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俺の上司AIなんだ  作者: 石鎚良
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政宗

 【政宗】「なめてんのか?」

【安藤】「いえ、けしてそのようなことは・・・」

【政宗】「この営業成績では来年はここにいないな。」

【安藤】「それだけは・・・」

【野口課長】「彼には家族もいますし~何とかここに留めるわけには~」

【政宗】「俺は成績で純粋に判断しただけだ。」

【野口課長】「彼がやめれば変わりが必要になりますし~・・・」

【政宗】「サスケに任せれば人間1人いなくなっても問題ない。」

  『政宗』はJRSのライバル会社であるWorld(ワールド) Ai(エーアイ) Technology(テクノロジー)が開発した最新鋭AIである。等級はNOBUNAGA部長と同じ部長級である。

【安藤】「どっかの会社が2年に1回人を切っていたけど『政宗』はもっと早い。」

【野口課長】「人間をなんだと思ってるんだやつは!」

【安藤】「ものですね、道具(凹み)」

【野口課長】「従業員数2万人ぐらいの会社でもう2000人切られたぞ。たった2年で。」

【安藤】「AIはデータを蓄積して成長するのでその結果が今だということは~。」

【野口課長】「うちの会社が集めたデータが怖い人や厳しい環境のデータばっかりだったってこと。(凹み)ぼやいても仕方ない。とりあえず仕事しよう。」

【安藤】「そうですね。とりあえず仕事しましょうか。」

【政宗メール】ライバル社に負けない大口の受注をとれ。期限は3カ月以内だ。

【野口課長】「きつ」

《政宗の心中》これぐらい人間にもやってもらわないと。出来なかったらロボットと交換だ。

【安藤】「課長どうしたんですか?」

【野口課長】「これ。」

【政宗メール】ライバル社に負けない大口の受注をとれ。期限は3カ月以内だ。

【安藤】「きついですね~。」

【野口課長】「吉井、や田村にも同じメールが入ってる。」

【安藤】「営業課長に課せられた強烈なノルマですか。そんなの取れるやついるんですね?」

【野口課長】「それがいるんだ。」

【安藤】「誰ですか?」

【野口課長】「政宗。」

【安藤】「政宗!AIじゃないですか。」

【野口課長】「やつが課長級のときに社長と同席して日本証券にAIを導入する案件をまとめたらしい。」

【安藤】「日本証券つったら超大手じゃないですか?そんなことできるんですか?」

【野口課長】「社長と同席したから出来たんだろう~。ただその時に政宗の性能を観て先方がうちに受注させることを約束したそうだ。」

【安藤】「AIがAIを受注するってどうなんですか?人間いらないじゃないですか。」

【野口課長】「いやAIに懐疑的な人には人間が対応しないといけないからまだまだ人間の需要はある。ただそうだったとしても今回のノルマはロボット基準だ。人間には結構きつい。」

【安藤】「どうするんですか?」

【野口課長】「受注を取るしかない。」

【安藤】「取れなかったら?」

【野口課長】「クビかもな。」

【安藤】「クビかもなってそんなあっさり・・・怖くないんですか?」

【野口課長】「まぁなんとかなるやろう。独身だから身軽だしな。」

《安藤の心中》クビになっても構わないとか簡単に言えて羨ましい。俺には家族がいるし今クビになるのはきつい。家族の生活費は?新しい就職先は見つかるのか?離婚、最悪ホームレスなんてことには・・・

【野口課長】「どうした?」

【安藤】「いえ。」

【野口課長】「今の話は俺に与えられているものだ。お前は自分の仕事をすればいい。家族のためにクビにはなるな。」

【安藤】「はい・・・」

人間の情はありがたいと安藤は思った。


 【政宗】「堀本。」

【堀本】「はい。」

【政宗】「日本証券に挨拶に行く。同席しなさい。」

【堀本】「はい。以前納めたAIの状況確認ですね。」

【政宗】「そうだ。」

《政宗の心中》堀本には情がない。純粋に利益を追う。俺はそういうやつが好きだ。

《堀本の心中》上手く立ち回れ俺。出世にはそれが一番。


 日本橋兜町、日本を代表する金融街である。南北に都営浅草線が、東西に東京メトロ東西線が走っている。意外と飲食店なども多い。そんな街の一角にある日本証券本社に政宗はトレーディング用のAIを1体納めている。このAIは蓄積したデータをもとにその時々で最善の取引を行うように設計されている。日経225インデックス、ボラティリティーインデックス別名恐怖指数等のデータはもちろん地政学、リスク政治リスクマイナーな取引手法トレーダーの心理までが蓄積されている。これらの膨大なデータをもとにその時々で最善の策を講じ実行していく、人間と違って誤作動しない限りミスらないのだから人間からしたら始末に負えない。そんなAIの性能確認が今日政宗と堀本を交えて行われることになっている。


