラインハルザ様を愛して愛し抜きますわ」
そう言ったわたくしは、ラインハルザ様の唇を奪って、熱く蕩けるようなキスを交わしましたわ。
これまでにあった、辛く苦しい屈辱にまみれた日々も、この日のためだと思えば安いものですわ。
わたくしを買ってくれたお義父様、ラインハルザ様と出会うきっかけを与えて下ったお義兄様、本当にありがとうございます。
わたくし、世界一幸せですわ。
愛するラインハルザ様と、愛息子のウルシュカームと生きることが出来るこの幸福に感謝ですわ。
そんなことを考えている間も、激しい口付けは続いていて、わたくしは今この手の中にある幸せをぎゅっと掴んで決して逃がさないと、愛するラインハルザ様にそっと心の中で誓ったのです。
『今まで我慢したご褒美にお義兄様の全てを貰いますね?』 おわり
最後までお付き合いいただきありがとうございました。




