プロローグ
30年ほど前の事、現国王様と王妃様は、優秀な者なら貴族平民関係なく誰でも通えるこの学園で出会ったそうだ。
一目逢ったその瞬間、二人は恋に落ちた。
しかし、王太子殿下としがない男爵家の娘
二人が結ばれない運命だという事は当人達が一番よく分かっていた。
王太子殿下には婚約者が居た。美しく聡明で将来の王妃として文句のつけどころのない侯爵家の娘だった。
彼女は、自分達の気持ちから必死に目を背けていた彼らにこう言った。
「殿下、世を変えましょう。悲しい気持ちをする人々が一人でも多く減るように。」
私もその一人なのです。と目を伏せる彼女の後ろには彼女を愛しそうに見つめる従者の姿があった。
そして彼らはやってのけた。自らの才覚を証明し、国政を根底から変えるほどの功績を積み上げたのだ。
誰もが認めざるを得ない『実力』という盾を前に、身分という古き檻は意味を成さなくなった。彼らは、愛し合うことに血筋など必要ないと、その生き様を持って証明してみせたのである。
そして現在、この国では身分に囚われない恋愛結婚が主流となり、かつての政略結婚という古き慣習は過去の物語となっていた。
この学園は、そんな若き学生達が、恋をし未来の伴侶を見つけるための自由の楽園である。




