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航跡 ヴァナヘイム国興亡記  作者: 秋山 文里
第4章 若き総司令

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【4-15】裸踊り ①

【第4章 登場人物】

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 全軍の配置再編が済むと、一転してヴァナヘイム軍は動こうとしなかった。


 各隊は、


「待機」


を指示されただけで、それ以外の命令を受けることはなかったのである。


 しかし、そのような端的な命令を発しながら、引き続き総司令部は、じっとしていなかった。


 幕僚たちは、彼らの意図どおりに布陣が整っているか、手分けして各部隊を視て回った。ミーミル自身も、連日副官や従卒を連れては、巡視を怠らなかった。



 3日かけて、右翼の主要部隊の視察を終えたミーミル一行は、右翼第4師団の幕舎で1泊すると、翌朝、左翼の巡視に向かった。


 周囲は岩肌ばかりが目立ち、灌木もほとんどない景色が続いている。6月に入り、面白味のない風景を包む空気は、日ごと温度・湿度ともに増していた。


 布陣変更後の状況確認のため、先行して左翼入りしていた副司令官以下幕僚たちは、総司令官一行の現場到着を待っていた。


「ご指示どおり、山麓の地域は放棄させ、この丘の周辺に兵力を集中的に配備しております」


 ローズルらはミーミルと合流すると、先導して左翼各隊の解説をそつなくこなしていく。


「各部隊には、どのような事態が生じても打って出ることなく、持ち場を死守するよう厳命しております」


 うなずきながらミーミルが前方に視線を送ると、はるか先の丘のふもとに、何やら兵士たちが集まっているのが目にとまった。


「あれは……?」

 ミーミルは、伸縮式の望遠鏡を伸ばすと右目に当てる。


 帝国兵と思われる500名ほどの集団が、何かしらこちらに向かって呼びかけているようだ。そのうちの30名ほどは、なぜか軍服を脱ぎ、上半身は裸であった。


「あれはどうした。ずいぶんと賑やかだな」


「それが、その……」

 総司令官の問いに対し、先導の者たちからは、先ほどまでの歯切れの良い解説は聞かれなかった。彼らは一様に顔色が冴えない。


「帝国軍の兵士による挑発が続いておりまして……」


「挑発?」

 ミーミルは、ふもとの様子をよく見ようと、丘を下ることにした。ローズル以下部下たちが次々とその後に続く。


 彼らは、土嚢どのうが積まれた崖際まで駒を進めた。


 帝国軍に負け続けたヴァナヘイム国が、現在、領有を主張できる土地は、ここまでであった。この()()()が事実上の国境線とも言える。


「閣下、危険です!」

 帝国兵からの狙撃をいつ受けるか分からない。


 しかし、ミーミルは部下たちの制止に構わず、土嚢から顔を出し、望遠鏡を前方へ構えた。


 彼の目に映ったのは、上半身裸の帝国兵が数名、腹部に人の顔を描き、何やら大声を出して踊っている様子だった。その脇では、全裸の帝国兵が地面に横になって眠っているではないか。



【作者からのお願い】

この先も「航跡」は続いていきます。


新任司令官ミーミルを応援してくださる方、

ミーミルの策が気になるという方、


是非、ブックマークや評価をお願い致します。


このページの下側にある「ブックマークに追加」や「いいね」ボタン、【☆☆☆☆☆】をタップいただけましたら幸いです。



【予 告】

次回、「裸踊り ②」お楽しみに。


「帝国軍は油断しきっております。いまこそ反撃の機会到来と小官は……」


「ならぬ。すぐに引き揚げよ」

 ダリアン准将の声はミーミル大将の命令にかき消されたが、その考えを改めるつもりはないようだった。


「……いつまでも穴倉生活を続けていたら、兵士たちの士気にかかわることもお忘れなく」

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