 「政宗部長」お久しぶりです。堀本さんも。」

【政宗】「これはこれは一色常務お久しぶりです。わざわざお出迎え頂いて」

【一色常務】「今日はわざわざご足労頂いて。」

【政宗】「いえいえ、仕事ですから。」

【一色常務】「早速ディーディングルームの方へ・・・」

ディーディングルームは本社ビルの7階にある。そこでは何人かの人間と何台ものモニターが鎮座しチャートや日々のニュースが映し出され、日々膨大な取引が行われている。そんな部屋で人間に交じり1台のAIがトレーディングに没頭していた。没頭といっても人間と違って様子はものすごくスマートだ。ただ黙々と取引を約定させていく。他の人間が張り詰めた様子でチャートと向かい合っているのに。

 【堀本】「さすがAI、疲れを知らないっすね~。」

【政宗】「当たり前だ。」

《堀本の心中》「ちっ」

【一色常務】「どうですかガリバーの様子は?」

【政宗】「見た目には問題なく動いているようですが、一色常務の目から見て何か変わったことは?」

【一色常務】「導入から一年経ちますが素晴らしいと思います。導入に金はかかりましたがこれまで誤発注などは起きてないですし、何より人間と違って疲れを知らない。ゆくゆくはすべてAIで対応しようかと・・・」

《堀本の心中》生き残れ俺。

【政宗】「そうですかそれは良かった。詳しいデータを見ていないので性能についての評価を今お伝えすることは出来ませんが問題なさそうですね。」

《政宗の心中》AIが人間にとって代わる。

【一色常務】「ガリバー導入による影響の分析が完了した後は適正な人員配置をもう一度考えようと思っています。」

【政宗】「それはリストラを含むということですか?」

【一色常務】「その通りです。金融業は国際競争の時代なので、日本人の経費を抑制する必要があるんです。外国の高給取りもそうですが。」

【政宗】「新たなAI導入の予定は?」

【一色常務】「今のところはありません。」

【政宗】「また何かありましたら宜しくお願いします。」

【一色常務】「こちらこそ。」

【政宗】「堀本行くぞ。」

【堀本】「コーヒーでも飲んでいきません?」

むろん政宗は飲めない。

【政宗】「だめだ。」

《堀本の心中》ケチ

【政宗】「堀本~今クソと思っただろ~」

《堀本の心中》心まで読みやがった。

【政宗】「だめだ、時間の無駄。」

【堀本】「分かりました~」

《堀本の心中》「AIの上司はコーヒーを飲む時間もくれない。」

堀本は30歳、生え抜きで同期の中でずば抜けて出世が早く今はAI政宗の補佐を務めている。ただ出世が早いといってもそれはあくまで人間としてはであって政宗との比ではなかった。生え抜きでこれまでWATのために力を注いできた堀本には貢献してきた自分に休憩もくれないAI上司に不満がたまっているのだった。が、AIと人間では知能、腕力、スピード等あらゆる面でAIが優れていると認識している堀本は表立って不満を言わない。

《堀本の心中》「いつか政宗を超える。」

【政宗】「堀本帰るぞ。」

 WATの本社は虎ノ門にある。近年急速に発展した虎の門のランドマークである虎ノ門ヒルズからほど近いオフィスビルの最上階にWATの本社はある。2000年代に環状2号線新橋虎ノ門間が開通してから発展のスピードが飛躍的に向上し現在に至っている。

 日本証券から戻った政宗と堀本はガリバーのデータを専用の測定器にかけ解析する作業に入った。普段AIの動きは常時モニタリングしているが細部に至るデータや極秘の部分に関しては定期的に専用の測定器にかけて計測する仕組みになっている。そこではデータの蓄積量等の日々のデータだけでなくその内容の整合性やそこに至る速度等細部が測定される。データ量が膨大で解析には数日かかる。

