第5話 レナの成長
バイパーの容赦無い言葉。レナは声が出せない。
「相手が若い人なら、なおさらのこと。また同じように助けを求めてくれば、相手はいつまで経っても一人前になれないままだ。」
鋭く尖った剣のようなその言葉は、レナの心に突き刺さる。膝に乗せてる手のひらを、爪が食い込み痛くなるくらいギュっと握りしめ、彼女の腕が僅かに震えている。
「お前さんの親切な気持ちを踏みにじるようなことは、誰も言わん。だからこそ俺が言う。手を貸したい気持ちはよくわかる。しかし、相手の成長のため、心を鬼にして断れ。」
「レナさんを傷つけたいわけではないが、これは誰かが言ってあげないといけない。そしてレナさんの疲れの原因は、何でも人の願いを叶えてしまい、お前さんが考えている以上に、自分のからだを酷使している。それだ。」
するとレナは消え入りそうな声で、しかしそれでも力を振り絞ってバイパーに尋ねた。
「じゃあ、私は・・・私はどうすればいいんですか?」
するとバイパーが答えた。
「うん。もし誰かがお前さんに頼みごとをして来た時、こう言うといい。」
「手伝うことはできる。けれども、それではあなたの成長のためにならない。これはあなたが頑張って仕上げてください。」
レナはゆっくりと頷いた。
「お前さんにだって本来の仕事がある。だから自分のペース配分を考え、余裕がある時は、手伝ってもいいかもしれん。」
「これが上手くいけば、お前さんの仕事はぐんと減るだろう。余裕があればその時は考えればいいさ。」
バイパーの話を聞いて、レナの曇っていた表情が少し明るくなった。
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「どうだ。お前さん。やれそうか?これはレナさん。あんたも一段、成長する話でもあるんだぞ。」
レナはハッとした。
「・・・私の成長・・・」レナはつぶやいた。そして少しずつだが瞳が輝きを取り戻し始めた。
「そして、若い連中を一人前に育てるという、レナさんの新しい役目だ。」
レナの目から曇りが消えて、さらに輝きを増した。確実に進むべき道を捉えたのだ。
「何か、もやもやしていた気持ちが消えて、すーっと肩の力が抜けていくような、そんな感じです。」
いつもの弾むようなレナの声に戻っている。
ちゃんと分かってくれたようだなと、バイパーは感じた。
「うん。もう大丈夫そうだな。また迷ったら俺に話してくれれば、頭を振り絞って考えるよ。」
バイパーがそう言うと、レナはすっかり元気を取り戻し、いつもの笑顔に戻った。
「バイバーさん、どうもありがとうございます。相手に良かれと思って手伝っていたことは、相手の成長を止めていたことにもなるんですね。そっか・・・。私、やってみます!」
「うん。何事も勉強だ。失敗してもかまわん。自分の成長の糧になるなら、失敗も大いに結構なことだ。お前さんもいい歳ごろだが、生きてるあいだはいつまでも勉強。そしてこれからはもっと自分のために考えて行動することだ。」
バイパーは、レナからもらったツボ押し棒で、足の裏を押してみた。
「痛いぃぃぃぃーーー!!!」
その様子を見てレナはクスッと笑った。




