カレンのB面(裏面)。
では、本編をお楽しみになってください。
夜遅くまで続いたお食事会の後で、「お父様、お母様、少しお部屋へお邪魔して宜しいでしょうか?」
「私は構わないのですけれど、貴方はどうなのかしら?」「ん、ゴホン。構わないとも。」ほっほ〜、これはやっぱ、今夜は寝室に西南の風を吹かせる積もりだったな。
俺は父ちゃんら親子の様に覗き趣味は無いんで、夫婦の睦言(=イチャイチャ会話)にお邪魔をする積もりは無い。「用事は直ぐに終わりますので、ご心配には及びませんわ。」
それを聞くと、何とはなしに下を向いてモジモジする爆熱若夫婦。はいはい、リア充おつー。誰が長居をするもんか、それだけ弟や妹が遠ざかるんだっつーの。
長い廊下の先で、落ち着いた母ちゃん好みの簡素な寝室へ入り、側仕えから透釉銀線七宝(=émail cloisonné)のペンダントを受け取ると、両親それぞれに一本づつ渡す。
「これは?」「私から、お父様、お母様への日頃の感謝を込めたプレゼントです。」「このデザインはカレンが?」
「はい、お父様お母様と私の代わりにオシドリの親子を描いて職人さんに焼いて貰いました。」「うっとりするほど綺麗・・・、お母さんとっても嬉しいわ!」
父ちゃんは俺をガバッと抱き上げて、ジョリジョリ攻撃をして、頭にムチャクチャキスをしてくるんだ。眠くてクラクラしてんのに、体を揺すんのはヤメれ。あー、気分が悪くてたまんね。
この七宝焼きって、金属の胎(=素地)に下絵を付けて、銀線で絵の輪郭を描き、俺と母ちゃんの瞳の色のアメシストの欠片やシャコ貝なんかの破片をアラビアゴムの糊で貼っ付けて、鳥なんかに色釉を乗せて乾かし、透明釉を上に盛って焼成した銀胎七宝なんだ。素地が銀だと、特に明るく発色するよ。
釉ってガラス質だから、キラキラしてとても綺麗だね。七宝焼きの技法は紀元前のエジプトからあって、ミイラのマスクなんかに使われていたりする。もちろん日本にも有るけど、欧州世界の焼き物のスタンダードだ。
彼女や奥さんに宝石を贈るのも良いけど、七宝のウンチクやら、自作七宝で気を引けばシャレ者と思われて、きっとモテモテだよ。貰う方の彼女も値段よりか美しさを見る目があるか判断できるし、男の方も審美眼を問われるからセンスが物を言う贈り物なんだけどね。
「貴方、そろそろカレンが参っておりますので、離さないとまた嫌われますわ。」「や、これはスマンスマン。私も感激でツイな。」「いえ、お父様よろしいのです。それでは、お父様お母様おやすみなさいませ。」
「ああ、おやすみ。お前は、本当に良い娘だな。」「カレン、本当にありがとう。おやすみ、良い夢を見てね。」父ちゃん母ちゃんと、おやすみのキスをして夫婦の寝室を下がった。
はー、疲れたけど〜、本当に今夜は良い夢を見れるわ。「どうされたのですニコニコ良いお顔をされて、そんなにご両親様に褒められて嬉しいのですか?」「まあまあ、そんな所です。」
隠れた計画者が、釣れる予感(微笑)。
〜〜〜〜〜
ここはグラン・ブルンに割と程近い屋敷で、掃除の行き届いた装飾品の豪華な一室。豪華さに比例して、部屋の雰囲気も華やいでいれば良いのだが、屋敷の主人はともかくバタイユは暗く沈み込んでいた。
「最初に、これだけは言って置こう。アレを幼児だの、良く出来たお飾りのお人形だのと思わない方が良い。」「では、何だと仰るのですか?」
「アレか?そうだな、グロノーの向こう側に聞く犬歯虎(本来なら新大陸生息)の仔だろうな。」「それは、過大評価がすぎると・・・。」
