まごうことなきデートです14
「恵茉」
ノリノリで落書きをしている姿を見ると本当は撮りたかったんじゃないかって邪推をしてしまう。きめたつもりの服装だったけれど、機会があるのなら制服バージョンを手元に残しておきたい。
「?なんですか?」
機械に向き合ったまま恵茉は落書きを続けている。
「ちょっと俺に任せてくれない?」
「あ、良いですよ?でもあまり可愛くなくしないでくださいね。激熱に盛れてるんですから周りの感じでさらにワンランク上を目指したいんですから」
「そうじゃなくて」
流石に手が止まって、不思議そうに俺の顔を眺めた。焦らせるようにタイムリミットを告げる電子音がしきりに鳴っている。
「え、じゃぁどういうことですか?任せるって」
「その……」
もしかしたら俺が割り込むことじゃないのかもしれないなんて脳裏をかすめる。けれど、たった少しだけ恵茉のために動きたいと思うのは余計なことだなんて言わせたくない。
「話をしたいと思って」
「……え?……誰と?」
困惑した表情を隠せない恵茉は途中になった落書きのことも忘れて行くみたいで、それは申し訳なく思った。
「今日の目的の人と」
「今日の、目的……」
断言できる。今日の目的はデートなんかではない。そろそろこんなデートを装った休日にも終わりが来てもおかしくはない。
俺の言わんとしてることが恵茉にも伝わったみたいで、首を横に振った。きっとそれは当たり前の反応だろう。
「いやちょっと、待ってください。ダメ……ダメですよ!そんなん!というか何で気付いて……って終わっちゃいますよ!コレ!楽しみだったのに!」
チカチカと点滅を終えて取り出し口にシールが落ちる音がした。スマホで選ぶ時間も考慮すると恵茉はまだ動けないはずだ。
機械の外に出ると俺の予想通り俺らの近くに見覚えのある男が手持ち無沙汰的に立っている。
今日のデートもどきにそろそろ決着を付けなければならない。




