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ククール神がこれをしたくなかったのは一人できっと元に戻れる保証がなかったからだろう。しかもしかも……だ。この宇宙の存在……現宇宙の存在では普通なら目の前にいたとしても、この状態になってしまったククール神を観測しつづけるってことはできなかった可能性はある。
だって自身のすべての存在を使ってこの宇宙に溶け込んでる。そうやって彼女は占いに必要な様々な情報を得るんだろう。でも彼女が観るのは確実な先の未来ではなく、そのさらに先の未来の可能性だ。それを見ようとするからの犠牲。リスクといったほうが正しいだろう。
だからこそ、別の観測者が必要だ。今まで、この状態のククール神を観測できる存在は神にも竜やら龍にもいなかったんだろう。でも今は私がいる。実際私たちは仲間……とかじゃないと思う。だって今さっき知り合ったくらいだからね。
それに仲間というには私たちの関係性ってやつはとても薄いしね。でも私たちは互いにやるべきことをやることで、協力体制を敷くことができる。まあ協力? というよりも私とククール神の力関係はどう考えても私の方が強いけどね。
ククール神は私に従うような感じだからね。けどそれも仕方ないことではある。だって私はこの宇宙の外の存在。新生宇宙の神なのだ。そしてだからこそ、こうなったククール神さえも私は観測できる。いざとなれば、私がククール神を一人の存在として、再誕させることだってできるだろう。
だからこそ、ククール神は安心してこの状態まで自身を追い込むことができた。私という安心材料がいるからだ。だからこそ、自身の存在消失というリスクを負っててでもここまで出来る。まあ私が「やれ」っていったからではあるけど、ククール神は同時に私がいるから安心したのも事実だと思う。
「なんという……なんという力だ!」
「おおう……おおう……我らの中に……すべての生命の中に彼女はいるというのか?」
きっと今この場にいる……いや違うね。この場にいないけど、この宇宙にいる存在すべてにククール神のその影響はでてるんだろう。存在をかけて宇宙そのものと一体となった今の彼女はそこらの有象無象の神が言ったように、彼らの中にも当然いる。
「だが、不思議と不快ではない。彼女の想いも伝わってくる」
最初はびっくりしてた神や竜たち。でも、彼らもククール神を異物とは思わない。それを受け入れて、彼らは静かに目を閉じた。そこそこ喧騒があったこの神の領域。けど今、ここには静寂が訪れてる。ここだけじゃないだろう。
生き残ってる宇宙の中の生命たち……それらすべてがきっとククール神の想いを受け取ってくれてるはずだ。