「では、何だと言うんだ?お前の頭は帽子の台じゃあるまいに、うかうかと呼び出されて余計な情報を掴まされて、こうしてワザワザ自ら報告をしに屋敷に来ている。」
「それは、あれほどの大才を見せ付けられ、こちらの尾を読み取る素振りも見せられたら慌てます。」"チッ・・・、"男は強烈な舌打ちをして見せる。
「それが、アレの策略だとしたら?」「まさか、いくら天才的頭脳があっても、あんな小さな娘に⁉︎」「クックックッ・・・。アレが言ったのだろ?3歳児なら、"読めるのが分かっていても甘く見る"と、見かけに騙されるとはな。
それが、お前という凡人の限界だと知れ!本物の天才とは、居る所には居るもんだ。」屋敷の主人は、どこか愉しげに言葉の鞭をバタイユに振り下ろす。思わず、肩を竦め、その高い襟の中に首を縮め入れた。
「詩才に、楽器を奏でる才。様々な料理を生む才に、現況と未来を見通す才。情報に聡く、そして人心を見通し束ねる才。おまけが、計算の才に物を生みだす才。
あの歳で、どれか一つでも飛び抜けているだけで奇跡的なのに、その全てを見せびらかす必要がいったい何処に有ると言うのか?」
「さあ、私には分かりかねますが、よほど自己顕示欲が強いのかと思われます。」
「ハンッ!アレの母親はミラベルだぞ?質実剛健を絵に描いたようなあの女の娘が、贅沢をしたり見せびらかす事を好むと思うのか?アレを見たが、その装飾は儀式に相応しくも最低限のに抑えられて居たぞ。
バカが、物欲と自己顕示欲は背中合わせだと思わないのか?そして情報に聡いという事は、決して無駄な情報を渡さないという事だ。」
バカと言われて少しムッとしたが、商人に相応しく柔和な作り笑いを浮かべて見せる。「へへー、真に恐れ入り奉りますです、はい。」
「よく考えてもみよ。アレが渡して来た情報は、アレが並みの人間ではないと思わせる情報を山盛りにして来ているが、凄いという情報以外で何かこちらの為になる情報があるか?
並みでは無いという事は、余興の席で明らかだ。中身の無い情報を大量に与えて、お前が焦って俺に直接報告するのを見越している。書面ではなく、自分で直接報告したくなる誘惑に駆られる様に仕向けてな。」
「まさか・・・。」バタイユの顔が驚愕に固まる。
「お前は、アレが別邸で篭っていた時からアタリを付けられて居たのさ。そして、今夜は監視を付けられ泳がされた。アレの言葉に惑わされるな。監視対象は、こっちが利用した2人ではなくお前だよ。そして、お前はマンマと俺の懐に飛び込んだ。」
「そ・・・、そんなバカな・・・。この屋敷に入る時には、細心の注意を払って御座います。」
「ほほー、細心と抜かすか、ならばこれを見よ!」見よと言った男が腕を突き出すと、いくらバタイユが目を凝らしても肘から先が見えない。
「ひえ〜〜〜⁉︎腕がない・・・???」バタイユは、腰を抜かさんばかりに仰天した。と、思った瞬間に男が腕を振るとその先が元の姿に戻る。
「風マナ法使いなら、簡単なトリックだ。空気の密度をいじって光の屈折率を変えると、この様に透明に見える。監視者が、お前を謀る手段ならいくらでも思いつく。」
また、男はもう一度透明にすると自分の腕を眺める仕草で、「これを昼間にやられても注意をすれば気が付くが、宵闇の薄暗がりでされると細心の注意を払っていても騙される。
特に、お前の様なボンクラは、絶好のカモだろうよ。公爵の娘であるアレの側仕えから護衛騎士まで、いったい何人のマナ法使いが居ると思うのか?巡爵を頂いては居ても、所詮は元平民か、その感覚が抜け切らんか・・・。」
「なぜ、アレは別邸に篭っていたのに、ドライ・トマトが作れる?
なぜ、ジャガイモ料理を出せる?
