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異世界最強のキャンセラー~レアなキャンセルスキルで無双する~  作者: 空地 大乃
第二章 王都活躍編

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第八話 不在かよ!

「は? マスター不在?」


 王都の冒険者ギルドに付いた俺達は、とりあえず受付嬢に、セントラルアーツのマスターに言われてやってきた旨を伝えたんだけど、返ってきた答えは、今は留守というものだった。


 なんてこったと肩を落としつつ、連絡来てないの? と尋ねるが、知らないという。

 なんだよあのマスター。ボケてんのかな?


「……あのご主人様。セントラルアーツのマスターが、あの後すぐに手紙を送ったとしても、マジックバードで一日掛かります。つまり手紙より早くご主人様の方が早くついてしまったのだと思うのですが……」


「…………」


「へ? え? 手紙より早くって、え?」


 受付嬢が困惑顔だ。まぁそれはそうと、確かに言われてみればそのとおりだ。

 くそ! なんてこった!


 てか、こんな事なら手紙、俺が預かっておけば良かったな。

 戻って取ってくるかな……めんどいな、いいや。


「ここってセントラルアーツの冒険者でも依頼請けれるの?」


「はい。ギルドカードはどこも共通ですから」


「て、ご主人様何か依頼を請けられるおつもりで?」


「うん。時間あるしね」


「依頼ってな~に~?」


「……依頼はお仕事」


「おしごとぉ? あ! お手伝いか~~」

「……まぁそう」


 なんだろこの、エリンとセイラの微笑ましい会話。


「ぴゃぴゃ~エリンもお手伝いするなの~~!」


 ぴゃ、ぴゃぴゃって俺のことだよな? やべぇ顔がニヤけそうだ――


「ご主人様。エリンはこう言ってますが、流石に依頼に連れて行くのはマズイのでは?」


 メリッサがそっと俺に耳打ちしてくる。

 確かにエリンは拳をぎゅっ! と握りしめてやる気十分だけど、何をするか判ってないだろうしな。


 まぁどうせ、ここでもある程度滞在することになるだろうし、どこか宿をとって留守番になるかな。

 でもその場合はエリン一人ってわけにもいかないし、メリッサかセイラどちらかに残ってもらう必要があるだろう。


「そうだな。後で宿をとってまぁその後割り振りを決めよう」


 俺の言っている意味を、メリッサはしっかり理解したようで顎を引く。

 まぁそんなわけで、依頼に関してはどんなのがあるかは見ておくけどね。


「さてと、王都はどんな依頼があるのかなっと」


 俺は掲示板の前まで近づいていって、貼られている依頼書に目を通した。

 セントラルアーツみたいにダンジョンでもいいけど……でもダンジョンばっかだったからたまには別なのもみてみたいし。 

 てか多いな! 流石王都というだけあるけど――





依頼内容:バロメッツの実の採取

ウールの森に存在する、バロメッツの樹になる実を採ってきて欲しい。

依頼条件:Cランク以上推奨

報酬:実一つに付き五〇〇〇〇ゴルド



依頼内容:ネクロスのダンジョン探索

王都を出て西にあるネクロス墓地に存在するダンジョン(地下五〇層)の探索。

依頼条件:Cランク以上限定(パーティー推奨)