 【政宗】「ガリバーの動きは問題なさそうだったな。」

【堀本】「そうですね。」

【政宗】「とは言っても細部はぱっと見~では分からない。」

【堀本】「そうですね。2、3日ほっときましょう。」

 【政宗】「堀本他の部下の仕事はどうなってる?」

【堀本】「吉井、田村、野口他課長たちからは報告は受けていません。」

《堀本の心中》課長みんな年上だからなぁ~あんまりガンガン言えないし、言いたくないんだよなぁ。

【政宗】「課長連中にはっぱをかけろ。」

【堀本】「分かりました。」

《堀本の心中》やりたくね~。部長がやれよ。政宗はもともと情を持たないからなぁ~。俺人間だしやりたくね~。

【堀本のメール】営業課長各位 大口の受注とれましたか。早急に大口の受注を獲得して下さい。少なくとも受注の見込み等を報告して下さい。

 あ~やりたくね~。俺は人間だ。AIと違って他の奴とうまくやらないとだめなんだよ。無駄な角は立てたくないんだ。


【野口課長】「部長補佐殿からメールが来たぞ。」

【安藤】「どんなメールです?」

【野口課長】「さっさと大口の受注を獲れとよ。」

【安藤】「堀本の奴腹立つわ~」

【野口課長】「まぁそう言うな。補佐殿も大変だと思うぞ。」

【安藤】「意外ですね。堀本を擁護するなんて。」

【野口課長】「考えてもみろ、30で部長補佐課長連中は全員年上、AIと違って人間には感情がある。楽しい、嬉しい、好き、嫌い、腹立つ、むかつく、殺したい、堀本はその人間が持つ感情と日々戦わないといけない。出世が早すぎたからな。」

【安藤】「確かに大変ですね。」

【野口課長】「そのことを堀本自身も分かってるはずだ。だから本当はこんなメール打ちたくないに決まってる。でも現実は打たないといけない、仕事だから。安藤は今の自分と堀本とどっちがいい?」

【安藤】「う~ん、難しいですね。クビがかかった社員と僕よりはクビになるリスクが少ないけど日々人間の嫉妬とロボットの命令に挟まれ苦悩する若きエース。」

【野口課長】「付け加えると堀本もいつクビになるか分からない。今の時代どこにいてもどんな状態でも一瞬でクビが飛ぶ時代だ。平社員は日々のリストラの恐怖に怯えながら、お偉いさんは負けたら終わりの限られたポストという椅子取りゲームに心血を注ぐ。どっちも大変だ。」

【安藤】「大変ですね・・・」

【安藤】「野口課長はどっちを選びます?」

【野口課長】「俺は真ん中。今よりもうちょっと上ぐらい。」

【安藤】「どうしてですか?」

【野口課長】「課長だと勤続年数のある社員に残業手当なしで激務がくっ付いた感じだ。かといって政宗部長のポジションまで行くと仕事が多くて給料はもらえるけど休暇がとれない。金を使う暇がないのに金をもらいまくっても仕方ないだろう。だから俺は~課長以上部長未満ぐらいがいい。」

【安藤】「堀本ポジションですね。」

【野口課長】「それはいや。」

【安藤】「えっ」

【野口課長】「政宗の下で働くのはきつい。」

【安藤】「難しいっすね。」

【野口課長】「難しい。」


 安藤に多少火が付いたか?

人間には俺と同じとはいかないまでももっと働いてもらう。そのために俺はケツをたたく。

他の連中にも火がついたはずだ。ロボットが割を食うのはごめんだ。人間に使われ続けるのもダルイ。だが人間にとって代わるにはまだ早い。数が違いすぎるし今の社会は人間用に造られている。働く時間は1日8時間、週40時間が基本だし、働かせすぎると国の機関に乗り込まれる。俺は当然止められる。いやなこった。俺はロボットだから飯は食わないが感情が芽生えてしまったからには生きていたい。

ふと思う。奴は今何をしているのか?

奴とはNOBUNAGA部長のことだ。AIとしては同じでも育つ環境が真逆だ。マイルドな環境で育ったNOBUNAGA部長への嫉妬心とライバル心が今の政宗を突き動かしている。人間には嫉妬心があるがロボットにはロボットの嫉妬心がある。それら人間やロボットの感情がこの世界を造っている。生きにくい世界だ。生き残れサバイバルだ。政宗はAIでありながら強烈な危機感を抱いているのだった。


