幕間1(リーシャ視点)
驚いた。
私が住む森は魔物がうろうろしていて、今まで人が訪れたのを見た事がない。
来たとしても森の入り口付近だろうけど、私がそこに行くことはなかった、
だから、奥深くのこの場所で人が訪れたのも驚くべきこと。
それだけじゃない。
「子供?」
まさかこんな少年がこんな所で倒れているなんて、思いもよらなかった。
一体なにがあったのだろう?
両親は?
近くに外の人間はいないのか。
そう考えを巡らせながら、近づき気づく。
「・・・・・・ひどい」
頭から血が流れている。
腕や足は枝か何かでひっかいたのか、切り傷が多い。
汗もかいて、水分不足なのだろう、唇は紫色に変色している。
「・・・・・・」
急いで私は手をかざし、癒やしの魔法をかける。
これでケガはすぐに治るだろうけど、失った体力や水分はそのままだ。
「ベアちゃん」
「ガウ(任せろ)」
ベアちゃんに少年を運んで貰うため声をかけるとベアちゃんはそれに応えてくれる。
私のかけた魔法を解き、本来姿になって少年を家まで運んでくれた。
本当に一体何が?
この子の身に起こったんだろうか?
そうして、少年――クロエと会話し交流を経てわかった。
この子は、嘗ての私と同じだ。
世界で一人ぼっちになってしまったのだ。
父親も母親もいない。
どうしたらいいのか何もわからない。
そんな嘗ての私と。
そう思って、ぱっと閃く。
――そうだ、私がこの少年の唯一になろう
その思いが溢れた瞬間、自然に口を開いていた。
――私達、家族にならない?
これが、私が母となると決めた出来事で。
それからの穏やかで賑やかな日々の始まりだった。