報酬:ダンジョンで手に入った物は自由にして良い。最下層のボス級魔物を倒した場合、初回のみ賞金として五〇〇〇〇〇ゴルドが出ます。



依頼内容:クッコロ盗賊団の排除

最近王都近辺に出没しているクッコロ盗賊団のアジトを見つけ排除してほしい。

依頼条件:Cランク以上推奨

報酬:生け捕りか殺した場合は首を持ってくることで一人に付き二〇〇〇〇ゴルド。

幹部の場合は倍、頭の場合は五倍支払い。

アジトも現在不明なため見つけた場合は一〇〇〇〇ゴルド。





 う~ん気になったのは以上かな。

 ただ問題点として俺のランクはまだ仮だから王都での扱いはFらしいとの事。

 これは、王都での話が解決すれば正式のランクが決定するみたいだけどな。


 まぁでも、とりあえず今請けれるのは、ダンジョン以外のふたつか。

 で、やっぱきになるのは。


「この盗賊団って全く情報ないの?」


 ツインテールの受付嬢に聞いてみる。


「はい。これは王国からの依頼ですので早めに解決したいのですが、有力情報がなくて」


「ふ~ん。相手が盗賊なら盗賊ギルドに訊いたらわかりそうだけどな」


「とんでもない! 冒険者が盗賊ギルドにいくなどありえないことです!」


 ツインテールをぶんぶん振りながら答えたな。

 忌避感半端ない感じか。

 この様子じゃ誰も行ってないんだろうけど、蛇の道は蛇って言葉ないんかな?


 う~んまぁいいか。だったら次の行き先は決まったけど、でもその前に。


「このへんでオススメの宿ってどこかあるかな?」


「それでしたら、ギルドを出て東地区に向かうようにして四〇〇メートル程進んだ先にある、【いつでも眠り亭】がいいと思います。値段も手頃ですし大浴場もあります。冒険者は大体そこに泊まってますからね」


「判ったありがとう」


 俺は受付嬢にお礼を言って三人とギルドを出た後、教えてもらった宿に向かう。

 この距離ならキャンセルもいらないな。


 で、教えてもらった宿はレンガ造りで見た目には中々小洒落た感じの三階建ての建物。


 そこに入るけど。


「むにゃむにゃ……あ、そこはらめぇ――」


 カウンターで女性が寝てた。いきなりで何だけど大丈夫かこの宿? てかどんな夢みてんだ!


「大変なの! 死んでるなの! 事件なの!」


「違うぞエリ~ン。この人はただ眠ってるだけだからね~」


「てか、なんでこんな堂々と眠ってるのでしょう? どうみても宿の受付の方でしょうに……」


「……職務怠慢」


 まぁ色々おもうところはあるけど、とりあえず起こす。


「ふぁい? なんですか~?」

 

 顔を上げた女性は眠気眼で訊いてくる。結構可愛らしい顔してるけど、髪はボサボサでちょっと残念系女子だ。


「部屋を取りたいんだけど」


「わかりました~じゃあ適当に選んでこの中から鍵を持っていってください~むにゃむにゃ……」


 で、また寝ちゃったよ。

 まぁいいか。とにかく皆で泊まっても平気そうな部屋を選んだ。

 三階の部屋だ。エレベーターとかないからキャンセルで行く。


「一瞬なの! 凄いなの!」


 うん、エリンに喜んでもらえてお父さんは嬉しいよ。


「じゃあとりあえず、セイラとメリッサでじゃんけんしてもらっていい?」


「え? じゃん、なんですかそれは?」

「……詳細希望」


 あぁじゃんけんはしらないのか。

 じゃあ説明、キャンセル!


「なるほど判りました」

「……勝負!」


 手っ取り早くて助かるね。で、結果はメリッサがパーを出してセイラがグーだった。


「勝ったのはメリッサか。じゃあセイラはエリンとここでお留守番ね」


「……え?」


「エリンついて行ったら駄目なの~?」


 なんかしゅんとした感じに聞いてきた。やばい! 心が揺れる! けど!


「ごめんなエリン。パパたちちょっとお仕事で出ないといけないんだ。そこにはエリンを連れていけないんだよ。セイラと留守番していてくれるかな?」


「え~……」


「エリンちゃん、あのね留守番も大事なお仕事なの。ここをしっかりみていられるのはエリンちゃんだけ、これもお手伝いなの。お願い出来ないかな?」


「お手伝い~? うん! 判った! エリン頑張ってお留守番する~」

 

 おお流石メリッサ。


「というわけでエリンの事宜しく頼むよセイラ」


「……うぅ判った」


 ……なんかセイラはセイラで凄く悲しそうな顔してたけど。


 まぁいいか。とりあえずエリンの事はセイラに任せて、俺とメリッサは盗賊ギルドに向かうことにした――


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