なぜ、プレとポマを事前に知って手に入れられる?
手に入る独自ルートが有るのにも関わらず、なぜギルドを通す?
なぜ、アイテシアの現状、特にカロリナとキャナルの長年の確執が演出だった事を知っている?
確執を演出だと知って居れば、この間隙を利用する人間が居ると推測するのは簡単だ。実際、アレが口にしたんだろ?
別邸から出て1週間の人間になぜそれらが分かると思うんだ。」バタイユの顔がドンドンと青ざめ苦痛に歪んでいく。
「・・・申し訳ございません・・・」
「もういい、アレがお前の想定を軽く超えて居ただけだ。俺は、今日のガトーを食べて驚愕したよ。そしてお前が、深夜ここに来た事で確信を持った。」「なんと・・・。」
「例えアレが神々の天啓を得ていたとしても、調理をするのは別人だ。教えてキチンと伝わっているかを確認する作業を繰り返さなければならない。と、すると、相応の下準備がいる。それだけの時間が掛かるという事だ。
何ヶ月、ひょとしたら何年単位でな。アレは篭っている時から状況を見据え、俺の様な人間が居ないか罠を張って待っていたんだ。でなければ、あのクレモンが驚愕するような技法や細やかな味はだせん。」
バタイユが呆けて、無意識のうちに脂汗を滲ませたハンカチで忙しく顔を拭う。「全ては、計算され尽くされて居たと?」
「ああ・・・、そう考えねば、辻つまの合わぬ話ばかりでな。恐るべきは、アレの身のこなしの素早さよ。静かに獲物を狙い、攻撃範囲に入ったら迷わず齧り付く。お前は、あの2人を弁舌のみにて公爵の裁定から見事に救い出し、デザート対決で本当なら反感を買うところが厨房との摩擦を修復して見せ、以前より強固な絆を築き上げるような真似が出来るか?」
バタイユは頭を振り、説明されて実感が湧くとブルっと身震いをする。「いえ、滅相も御座いません。同じ真似をせよと言われても、第一にどういう計画を立てれば上手く行くのか、想像すらも出来ません。」
「アレは、それを事も無げにやってのけたのだぞ?片方だけでも至難なのに、両方を一度期(=一緒)にまとめる手腕。俺が、犬歯虎と例えたのさえ生温く感じる。噂に聞く、巨大鮫の方が適切な表現か・・・。」"う・・・、ごぶっ"バタイユは、極度の緊張感から、胃の内容物が喉奥まで逆流して咽せる。
「ともかく、アレは人界にあらざる化け物の類いだ。幸い、アレはまだまだ子供だ。あと20年、いやさ10年早くに産まれていれば、俺らは一瞬で腕どころか上半身ごと持っていかれているはずだ。今回は、アレに力がないから俺のバックに警戒して、手段を選んでいるに過ぎん。ん、まて、アレの目的はなんだ?」男は、バタイユの前で自問自答の世界に没頭した。
「・・・ブツブツ、救える者をすくうのは分かった・・・ブツブツ・・・、そうか、バックに3歳児を危険人物と報告するのも、要注意人物と報告するのも俺が狂人と疑われるだけか、くっ、そこまで見越すか
・・・、標的は俺?いや、バックか!俺の背後関係から一切に喰らいつく積もりか・・・!!」
"国を相手どる幼女だと⁉︎"笑い話にもならない思いに、だがしかし男は背筋に冷たい物を感じた。そう、"アレなら怖れげもなく、実行してしまいかねん"男は、その予感に総毛立つ。しばらくして男は、最初の愉快げな仮面をかなぐり捨て、幽鬼の様な顔で当面の行動を言い渡す。
「利用した2人の始末は止めだ。俺が釣られた以上、始末するのは意味がない。ギルドは、上げてアレのハーモニエ運動をバックアップしろ。」「それはまた、どうして?」
「その手の内が掴めるまでは、アレに協力して決して流れに逆らうな。戦略の"基本"は、どちらに転んでも利益を確保する事だ。序でに、ハーモニエを融和派に教えてやれ!奴らは喜んで飛び付くだろう。今は、アレを浮き立たせる事で、策を施す間隙を作ろう。」
