柚花がやって来た!ついでに恋愛相談もやって来た【前編】
異世界に行ったら最高の引きこもり生活!
https://ncode.syosetu.com/n4268ms/
続・異世界に行ったら最高の引きこもり生活!
https://ncode.syosetu.com/n8739ms/
異世界に行ったら最高の引きこもり生活!ローレンスの日常
https://ncode.syosetu.com/n9687mt/
短編から続いております良ければどうぞ
引きこもり生活でだらだら過ごしてるものの、お腹は空くのでご飯はしっかり食べている。
今朝は簡単にパンにバターを塗りスライスチーズとハムとレタスをのせてマヨネーズをかけて食べた。
そういえばチラチラが見えない。あの効果は大体半日と言ったところだろうか。ローレンスさんは何だかいつも見えてるっぽいから今度聞いてみよう。
郵便受けに入ってた手紙をパラパラ見ながらほとんど捨てていく。
ローレンスさんの手紙には、ちょっと面倒臭そうなことが書いてあったが返事を書いた。
やっぱり、お金を持って来てくれる人には優しくしないとね!
例のごとく窓からポトリと手紙を落として今日は映画を見ることにした。
ポテトチップスを食べる手が止まり鼻がぐずぐずになって涙が溢れてティッシュを取り感動が最高潮に達していると、
ゴンッドサッ
「いったー!うっわなに?」
と、聞こえてきた。
玄関に行くと柚花が足を段ボールに入れたまま尻餅をついていた。
「ガチでうけるんだけど」
「本当に彩音だ。ってことは、なにここ異世界ってこと?」
「らしいよ」
「まじかー! あつ!案内してよ!」
「いやぁ、私一歩も外に出てないんだよね」
「そんなことある!!?」
柚花は大きめのスーツケースを抱えて段ボールの中に立っていたらしい。
とりあえず柚花に麦茶を出すとシュワシュワしたものが飲みたいと言うので無視しておいた。
「ねえ、せっかく異世界に来たんだしさ外にいこうよ!見て回りたいし動画とか写真撮りたいんだけど」
「あー後でローレンスさんが来るから頼んでみるわ」
「ローレンスさん? イケメンぽい名前だが?」
「柚花……ここの人たちみんな顔面偏差値高いぞ」
「きたー!!!これは合コンじゃない?」
「私は引きこもり生活満喫するんで勝手にやって」
「なんで??」
コンコンコン
窓がノックされた。
窓を開けるとローレンスさんと手紙に書いてあった侯爵令嬢が一緒にいた。
「聖女様ごきげんよう。こちらはエヴァーデン侯爵家ご令嬢ジェシカ様です」
「聖女様はじめまして。エヴァーデン侯爵家長女ジェシカと申します。本日は」
「あ、堅苦しい挨拶はいらないです」
「彩音、なにあんた聖女様って呼ばれてんの?」
「こちらは私の友人の柚花です。気にしないでください。ローレンスさんお時間ありましたら、どなたか柚花のことちょちょっと連れて外を案内してもらえません?」
「もちろんでございます。近衛を手配しましょう」
なんかすごいの来るみたいだけどまあいっか。柚花は近衛って近衛騎士!?って騒いでるし。
「それで、ローレンスさん。ご相談とは?」
私は何だか嫌な予感がして椅子を出さなかった。
「侯爵令嬢がお悩みでいらして聖女様なら解決できるかもとお話ししたのです」
「へぇ」
「私の婚約者のヴァルのことなんですが、その、もうずっと彼の幼馴染みを優先して私を優先してくれないのです!」
「あーそれは脈なしですね。別れてください」
『ピシャ』
私は窓を閉めた。
「どう考えてもダメ男じゃん。炭酸頼んでくれた?」
「だよね。とっとと別れればいいのに。頼んでない」
ゴンゴンゴンゴン
「聖女様!!!あんまりですわ!!お開けくださいませ!!!」
「え、地雷女なんじゃないの? 窓割れるって」
「柚花代わってよ」
「呼ばれてるの聖女様じゃん」
「チッ」
『シャッ』
「別れる一択ですね」
