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12.革命 失敗からの立ち直り方

死ななければ何度負けたっていい、一度大勝ちすれば、全てを取り戻せる。

敗北は求める勝利への布石。

だから負けて諦める、なんて奴は愚か者の大馬鹿者だ。

そうは思わないか?

ーーNo name

「俺は嬢ちゃんに賭けるぜ!」


ファザさんは叫ぶ。

拳を掲げ、他の村人に決起を呼びかけるように叫ぶ。

その姿は革命集団のリーダー格のよう。

その様子を見て、妹は満足そうに頷いた。


「ファザよ、村の未来をそんな小娘の言葉に賭けるとは!血迷ったか!?」


ギルドランがファザさんを糾弾する。

村人たちの心が、ファザさん始め妹に流れ行くのを感じ取ってたのかもしれない。

だが、他の村人は先のようにギルドランに続かない。

皆、迷っているようだ。

どうすべきか、

自分たちはどちらにつくべきなのか。

これまで通りに過ごすのか、

見知らぬ旅人に自身の未来を託すのか。


「村長、俺は今までずっと不満だったんだ!なんであんな奴らにぺこぺこしなくちゃいけないのか!生贄まで出して、なんでご機嫌伺いなんてしてるのか、とな!」


ファザさんは続ける。

力強く叫ぶ、

この時を待っていた、というように。

村人を鼓舞する。


「お前らもそうは思わないか!?こいつらと、俺とともに村の未来を勝ち取ろうぜ!」


だが、村人たちは応えない、

動かない、

一歩踏み出せない、

決起、できない。


わなわなと震えているだけで、何も変わらない。

私と同じで、動けないのだろう。

変われないのだろう。

申し訳なさそうに俯く。

ギルドランとファザさん&妹。

どちらに従うべきか、決めかねている。


目の前に、未来を変える選択肢があっても、手に取る勇気がないのだろう。

現状維持に甘んじてしまう弱さ。

リスクが取れない臆病さ。

その弱さは、己の体が朽ちて腐り切るまで抜けることはない。


そして、選択肢が手に届かなくなって、ようやく焦る。

あの時、動いていれば良かったと、悔やむのだ。


結局は動かない村人たち見て、ギルドランは勝ち誇ったように笑う。


「これが民意だ。ファザよ、憐れよな。一時の感情、拙い扇動に唆されるとは」


ギルドランは村人数人に視線を送る。

すると、先の大男2人に加えて、4人がファザさんを囲む。

ギルドランの関係者、最初から反乱する予定のない既得権益側の村人だろう。

2人から合わせて6人。数の不利は明確だった。


妹を見ると、ため息をこぼすものの、まだ余裕の表情だった。

この状況を楽しんでいるような、

まだ想定の範囲内であるかのような、

そんな雰囲気。


「残念。まあここは私の負けってことにしとくわ」


と妹は笑った。

負け惜しみのように、

次週には懲りずに現れる悪党のように、

シニカルに笑う。


「この愚か者どもめ、緑人の餌になるまで、神に祈りでも捧げておれ!」


ギルドランは吐き捨てるようにそう言う。

だが、妹はどこ吹く風で、飄々としている。


妹が敗北発言(冗談っぽくだが)をしたことで状況は収束した。

ファザさん含め私と妹は手足を縛られ、教会っぽいところへ軟禁された。

私と妹の革命劇の第1幕はそうして幕を閉じた。


ーー


「いやはや、革命って難しい。やっぱジャンヌダルクには簡単にはなれないね。まあこれも教訓になったとポジティブに考えよう。文字通り、今は縛られて手も足も出ない。ならせめて知恵を出そうってね」


埃っぽい室内の中、監禁中の妹はあっけらかんと言う。

縛られても私の妹は、精神的にタフらしい。

流石は私の妹である。


「それより兄さんも加勢してよ!ああいう時は数の論理って大事なんだよ! 1人より2人、2人より3人の声がさ!」


お叱りを受けてしまった。

だが、情けないことであるが、事実なのだから仕方がない。


「すまない。いきなりの展開についていけなかった」


素直に謝罪をする私。


「まあ、確かに展開は急だったかな。まさか私たちの墜落地点がそんなデンジャーポイントとは。確かに追いかけられて、棍棒投げられて、デンジャラスな体験はしたけどさ。まさかこの村と関係があるとはね」


うんうんと振り返る妹。


「緑人から逃げ切るとは、兄さんも嬢ちゃんもやるな!」


ファザさんは言う。

感心したように。


「だってあいつら、足遅いじゃん。全力で走って視界から消えればどうってことなかったよ」


と妹。


「なるほどな。森に逃げ込めば、あいつらの足じゃ追いきれないわな」


ところで、とファザさんは続ける。

真剣な顔つきで妹に尋ねた。


「嬢ちゃん、さっきの緑人討伐の話、続きが気になるんだが!」


「入り口までしか話してなかったもんね。これは村人の協力と、緑人の能力次第なところはあるけど、一応最後まで説明するね」


と妹は口頭にて説明を続ける。


「適当な場所にできる限り大きくて深めの穴を掘ります。あの緑人たちが20人くらい落とせるような、円柱型の穴を掘る。登れないように、極力急な穴を掘る」


若干の不安があった。

私の妹がいくら聡明であろうと、その場で緑人を倒す作戦を思い付けるのかと。

それは、タイトルだけの『張りぼて』ではなかろうかと。

この時点で、私には一つの疑問が浮かぶ。

大きな穴をどうやって掘るのか。



「そして、穴の底には槍とか剣とかを切っ尖を上にして配置する。抜けないように、しっかり地面に固定してね。配置が完了したら、いい感じの縄と布で覆って、上に土を被してカモフラージュして完了」


また一つ、否、二つ疑問が浮かぶ。

その大量の武器をどこから持ってくるのかと。

あと、武器を固定した人はどうやって脱出するのかと。


だが、妹は嬉々として語る。

縛られているけど。


「あとはなんらかの方法であいつらを穴の前までおびき寄せて、落とす! すると自重で武器が体に刺さって体から抜けなくなる。再生しても、体を貫いているから身動きがとれない」


さらに疑問は浮かぶ。

どうやって奴らをおびきよせるのか。

穴だらけの作戦。

妹のテンションにのまれて同意しなくて良かった。

いや、結果生贄要員にされているのだから、あまり違いはないか。


「なるほど、全く穴のない完璧な作戦だな!」


ファザさんは希望に満ちた瞳で妹を見る。

だめだ、この人。

古き時代の筋肉馬鹿な人だ。

まあ、いい人であることには変わりないのだけれど。


「落とし穴作戦だけどね!」


と愚かもの2人は快活に笑っていた。

私だけがため息をついた。


誰だって失敗するのは嫌です。

恥ずかしいし、つらいし、しんどいし。

ですが、失敗したままで、そこで立ち止ってしまうのが一番良くないです。

失敗は教訓にして次の成功へ活かす。

当たり前の考え方ですね。

ですが、当事者になるとこの当たり前を忘れてしまうことが往々にしてあります。

そういう時は、これはただの『ゲーム』なんだと割り切りましょう。

某有名な髭の配管工が囚われの姫を助けに行くゲーム、あれをノーミスでクリアできる人はほぼいません。

失敗して、練習したり、対策を考えたりして、何度もトライします。

そういう風に考えれば、現実の失敗も受け入れやすくなるかもしれません。

一度の失敗で立ち直れない、というのは一機死んでそのままゲームオーバーで電源を切ってしまうという愚行です。その人は、そのゲームの面白さを知らぬまま、終わってしまうのですから。

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