「わざわざこちらが進んで動くとは、気前の良い話ではないでしょうか?」
「バカ者!お前は既に、相当な思考誘導を受けて俺の計画に随分と穴を明けてくれている。お前が、対決の話を持って来た時は、アレは既に何ヶ月も前から計画して来たことを、さもその場で思い付いた如くに喋ったそうだな。」
「はい、厨房筋からの情報と、アレからフランボワーズやカカウエッツテの相談を受けた時に当人から聞きました。」
「フンッ!やれピーナッツだ、やれ木イチゴだなどとギルドに短期間に足しげく通って頼る風を装っている。
人形の様に可愛い幼女に頼られれば、自然と警戒心は下がる。アレの手蔓(=人脈)なら、容易に手に入れるであろう物を、わざとギルドに注文してな。
その後のアレの話に矛盾が生じても、警戒心の下がったお前はアレが口にした話を真に受けて思考を誘導されてしまうわけだ。敵方に、あえて情報を渡す時は真贋を取り混ぜる。警戒心が無ければ、偽物の情報は見分けられん。」
「・・・」
「余興の話を俺に持ち込んだのは、対決の3、4日前か、策を施すか、無視するかの"ギリギリのタイミング"だな。策を施さなくてもアレに損は無いし、クレモンとの和解のキッカケにする分は得だ。
賭けに出るなら策を施し、俺は実際にそうした。そういう風に、思考の幅を狭められてな。今回が避け得たとしても、いつかはそうやって釣り出される。」
「そんな、報告した事が悪かったと?」
「悪くはない。アレは当然の如くに報告される事を見越して、こちらの油断を突いて来ている。お前が俺に報告するのは当たり前だ、だが、その当たり前を利用するアレの思考は当たり前か?」バタイユが戦慄に凍てつく。
「お前は、うまうまとパーティーに釣り出されるのに、アレの望むサイン付きの書面まで渡すという二重の失態を演じているしな。」男は、処置無しと両手を上げて肩を竦めてみせる。
「まあ良い、今回はあんな化け物が出て来るとは予想外だったからな。一本取られた事にして、この場は引き下がる。お前も、もう家に帰って休め。」「はっはい、それでは失礼いたします。」
「ふう〜、やれやれ。あの男も使えない訳ではないが、ロレッタの血筋はどこまでも粘りよる。当代のデュクは単なるお坊ちゃんだが、人を見る眼だけはある。まさかジュヌビエーヴを退けて、質実剛健な女をデュチェッセに据えるとはな。
組し易い女であれば、内から良い様に操れたのにな。次は化け物幼女か、アイテシアの命脈は容易に尽きそうに無いが、綺麗に倒れて貰わねば困るのだ・・・。」
男は、そう一人言をつぶやいた。
〜〜〜〜〜
最近の俺は、朝食を済ませると中庭に出て、そこに設えられた四阿で楽しいお茶の時間を優雅に過ごす。
耳を澄ませると、初夏の爽やかな風に乗ってヒタキやツグミ、ヒバリにツバメの高くてピーチクパーチクと忙しない囀りと、アオゲラの合いの手を入れるようなユーモラスな鳴き声がする。
落ち着いていると、スズメがチュンチュンと近くで鳴いて、カササギもその長い尾をタクトの様に上下に振りながら辺りを飛び回る。近くの林からは、コココーンとアオゲラなんかのキツツキ類の木に穴を穿つ音が聞こえる。
ツバメは、四阿の天井に巣をかけてせっせと子育て中だ。頭の中で、サッチモの独特なハスキーボイスで『この素晴らしき世界』の歌が木霊する。
本当に、この世界は自然豊かでwonderful(=素晴らしい)だよ。英語をやってて得なのは、こうした英詞が訳もなくストレートに心に沁み入る事なんだ。
ス◯ーウォー◯のEP2で、パ◯メのセリフの可愛い事、可愛い事。外人さんはお相手としては俺の好みじゃないんだが、思わず岡惚れしそうになったわ。ん、今は俺が外人さんか(笑)