「そんな酷いこと言わないでください! 聖女様のお力でヴァルを私の元へ戻してください」
「そんな力は、あ……」
ローレンスさんがすごい勢いで顔を横にふっている。もう面倒だな。
「では、占いをしましょうか」
「な、な、なんですって!? 聖女様が邪教の占いですって? あのドクロを使ってするという?」
「あーこっちのコトバムズカシイデスネ。御神託を授けます。あなたの生年月日を教えてください」
「生年月日が必要なんですか?」
「神様も個人を特定するのは大変なんですよ」
「ティア歴518年10月30日ですわ」
…………なんだそれ。まあいっか。私はChatGPTに入力した。辛口で回答すること。
『正確に入力して下さい。あなたは何を言ってるのですか? 生年月日が不明なため運命数で算出します。恋愛において9は、非常に愛が深くみえて面倒なタイプ。見た目の華やかさより、その人のちょっとした優しさに溺れやすく、一度愛してしまうと拗らせてしまう。そして、相手を理解したつもりになったり、終わった関係に執着して身を滅ぼす』
私はそのまま読み上げ、御神託でも身を滅ぼすと出ていますと伝えた。
「納得いきませんわ! こんなに愛していますのに」
ティア歴だからティア神でいいのか?
「そのままではありませんか。身を滅ぼすとティア神も」
「ティア様がそんなこと……」
おおお!合ってるっぽい!
「いいですか。そもそも幼馴染みとは言え妙齢の女性な訳ですよね。その女性のところにばかり行っている。あなたに割く時間は無い。きっとプレゼントもろくな物もらってないのでしょ? どうせ約束も毎回破られてるんだよね。そんな人が好きだよって言ったところで、結婚後もその幼馴染みがくっついてくるんじゃないですか? いや、くっついてくるだけならいいですけど、あなたの婚約者との間に子供が出来たら? それでもいいの?」
「でも優しかったんです!ヴァルはそんな人じゃない!」
「いやそんな男だろ」
柚花まで追撃の一言を放った。
「別れないなら、もうここには来ないでください。ティア神の教えに背く行為です。では、失礼」
「ローレンスさーん!早速案内してー!」
『ピシャ』
「ジェシカやばいね。行ってくるわ!」
「いってら」
私はまたの襲来に備えて以前に買ったオラクルカードを取り出した。これはドクロじゃないから大丈夫だろ。見えないところで引いて写真を撮ってChatGPTに見せればいっか。
「柚花様、そのお召し物では目立ちますのでお着替えをされてください。来賓室にご案内いたします」
「ローレンス様、聖女様は何でも解決してくれるのではなかったのですか?」
「それはそうなんですが……」
「あんたまだ言ってんの? そんなダメ男のどこがいいの? じゃあさ合コンしようよ」
「なんですの? 合コンて」
「男女で集まって恋人や結婚相手を探すこと!」
「わ、私は婚約者がいますのよ!」
「だーかーらーその婚約者が幼馴染みにお熱なんでしょ? 早く捨てちゃいなって。捨てなきゃ新しい男も出来ないって。ね、ローレンスさん」
ローレンスさんは胃をおさえて頷くだけだった。
「ほら、ローレンスさんも頷いてるし!」
「ではお茶会をされてはいかがでしょうか。手配いたしますので……」
♢♢♢
私は窓のそばにオラクルカードを置いて、孫の手で痒くもないのに背中をかいて、そのまま服の中に孫の手を入れっぱなしにしておいた。何となく落ち着くし痒くなったとき便利だから。
ドンドンドン
えーもうジェシカ戻ってきたの? 出禁にしてやろうか!
「ちょっと!いいかげ」
「突然の訪問すまない。今、少し時間いいだろうか」
そう言った男性はがっしりとした体躯で背は高く真っ赤な燃えるような髪に深い森を閉じ込めたようなエメラルドの瞳。鼻はスッとして高く、一体何等身あるのかと考えてしまうスタイルだった。黒と赤に金が入ったマントを羽織っていた。圧倒的二次元に近い三次元の男きたー!!