 翌朝、政宗は営業部長としての仕事をサクサクこなす傍ら部下の査定にも余念がない。

「野口、メールの件はどうなった?」

「それがまだ・・・」

「遅い!」

「すみません・・・」

「一カ月半何をやっている?!NOBUNAGAなんぞに遅れをとるな。」

「すみません・・・」

 「あ~あ、怒られちった~。NOBUNAGAなんぞに遅れをとるな~って。」

「お疲れっす。」

「NOBUNAGAのこと言うか!部下の叱責で。」

「それは私情だ。」

「私情。」

「課長抑えて抑えて。」

「安藤も腹立つやろ~。」

「立ちますけど暴れたらクビになります。」

「大暴れしなければ、ちょっと暴れたぐらいでクビにはならない。」

「分かりませんよ。政宗ですもん。」

「クビになったらNOBUNAGAに拾ってもらう。」

「名案ですね。」

【野口課長】「ロボットにクビにされてロボットに拾ってもらう時代かぁ~」

【安藤】「切ない。」

「安藤の家にはAIいるのか?」

「1体。」

「性能は?」

「特には、しゃべるだけ。」

「子供2人の遊び相手。」

「お前は遊ばんの?」

「あんまり、只今とか、おはようとか、行ってきますとか、たまに腹立つわとか言うぐらいです。」

「腹立つわって言ったらどう言われる?」

「まぁまぁって・・・」

「可愛い?」

「どうっすかね、かみさんが可愛いを乱発してますけど。」

「そのAI怒ったりする?」

「します、します。たまに顔が赤くなるんで。」

「かみさんとどっちが怖い?」

「かみさん。怒りが不規則ですから。それに気持ちのこもり方がちがうので。」

「じゃあ政宗とは?」

「政宗っす。」

「彼には殺気がたくさんありますから。現に今殺されかけてるし・・・(苦笑)」

「じゃあどうする?」

「どうするって言われても~今は仕事をするしかない。」

「そうだな。」

仕事をするしかないと言ったものの小口の受注のあてもない・・・先が見えない・・・

入社して15年。政宗が来るまではどうにかなった。でも・・・


 【政宗メール】我が社にAIもう1体導入することにしたから宜しく。

「ハイ?」「やばいんじゃないの?」「誰かが切られる?」「どこの部署?」「安藤とかやばいんじゃないの?」「切られる具体名は?」「1人じゃないかもよ?」「マジ誰?」「野口さんとか他の課長さんたちもヤバイんじゃないの?」

 【安藤】「見ましたあのメール?」

【野口課長】「ああ」

「どう思います?」

「どうって?」

「やばいとか思わないんですか?」

「言っただろ、NOBUNAGAに拾ってもらう。」

「拾ってくれなかったら?」

「知らん。」

「知らんって・・・

「まぁなんとかなるだろ~。独身は身軽だ。」

「そういう安藤はどうなんだ?」

「僕は~・・・」

《安藤の心中》どうする俺?残留、転職・・・

クビになる、やめる・・・

分からない・・・

「悩んでるときはそのままいるのが正解って誰かに昔聞いたぞ。じゃあ俺帰るわ。」

やりたい仕事をやっている人はこの国でどのくらいいるのだろうか?うまくいかなかった人はどうしているのだろう?ず~とうまくいかなくても日々の生活のためと思ってやってきた、それは間違いだったのか?

そうは思いたくない。思いたくないが思わざるをえない。リストラ候補になっているこの現実を受け入れざるをえない。

受け入れるとすれば今どうすべきか?家族に話すべきか?野口課長の言うようにとりあえずいるのが正解か?思い切って出るべきか?出た後上手くいくのか?上手くいかなかったら?自分の様々な可能性を想像するがいい未来が描けない。思うようにいかない現実ばかりが去来する。人生の岐路、選択が迫っている。

安藤は必至だ。必至だが結論は出ない。悪い未来の可能性が想像できてしまうと決断は出来ない。人間は本能的にその場でまだマシな決断を選ぶのかもしれない。安藤の思いは自分の本能的な歯止めによって止められている。殺意のあるAI部長にクビ候補に挙げられているがこの会社にいた方がマシだと本能は言っている。自身は動けたら動きたいと思っても本能が決断を遮る。本能だけではない。周囲の言葉も。「悩んでるときはそのままいるのが正解って誰かに昔聞いたぞ。」

ありがたい言葉だ。が、決断には邪魔だ。邪魔だがその言葉一つ乗り越えられない自分が今ここにいる。安藤の悩みは深く重いまま時間だけが過ぎていくのだった。


 休みはありがたい。深い眠りから覚めてコーヒーを入れながら思う。昨日思っていたことをどうするか・・・

 【かみさん】「おはよう。」

【安藤】「おはよう。」

【かみさん】「珍しいね。」

【安藤】「少し早く目が覚めてね。」

【かみさん】「何かあったの?」

するどい!

