第二五話 やっちゃいました
「あ~、ご主人様ーーーー!」
「……しゅごい、しゅごいの~~!」
夕食を食べ終えた後は、エリンを寝かしつけ、とりあえずメリッサやセイラと一緒に部屋に戻りキャンセル営みを終わらせた。
ふたりはキャンセルしてもしっかり絶頂を迎えたみたいで、左右から俺に寄り添ってす~す~と可愛らしい寝顔を晒している。
う~んういやつめ、なんて事を思いつつ、キャンセルで着替えを済まして部屋を出た。
もう大分暗くなってるけどなんとなく屋敷の廊下を歩いてみる。
魔導具のおかげで廊下には薄っすらと灯りがあって、全く前が見えないってことはないんだよね。
「……ヒット」
で、なんか俺を呼び止める声がしたから振り返るとそこにはイームネの姿。
「あ~イームネ起きてたんだ~」
「……妾が起きてたら何かまずかったのかのう?」
……何かジト目でそんな事を言われた。
あれ? もしかして不機嫌?
「あれれ? イームネなんかご機嫌斜め?」
「わ、妾の質問に答えぬか! 今まで妾を放ったらかしにしておいて、一体、一体奴隷二人と何をしておったのじゃ~~~~!」
両腕をブンブン振り回して、プンスカと言ってくる。
あ~そっかなるほどね~。
「そういう事か……ごめんね。ほらふたりとはイームネと合う前からこんな感じだったし、久しぶりだからついね」
「つ、ついって……妾を、お主は妾をもろうてくれると言っておったではないか! あれはう、ムグゥ!?」
なんか色々齟齬があるみたいだけど、それで勘違いされっぱなしも嫌だから唇を奪った。
そのまま頭を撫でながら、大人なキスを続けて、顔を離す。
「ふぁ、ふぁん、妾、妾なんか、変――ふぁ!」
「寂しい思いさせてごめんね」
そのまま俺の胸の前まで抱き寄せてギュッとしてやる。
あとおっぱいもモミモミする。
「イームネは色々と未経験だろうし、もうちょっと待ったほうが良いかなと思ったけど、そんな気持ちにさせておくのは男として勿体無いね。これから部屋に行っていい?」
「ひ、ひぇや?」
「そう、イームネの部屋。駄目かな?」
「……ヒットが望むなら、わ、妾は、ヒットの、ヒットに身も心も捧げたから――」
「うん、じゃあ決まり、キャンセル!」
「ふぁん! 妾、妾、おかしくなっちゃううぅううぅうん!」
と、はいイームネの処女もキャンセルでゲットと。
それにしてもやっぱイームネはいい胸してたな~ついそっちをメインで責めちゃったよ。
勿論大人な事情で詳細はキャンセルだけどね。
そんなわけで気絶したように眠るイームネの寝顔を眺めつつ、一頻り胸の感覚を楽しんだ後はまた着替えて屋敷内の散歩と洒落込む。
暫く歩くと中庭に出たよ。中庭と言っても凄い広いんだけどね。
ちょっとした庭園って感じ?
で、中央には噴水まで設けられてる始末。これ全部税金で作ったっていうんだからね。
本当前の領主は悪徳政治家って感じだよ。
「あ、ヒット――」
で、噴水の目の前では長い金髪を靡かせながらアンジュがなんか剣を振ってた。
「アンジュってば真面目だね。こんな夜に鍛錬?」
「う、うむ……以前ヒットには不甲斐ないところを見られているしな。やはり騎士としてもっと強くならねば」
「てか、アンジュって別に正式に騎士ってわけじゃないんだよね?」
「むぐぅ! し、しかし気持ちは常に姫騎士だ!」
姫騎士なのね。
「全く……」
ふぅ、と一息つくようにしてアンジュが剣を鞘に収めて、噴水の縁に腰を下ろした。
ちなみに今アンジュの格好は鎧ではなく部屋着って感じ。
まぁあたりまえだけど。
スカートじゃなくてパンツってのがちょっと残念かな。
まぁでも折角だから俺もアンジュの横に座る。
「ち、近いな」
「え? 嫌?」
「い、嫌ではないが」
頬を染めながら目を逸らす。こういう初なところは可愛いね。でも近いと言っても肩が触れるぐらいだけどね、十分近いか。
「星と月が綺麗だね~」
ここからだと夜空に煌めく星や満月が良く見えるんだよね。
屋敷がちょっと高いところにあるからかもしれないけど。
「うむ……確かに綺麗だな」
「でもアンジュの方がもっと綺麗だけどね」
「なっ!?」
俺の方を見て目を丸くさせて、またそっぽを向いてなんかモジモジして嫌だこの姫騎士可愛い。
「……ど、どうせ他の者にも似たような事を言っているのだろ?」
うん?
