表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お母様はイケメンで失敗しましたが(笑)、最後に笑うのは誰?  作者: ねこまんまときみどりのことり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/63

38 噂のあの娘(こ)? その1

 馭者の横に座していた従僕が、学園に到着したマリアンヌに手を掲げて恭しく下車させる。


「ありがとうございました。それでは行って参ります」

 微笑んで軽く(こうべ)を下げる。


「お気をつけて。頑張ってください」

 従僕はそう言って深い礼をし、嬉しそうな顔でその場を後にした。



 ここアルテミス学園への入学は、10才から15才までの5年。

 16才で成人となるこの国では、卒業後に1年間準備をして婚姻となる者も多い。


 入学試験に合格した貴族、秀でた特技(経営力・魔術や剣術・発明等)を持つ平民の通う場所。


 知識を得るだけではなく、将来遣える者を探したり、側近となる者を探したり、コネクションを作ったり、結婚相手を見つけたりと、本来の目的以外の部分も多い。


 勿論、問題のある人物はお金を積んでも入学出来ない。

 卒業後しただけで、優秀だと言う影響力のある学園だ。



 その学園へ、噂の渦中(かちゅう)の人物がやって来たのだ。


 ポリフェノール伯爵の再婚相手の娘。

 籍には入れないが、現伯爵(伯爵代理)フェインの正真正銘の娘。

 ポリフェノール家正統継承者、アマンダの同い年の義妹。

『マリアンヌ・ポリプレン子爵令嬢』




 本妻の家へ乗り込んでくる愛人の娘とは、どんな厚顔な者なのか?

 興味本意の視線が、マリアンヌに注ぐ。


 だがそんな視線を受けても、貼り付けたものではなく、無邪気な微笑みで返す令嬢の姿があった。


 ポリフェノール伯爵と同じ、紫水晶(アメシスト)の瞳と光に煌めく長いプラチナブロンドの髪、優雅な立ち居振舞い。



「アマンダ様と似ている」と、誰かの呟く声。



 いくら愛人の娘と言えど、ポリフェノール家に入った者に無礼は働けない。それ以前に、上級貴族と言っても差し支えのない身のこなし。

 周囲は、ただただ遠巻きに眺めるだけだった。




 クラス編成は、成績が良い順にABCDに分けられる。

 編入成績が優秀なマリアンヌは、Aクラスと連絡が来ていた。


「本日からこちらで学ぶことになりました。マリアンヌ・ポリプレンと申します。よろしくお願いします」


 優雅な(カーテシー)と無邪気な微笑みで、見とれる生徒達。


 本来なら、淑女の微笑みは些か緊張を孕む。

 相手を見定めようとして、手の内等見せぬように。


 だが、此処にいる令嬢は、心から嬉しそうに微笑んでいた。

 この学園で学ぶことを楽しみにしていたのだと、嬉しそうなのだ。


 そして、恥ずかしそうに付け加える。

「今までは、母や市政の先生の元で学んでいました。いろいろ足りない部分があるかもしれませんので、是非教えてくださいね」と。


 警戒していた生徒達は、牙を抜かれたように放心した。

 振る舞いは美しいが、言葉遣いや表情などは貴族らしくないものだった。

 平民のような飾り気のなさ。


 Aクラスの平民生徒は、好感を覚え。

 貴族生徒達は、様子をみていた。

 苛められることはないが、遠巻きにされている数日。


 裏がない姿を見た生徒達は、次第に心を許していく。

 中には舐めて下に見てくる者も、僅かに現れ出した。


 近づく者の中には、アマンダをライバル視する令嬢達も含まれていた。

 伯爵令嬢だと言うのに、王や騎士団・魔法師団とも仲の良いアマンダを敵視する者達だ。


 その筆頭が、公爵令嬢『アガサ・マグダーリン』

 父は現王の王兄。

 本来の継承権順で、前王が第一王子だったので王となった。

 第二王子のサンガスは、第二継承権があったも早々にマグダーリン家に婿入りした。


 側妃や妾が山といる第一王子。

 自分に王位が巡って来ること等、夢にも思わなかったからだ。

 結果的には、第四王子が現王位に着いた訳だが、それで良いと思っていた。


 王には責任も敵も多くて、安らげない。

 公爵だとて責任は付きまとうも、王の比ではない。

 むしろ第四王子(シルクルード)には、申し訳ないと思っ ているくらいだ。

 シルクルードは、病院組織を統合経営しており、領地を治める暇がないと言い、臣下にも下っていなかったのだ。

 現在はポリフェノール家の人脈(ネットワーク)で、以前よりも規模の拡張は出来、支援(サポート)も受けられたとのこと。

 本来目的としていた、医療を幅広く国民が受けられることは叶いつつあるが、多忙な日々を送る話を聞く。


「まだ39才と年若く、王位を継ぐ息子もいる。あいつ程適任者はいないな」

 晩餐の席でその事を聞く度に、アガサは悔しかった。


 父が王となれば、アマンダに大きな顔等させなかったのに。

 だって王女になれば、アマンダより立場が上になるのだから。

 国で王妃の次に権力を持つ女性に成れるのに。



 元々、王とポリフェノール家の立場は、上下関係が希薄だ。

 ポリフェノール家が根回ししないと、王家の運営も儘ならないからだ。

 伯爵と言う立場だって、本来低すぎる爵位なのだから。




 だから、アガサは誤解していた。

 ポリフェノール家が、自分よりも下なのに優遇されていると。

 そして失脚の機会を狙っていた。





 アマンダの義妹を、利用できるのではないかと。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