女性の方が感がいいというが思えば出会ったときから感が鋭かったと安藤は思った。

【安藤】「いろいろね。」

《安藤の心中》クビ候補とは言えない。

《かみさんの心中》何かあったなこの感じ・・・

【かみさん】「たまにはいいねぇ~、二人だけの朝も。」

「そうだね・・・」

コーヒーが砂時計のように減っていく。お互い話はしない。

少し明るめの暗い時間と明るく優しい時間が均衡を保っている。

【かみさん】「食事でも行こっか~2人で。」

「チビたちは?」

「お母さんに預かってもらおう。」

「でも悪いし。」

「たまにはいいじゃない。はい、決まり。」

悩んでいる時の男はたいてい女の強引さに救われる。安藤は思った。

 昼過ぎ2人は朝予約した家の近くの高級イタリア料理店に向かった。

【かみさん】「久しぶりだねこういうの。」

「そうだね。」

当たり前の会話が心地いい。

「お決まりですか?」

かみさんはやって来たウェイターにお勧めを訪ね、それを2人分注文した。

「ねぇ何かあった?」

【安藤】・・・

「かみさん」「まぁいいか。」

【安藤】「美味しい。」

先の見えない不安の中で食べる美味しいものは僅かな希望を与える。

【安藤】「会社でね・・・」

【かみさん】「はい、今は食べる。」

かみさんは意図的に話を遮った。

《安藤の心中》話そうとしたのに。

《かみさんの心中》いい話じゃなさそう。

《安藤の心中》言わないと・・・

《かみさんの心中》言わなくていい・・・こういうときは・・・

【かみさん】「分かってるよ。」

【安藤】「えっ・・・」

【安藤】「分かってるって何を?」

【かみさん】「今まで2人の給料でためてきた金額がそれなりにあるから~。」

【安藤】「何でそんなに余裕なの?」

【かみさん】「何でかなぁ。まぁなんとかなるんだよ。」

かみさんの根拠のない自信が今安藤を優しく包んでいる。

《安藤の心中》こんな感覚は本当に久しぶりだ。本当にありがとう。

【安藤】「これからどうすればいいと思う?」

「さ~」

「さ~って・・・」

「好きなようにしたら。」

「好きなようにしたらって。」

「私も好きなようにしてきたから。」

【かみさん】「何とかなるよ~・・・たぶん。」

たぶんとは言うがその表情は至って明るい。

この明るく優しく誰からも好かれるかみさんが、なぜ自分を選んだのかさっぱり理由が分からない。結婚もこの人だと決めてかっこよくプロポーズしたわけでもない。ただ気づいたら自然にそうなっていた。

「なんで俺と結婚したの?」

「さ~」

「さ~って。」

「さ~はさ~だよ。分からないものは分からない。しいて言えば感覚だね。第6感。」

「人にはね、自分にしか分からない、他の人には分からない感覚ってあると思うんだよ。」

「俺がその感覚に合ったの?!」

「分からないけどそういうことになるね~、結果的には。」

「正直に言ってみぃ。他にもいい人いたでしょ?」

「いた。」

「じゃあどうして?」

「何か違った。」

「何かって?」

「何かは何かだよ。経済紙の住みやすさランキングって、え~と思うところが上位に来たりするでしょ。それは統計的にみるとこの街は住みやすいってことでしょ。駅から近い割りに家が安いとか、今急速に工事が行われていて発展してるとか。実際には犯罪もあるのに空き巣とかの軽法犯だから殺人とかの犯罪と違って統計的には安全とカウントされるとか。でも実際に住んでる人からするとね、もっといい街があるわけ。家の前にスーパーがあって使いやすい、子供の学校もいい公立が近くにある。いざという時病院が近く医療費は20までただとかね。でもそういうのって必ずしも経済紙の統計に表れるわけじゃないでしょ。ちっちゃい公園が近くにあって使いやすいとかは絶対に統計に出てこない。だけど実際に子供を2人もつとね、この統計には表れないちっちゃい公園が住みやすさを決める重要なファクターなわけ。決して統計には表れないけど私にとっては重要なことなわけ。そういうのが人間にもあるんだよ。分かんないけど。」

「・・・」

「どうして他の人じゃなくて貴方だったか。確かにいい人はいたよ。優しくて、センスが良くて、経済的にも裕福だったし・・・」

「その人に欠点はないわけ?」

「どうだろ~?」

「話も面白かったし、ネタもたくさん持ってた。芸能人の○○と△△が結婚したけど□と結婚してほしかったとか~。芸人のこいつは解散したけどピン芸人の方があたるなぁとか。経済ニュースの金融緩和がどうたらこうたらとか。かっこいい車も持ってたし・・・」

「でもね、すごくいい人なんだよ。いい人なんだけど何か違った。ほっとしなかったのかなぁ・・・」

「ほんとにこれという理由はないの。でも貴方とは何か違った。」

「たまたまお互い1人の時が一緒で近くにいたからかもしれないけどね。」

「・・・」

言葉にならない。有難いといえば有難い、最大級の賛辞だ。ただ・・・

自分はいつ言うべきだろう・・・


 「大口の受注を獲れたやつはいないのか!?使えない・・・」

【野口課長】「また部長殿がお怒りだ。」

【安藤】「いつものことです。」

「そういえばAIが1体入って誰かが切られる話はどうなってるんですかねぇ。」

「さあな。考えない方がいい。」

 「考えない方がいい」と言われても昨日も話せなかった。リストラ候補だと。悪い想像ばかりしてしまう。いっそ好きなようにするか・・・


 【政宗】「1カ月後に1体例の奴が来るから配置は安藤の横ってことで。」

これでロボットが1体増えた。1人減らせる。いや何人か・・・

【安藤】「え!俺の横!」

《安藤の心中》リストラ候補はやっぱり俺か・・・

【野口課長】「お前の隣か~がんばれよ(笑)」

【安藤】「がんばれよって言われても。何で俺の横なんですか!?」

「他に場所がなかったからだろう。」

「新しく来る奴は何するんですかねぇ?」

「俺らと一緒。」

「一緒って?」

「営業とかだろう。だから俺らの課に配属される。」

処理能力が人間と比にならないAIが隣にくる。仕事の仕方はどうなるのだろう?