「それって?」
「わ、私の事を何もわからない世間知らずなお姫様とでも思ったのか? ヒットがモテるのも、他の女性と既に関係を持っているのも見ていれば判る……」
「……否定はしないよ。今もメリッサとセイラとイームネと愛し合ってきたばかりだし」
「な!? い、今だと! こ、こんな屋敷についた早々にか!」
あれ? そこは気がついていなかったとか?
あちゃ~やらかしちゃったか、まぁでも。
「俺は皆のことが好きだからね。でもアンジュだってそれは判った上でうけてくれたんでしょ? 婚約?」
「そ、それはそうだが……」
「それにさ、俺アンジュも好きだし。他の誰にも渡したくないぐらい」
「……ヒット」
「うん、だからね。俺アンジュともしたいな~」
「へ?」
俺を見ていたアンジュの顔に疑問符が浮かんだ。
「し、したいって何をだ?」
え~わかりそうなもんだけどな~仕方ないから耳元で俺の希望を囁く。
「な!? ちょ、ちょおま! 私は、は、はじ……」
「うん、判ってた」
両手で頬を押さえ、炎が吹き出たみたいに真っ赤なアンジュに伝え、そして立ち上がりヒョイッと持ち上げた。
お姫様抱っこってやつね。
「へ? ちょ、ヒット何をしてる?」
「ん? このまま部屋まで行こうかなと思って。勿論アンジュのね」
「はぁ!? いや、待て待て! 私はほら今は汗臭いし……」
「嫌だなぁそれがいいんじゃないか~判ってないな~じゃあ……キャンセル!」
「アー! ヒット、ヒットぉ、もう弾けてしまう~~~~!」
よし! これでアンジュもキャンセルでヴァージンゲット!
やっぱ汗臭いのもまたいいよねっと~
さてさて、アンジュとも事が終わって俺はまた廊下を歩く。
「なんやヒットまだ起きて――」
「キャンセル!」
「へ? ふぁ! こんな、こんなんうち初めてやーーーーーー!」
というわけでカラーナもハーレム入りが決定した。
処女じゃなかったけど、でも褐色はやっぱりいいね。
そんなわけで今晩のうちに全員としっかり決めることが出来て満足満足。
勿論全員をしっかり娶るつもりだけどねっと。
後はこれからどこで寝るかだけどこれは問題ない。だって既に俺の部屋にはエリンが可愛らしい寝顔ですやすやと寝てるからね。
当然パパとしてエリンの隣で寝るのは最優先なわけで、これで皆とも揉めなくて済むって戦法さ。
勿論エリンとは何もしてないけどね。幼女はあくまで愛でるもの! ノータッチノータッチ!
で、まぁそれはいいとして――俺は一旦屋根の上に移動し、南に視える山地を見通した――
「あれがあやつを倒したという男か? 情報では新しく領主として任命されたらしいが、全くただの女好きの間抜け面にしか見えないが、て、うん?」
「誰が間抜け面だって?」
「へ? ぬぉおおおおああぁああぁあ!」
なんか山の方から妙な視線を感じたからキャンセルで来てみたけど、案の定、頭に一本角を生やした三十代ぐらいの男がそこにいた。
角が生えてる以外は普通の人とあんま変わんない気がするけど――で、誰こいつ?




