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十七歳の手相
あの頃は、
未来なんて、まだ遠かった。
人を好きになることより、
失うことの方が、ずっと簡単だった。
放課後が終わるなんて、
あの頃の私たちは知らなかった。
これは、運命の話ではない。
運命だと思ってしまった、誰かの話だ。
十九歳で大恋愛をして、
二十一歳で大失恋をする。
そんな予言を、私は笑っていた。
高校生の時、生徒会室で後輩が手相を見てくれたことがある。
「美桜先輩、これやばいです!!」
机に身を乗り出した後輩は、美桜の左手をぺたぺた触りながら騒いだ。
「遠くの土地に運命の人いますよ」
「遠くってどこ」
「隣の県とか?」
「急に現実的」
二人で笑って、近くで作業していた役員に「うるさい」と怒られた。
でも後輩は止まらない。
「あと、十九で大恋愛して、二十一で大失恋します。」
「最悪!!」
「でもめちゃくちゃ恋愛運あります!」
「何その意味わかんない情報!」
あの頃は、放課後がずっと続くと思っていた。
体育祭準備の倉庫の匂いとか、生徒会だけにあるソファとか、窓から見えるグラウンドの夕焼けとか。
何も特別じゃない時間が、どうしてあんなに楽しかったのか、今でも分からない。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
美桜にとっての「運命」が何だったのか、読んでくださった方それぞれに違う答えがあれば嬉しいです。