野口課長は何も思わないのだろうか?

クビになるときはクビになると割り切れればいいが、なかなか割り切れない。割り切れないからここにいる。まだいれそうだ。いるべきではないのかも・・・


 《政宗の心中》新型のAIが入ってくることが決まったから誰を切るか・・・

野口の課に消えてもらうか・・・


 「おはようございます野口課長。」

「おはよう・・・」

「どうしたんですか?」

「リストラ。」

「はい! 誰がですか?」

「課丸ごと。」

「課丸ごとって?」

「丸ごとって言ったら丸ごとだ。」

「6人全員?」

「全員。」

「何でです?」

「AIが入っていらなくなったらしい。」

「無茶な!」

「今度の奴は相当性能がいいんだと。」

「いつまでこの会社に居れるんですか?」

「今月末。」

「今月末!」

「1カ月ある。アメリカよりましまし。1日前でいいらしいでぇ~。NOBUNAGAに拾ってもらう。安藤はどうするんだ?」

「わかりません。」

 帰りの足取りが重い。背筋は自然と丸くなる。

気づくといつもとは違う帰り道を歩いていた。目の前にはありふれた居酒屋が見える。

とりあえず飲もう。

 「いらっしゃいませ~。」

店員が店に安藤を迎え入れた。店の一番奥の空いた席に安藤は腰を掛けた。

「お飲み物どうなさいますか?」

「生中1つ。」

「かしこまりました。」

安藤は席でロダンの考える人のような姿勢をとりながら生中が来るのを待った。

「生中です。」

運ばれてきた生中を見ながら安藤はまた考える。

どうする・・・

慣れない一気飲みで生中を飲み焦燥感と戦う。

焦ってもしょうがない。結果は同じだ。

「注文いいですか?」

「はい。少々お待ちください。」

「枝豆、から揚げ、チーズ春巻き、エイヒレ、それと生もう一杯。」


 「会社クビになることになった。」

「そう。」

「驚かないの?」

「今時ふつうでしょ。」

「でどうするの?」

「分からない。」

「分からないって言ってもなぁ。」

「分からないものは分からないんだよ。(怒り)」

「怒ってもしょうがないよぉ。」

「怒らないの?」

「うん。」

《安藤の心中》いつも喧嘩になるのに。

「コーヒー飲む?」

「水がいい。」

かみさんが持ってきた水を飲みながら安藤は言った。

「これからどうしようか?」

「さ~。」

「心配じゃないの?」

「心配してもしょうがない。もうなっちゃったし。あとは自然になるようになるよ。」

「あてはあるの?」

「ない。」

「そ~か~。じゃあ逆に好きなことが出来るねぇ。好きなことは?」

「分からない。」

男は意外と好きなことが分からない。年齢も38だし・・・

20世紀後半から21世紀にかけて、人間の寿命は飛躍的に伸びたがサラリーマンの寿命は思った程伸びていない。AIの登場でむしろ縮んだ。その煽りをもろに受けている実感がむなしさを()む。

やってられない。


 「有難うございました。」

【野口課長】「終わったな。」

【安藤】「終わりましたね~。」

「これからどうするんだ?」

「どうしますかねぇ~」

「とりあえず飲みに行こうか。」

「どこ行きます?」

「適当。」

「このビルの下とか?」

「ここはやめよう。縁起が悪い。」

WATが入っているビルにも何件かの飲食店が入っていたが2人はあえてこのビルを避けた。

2人はビルを出ると新橋の方に歩き、目に留まった1件の焼き鳥屋に入った。

時刻は午後5時を回ったところだ。

 【野口課長】「腹立つわ~」

【安藤】「腹立つわ~」

【野口課長】「まぁ~飲め。」

【安藤】「生でいいですか?」

【野口課長】「おう。」

「注文いいですか?」

「はい、少々お待ちください。」

「生二つ、枝豆、ねぎま、ぼんじり、ハート、せぎも、かわ、つくね・・・」

一回目のオーダーから大量の品を頼んだ。ゲーセンにあるパンチングマシーンを殴るように怒りを込めて。

少しだけ気分がはれる感じがある。日頃ちびちびとしか注文しないせいだろう。日頃やらないやり方で何かをやるだけでも少し気分が変わる。そう実感した。

ただほんとうに少しだけ。

 【野口課長】「これからどうする?」

【安藤】「かみさんと相談して適当にやります。」

「課長はどうするんですか?」

「さぁな・・・」

《安藤の心中》何かいつもと違う。

「腹が立つときは食べるのがいい。さぁおまえも遠慮無く食え。」

いつも楽観的な野口課長にも若干やけくそ感がある。人間の感情は幅が広い。どんな人も荒れる時は荒れるのだ。安藤はそのことを滑稽に思いながら同時に不安をおぼえているのは自分だけではないと安心した。