俺が静かに思索に耽る時は、周りの側仕えは黙って見守ってくれるし、ムームーも彼女と一緒に側で丸くなって寝ている。ムームーのやつ、体が大きく強いもんだから、この辺りの雌猫にモテモテなんだぜ。
ヒバリと言えば、ラルエットさんはどうしているだろうかな?そんな静かな雰囲気の中で、蒸留機の音がシュンシュンとして、冷却水を井戸から汲み上げるガシャンガシャンと言う音だけが時々あがる。
昨日使った、カモミールと炭を有効利用しなきゃね。あたり一面をカモミールの香りが包んで、優雅な雰囲気に華を添えていた。
俺が計画しているこれからの予定に、松脂から蒸留してとれるテレピンやロジンは欠かせないし、単純に高純度アルコールも欲しくて、俺の生活の予備費から蒸留機の代金を出して買ったんだ。
母ちゃんやリーラは、俺が実のある事にお金を使うのを叱ったりはしない。そりゃ、ムダ遣いをすれば叱られるだろうけど、俺に無駄な事をしている余裕はあまり無い。
蒸留機を数台仕入れて、アロマオイルを石鹸に使ったり、トイレの芳香剤に使う積もりだよ。ただ便器を作っただけじゃ、臭いの解決にはならないもん。
それに、おトイレをどうにかするにしても、その先の浄化槽や下水設備を考えなきゃ、昨日、口にした流行病の話なんか衛生状態を考えても解決しないからね。それに排水となれば、厨房のグリストラップ(=排水と生ゴミ・油の分離槽)の話とかあるしね。
しっ、内緒。大規模工事に絡んで商人なんかに情報を流すのは、工材の値段高騰の素だからだよ。それにさ、聞かれ無かったら言わないのが普通なんじゃない?
意識されてないのが、排水と飲用水の衛生の問題と、食料増産の問題。それと、ダメ貴族の意識改革だな。大規模工事が絡む分の話は早めに、他は追いおい解決するしかないな。
今度、父ちゃんに朝議に出たいつーたら、どんな顔をするかなぁ〜。思い浮かべて、つい"ウフフッ・・・"と声になったところでリーラが、
「お嬢様、ご報告があります。」
「ん、なーに?」
「昨夜、ギルド長を監視していたドニーズとオディールから報告が上がり、ギルド長は深夜にも関わらず例のお屋敷に入ったそうです。」
「ご苦労様です。2人には、下がって貰う様に指示してくださいね。私の方からも、お疲れ様との労いは忘れないように致しますので宜しくお願いします。」
何で、"例の"なのかって?今まで出会った人物とのやり取りに、状況を整理すれば推論がつくかも・・・(微笑)
「畏まりました。ところで、お嬢様はずいぶんと楽しげでしたが?」
「ああ、昨日の事も含め、これからの計画を考えていました。ね、最善の戦略って何だと思います?」
「さあ、私めは軍事に疎いので存じておりません。」
「戦略の最善は、豆を植えると"寝ている間に勝手に育っていく"様なものです。丁度、水面に広がる波紋が大きくなって、次々現れる様なものですね。両方に利益を見るのは、戦略の基本ですわ。」
「お嬢様は、いつも楽しげで御座いますね。」
「ええ!もちろんです。」
エマイユもクロイゾンも、フランス語ではどちらも七宝焼きですが、エマイユ・クロイゾンと続いた場合は透明釉薬の銀線絵付けの七宝らしいです。筆者は、あまり七宝焼きには詳しくはないのですが、調べている内にその美しさに虜になりそうです。
紀元前のエジプトで、ツタンカーメンの仮面で使われたのが起源と言われています。最初が古いだけに七宝焼きの技法は各地に伝わって、ヨーロッパでも王侯貴族の間の装飾品として広く使われていたようです。七宝の大物は、壺や皿にもなりますし、身近な小物や化粧品いれにも使われたそうです。