「大丈夫ですよ」
「あなたが用意してくれた殲滅の剣と一撃必殺のナイフのお礼にきた」
「あーお役に立ちましたか?」
「ああ。数週間はかかると思われていた大物の魔物の討伐が1日で終わった」
「!? ふぇふぁ……公爵様の実力ではありませんか?」
「ははは!ファルエールだ。聖女様の名前をお伺いしても?」
「遠川彩音です」
「不思議な響きだな。トーカワアヤネ様」
「トーカワアヤネ様に剣のお礼にこちらを受け取ってほしい」
「あの、遠川か彩音のどちらかで呼んでください。フルネームで呼ばれるのは抵抗があります」
「それは失礼した。お金に宝石類にドラゴンの目だ」
「お金だけもらいますね」
ドラゴンの目とか気持ち悪いな。宝石はスマホでスキャンしてみたい気もするけど使わないし。
「ん? アヤネ様の背中にあるそれは!? 神話級の業物ではないのか? アヤネ様の神々しさに隠れて気配が紛れてしまっているが」
「あ、これですか? お祖父ちゃんからもらったんですよね。だから年季が入ってるんですよ。見てくださいよ、面構えが違うでしょ?」
「これは…………確かに面構えが違うな」
「使ってみます? 気持ちいいですよ」
「いいのか! 是非お願いしたい!」
ファルなんとか公爵はかなり食い気味で私は若干引きながらも背中から取り出したばかりの孫の手を渡した。でも私の温もりがついてて気持ち悪くないのかな?
「これは……さすがだ。重みが違う……」
ファルなんとか公爵の体の周りから瞳と同じ色のオーラが立ち上る。孫の手が変化して大剣となり柄は金色に輝き宝石なのか何なのかあちこちに眩く。何と言っても刀身が研ぎ澄まされた銀色になって輝きを放っていた。
おい、面構えが違いすぎるじゃないか……
ファルなんとか公爵が一太刀振り下ろすと爆風と共に轟音が轟いた。
あちこちから大量の駆けつける足音が響いてきた。
「ちょっと振り下ろすだけでこの威力とは神話級の宝剣エルディオンは違うな」
「何事ですか!? 聖女様ご無事ですか?」
「ああ、すまない。私がちょっと素振りをしただけだ。アヤネ様この宝剣を」
「売りませんよ」
私はそう言って手を出した。
ファルなんとか公爵は頭をかきながら色々言っていたが孫の手を返してくれた。
私の手に戻ると孫の手は普通の孫の手に戻った。
「アヤネ様、どうすれば貸していただけるだろうか?」
「普通に背中をかくだけなら」
「魔物討伐はダメだろうか?」
「ダメに決まってます。その後使うの気持ち悪いでしょ」
「ふむ。生き物を切らなければいいのか?」
「まあ、要相談ですね。では」
『ピシャ』
なんだよおまえ面構えが違うどころか別人じゃんよ……
♢♢♢
「彩音、私さ王宮の部屋で暮らすわ!こんなこと経験できないし」
「いーんじゃないの。てか休みさどんだけ取ったの?」
「1週間。じゃあ行ってくんね!」
柚花はドレス姿になって煌びやかなアクセサリーを身に付け、髪も綺麗にセットしていた。
探検しないのか? 男探し全振りか? まあ楽しんでるならいっか。
コンコンコンコンコン
チッ誰よ
「聖女様、私婚約者がいると言うのに柚花様が合コンなるものを開くとおっしゃるのです!」
「…………かえれ!」
『ピシャ』
♢♢♢
ローレンスさんからお茶会を私の窓の前で開催するという手紙が届いた。
ジェシカが言っていた柚花の合コンのことだろう。
私はしばらく考えて2通の手紙を書いて窓からポトリと落とした。
孫の手【宝剣エルディオン神話級】
どんなものでも切り裂く
背中もかける