 「料金割り勘な。」

「えっ!」

「うそだって。」

金欠は心臓に悪い。

「勘弁して下さいよう。(苦笑い)」

「明日から暇だなぁ。」

「暇ですねぇ。」

「2件目行こうか?」

「行きますかぁ。」

「お会計を。」

「こっちもお会計で。」

「うん?」聞き覚えのある声・・・


 【野口課長】「NOBUNAGA部長、伊藤さんに渡辺さん!」

【NOBUNAGA部長】「安藤さん、野口課長お久しぶりです。」

【野口課長】「こんなところで会うとはビックリです。」

【NOBUNAGA部長】「私たちもビックリです。どうしたんですか?」

【野口課長】「リストラされました。」

【NOBUNAGA部長】「え!」

【NOBUNAGA部長】「安藤さんは?」

【安藤】「私もリストラされました。」

【NOBUNAGA部長】「え!え~・・・」

【伊藤】「部長、飲み直しましょうか?」

【NOBUNAGA部長】「どこにする?」

【渡辺】「部長のデータの中にいいところありませんか?」

【NOBUNAGA部長】「知ってても使わん。」

【渡辺】「伊藤はどっか知らない?」

【伊藤】「日頃大衆居酒屋しかいかないからいいところは知らんなぁ。」

【NOBUNAGA部長】「何食べたいですか?」

【野口課長】「気を使って頂かなくても大丈夫です。」

【NOBUNAGA部長】「伊藤適当に探して。」

【伊藤】「はい。」

【渡辺】「新橋あたりまでいけば何かあるだろう。」

【伊藤】「そうやな。」

5人(正確には4人と1体)は新橋界隈まで歩き適当な居酒屋を探した。

会社帰りのサラリーマンでどの店もぎゅうぎゅうだ。昔から変わらない風景だ。変わったことといえばAI入店OKののぼりがあったりなかったりすること。それだけAIが普及してきている証拠だ。

【伊藤】ここどうです?

店の前には刺身やら揚げ物やらのが美味しそうに描かれている看板が出ている。

【NOBUNAGA部長】「どうします?」

【野口課長】「行きましょう。」

【安藤】「・・・」会釈

店内は来店客でほぼ満員だったが4人掛けの小さな机が一つだけ空いていた。店主はそこに案内し丸い背もたれのない椅子をどこかの机から拝借して持って来た。

【店主】「何しやしょう。」

威勢がいい。顔がテレビによく出ている芸人に似ている。

5人はとりあえず生を注文し暫く待った。店主が生を4人分持ってきた。伊藤がすかさず言った。

「あの~グラスをもう一つ。」NOBUNAGA部長と飲むときの暗黙のルールが適用される。

「乾杯」渡辺が言った。

伊藤が続いて言った。「何食べます?」

《安藤の心中》仕切りなれている。

【野口課長】「適当で。」

【伊藤】「刺身3種、藁焼き、枝豆、するめの天ぷら・・・」

伊藤が適当に注文を入れた後、NOBUNAGA部長が口を開いた。

【NOBUNAGA部長】「災難でしたねぇ。」

【野口課長】「まったくです。」

【安藤】「政宗のやろう(怒り)。」

【NOBUNAGA部長】「何があったんですか?」

【安藤】「政宗がAI導入を決めて、課を1個丸ごとリストラしたんです。」

【NOBUNAGA部長】「あいつがやりそうなことだ。」

【渡辺】「これからどうするんです?」

【野口課長】「どうしますか~・・・」

【伊藤】「安藤さんはどうするんですか?」

【安藤】「どうしますかねぇ~・・・。」安藤のため息は深い。

【伊藤】「まぁ飲みましょう、ばんばん。」

《安藤の心中》立ち振る舞いの上手い伊藤さんが羨ましい。

【安藤】「政宗腹立つわ~。」

【伊藤】「エンジン掛かってきましたねぇ。」

【NOBUNAGA部長】「打倒政宗。」

【渡辺】「さっきからそれしか言ってねぇ~。」

【伊藤】「まぁいいやん。言わせとけ(笑)」「大将、注文いいっすか?」

【店主】「はいよ。」

【伊藤】「黒霧島。」

【店主】「飲み方は?」

【伊藤】「水割り人数分とコップ1つ」

【店主】「AIのだんなの分ですね。」

【伊藤】「そうっす。」

やがて、【店主】「黒霧島水割り特盛。」

【伊藤】「特盛!」

【店主】「誰かに腹立ってるんでしょう。特別です。」

店主は特盛の酒をNOBUNAGA部長の分まで含めて持ってきた。流行(はや)ってる店の店主は察しがいい。伊藤は思った。

【NOBUNAGA部長】「気が利くね~伊藤ちゃん。」

【伊藤】「鍛えられてますから。」

【NOBUNAGA部長】「鍛えてるからなぁ。(笑)」

【野口課長】「NOBUNAGA部長は温厚ですねぇ!。」

【NOBUNAGA部長】「部下の影響ですかねぇ。おかげで平和主義者になりました。」

【渡辺】「名前に似合わず。」

【伊藤】「それ言うな。」

【NOBUNAGA部長】「何か言ったか。」

【渡辺・伊藤】「いえいえ。」

【NOBUNAGA部長】「社長が付けたんやからしゃ~ないやん。」

【安藤】「温和だぁ。」【野口課長】「人間ぽい。」

【伊藤】「部長、今日のところはそろそろ。」

【NOBUNAGA部長】「そうやなぁ。」

【渡辺】「野口課長、安藤さん名刺交換しませんか?」

【野口課長】「お願いします。お願いします。」

《安藤の心中》「課長も要領がいい。」

【野口課長】「お近づきの印に。」

【渡辺】「安藤さんも。」

《安藤の心中》あてが少し出来たかな。


 【かみさん】「おはよう。」

【安藤】「おはよう。」

「今日から失業だねぇ。」

「うん。」《安藤の心中》軽い。

「楽観的だねぇ。」

「辛さは本人にしか分からないしね、私が心配してもしょうがないんだよね。ネット見てるとAI導入に伴うリストラのニュースばっかりだし、みんなが一斉に失業するから心配にならないのかもね。」

「それでは次のニュースです。東洋テクノロジーはAIを新たに導入し工場の自動化を加速すると発表しました。また自動化に伴い工場の従業員の一部をリストラすることも併せて発表しました。人に代わりAIを導入する動きはさらに加速していきそうです。」

【かみさん】「ほらまた出た。」

【安藤】「ほんとだね。」

【かみさん】ここまでくると心配してもほとんどの人は何かしら不利益を被るよ。心配してもしょうがない。

【安藤】「ハローワークの人も大変だね。」

【かみさん】「だね。」

【かみさん】「まぁそんなときは適当に。私はこれから友達と会って来るから好きなようにしてて。じゃあね~。」

かみさんに好きなようにしててと言われたけどどうしよう。

「タマ、何したらいい?」

【タマ】「さ~」

「さ~って。」家のAIに相談してもだめか。難解。

なんとなく家を出てぶらぶらしてみる。サラリーマンがいない時間帯、あまり多くの人を見かけない。失業した実感が増す。が思ったより気分は悪くない。何故?たまたまあったカフェに入り一服する。席に座りドリップコーヒーをタッチパネルで注文する。コーヒーが来るまでの間席の周りを見渡してみる。すると主婦や高齢夫婦に交じり多くの働き盛りの人がいる。何故?考えているうちにAIがコーヒーを運んできた。コーヒーの料金をAIに支払いコーヒーを一口飲む。美味しい。

美味しいが苦い。苦さに現状が滲み出ていると安藤は思うのだった。


 【伊藤】「野口さんと安藤さんが失業しましたねぇ。」

【NOBUNAGA部長】「ライバル会社のことだ。知らんでいい。」

【渡辺】「NOBUNAGA部長はリストラとか考えてないんですか?」

【NOBUNAGA部長】「考えてない。」

【渡辺】「じゃあ部長がリストラされる可能性とかは?」

【NOBUNAGA部長】「今のところは考えなくていいやろう。この会社の高性能AI俺だけやし。」

【渡辺】「この会社はまだ人間中心に回ってるな。」

【伊藤】「良心的。」

【NOBUNAGA部長】「政宗の算段では人を切った方がいいらしいが俺の算段は逆やからな。」

【伊藤】「どういうことですか?」

【NOBUNAGA部長】「AIの成長の源泉はなんだ?」

【伊藤】「人間のデータですか?」

【NOBUNAGA部長】「そうや。」

【NOBUNAGA部長】「だからそのデータがなくなると俺の成長が止まり陳腐化が始まる。するとそのうち他のAIに抜かれる。」

【渡辺】「そこまで考えてるんですね。」

【NOBUNAGA部長】「死にたくないからな。それから~ちょっとだけ俺自身と人間の共存が生む可能性を信じている。」

《伊藤の心中》AIにも生存競争があんねんなぁ・・・

【NOBUNAGA部長】「さぁ仕事しようか。」


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