形だけの婚約者①《逆行前》
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「オリヴィア嬢には、エドワードの婚約者となって欲しいのだ。」
前の私に陛下からそんなお声がかかったのは、私の魔力判定の翌日のことだった。
アンゲル王国では、社交界デビューは13歳の魔力判定を終えてから。
だから、殿下とお会いするのは、2年前のあの観劇場での初対面以来、初めてのことだった。
(…初対面がああだったのだもの…。
きっと、殿下は私のこと嫌っていると思うのだけれど……。)
チラリ、と私達よりも高いところ、陛下の隣に座るエドワード殿下に目をやる。
あの日お忍びで茶色だった髪色は、今日は本来の眩いばかりの金髪を惜しげもなく披露している。
濃い、藍色の瞳とはーーー目は、合わない。
口を引き結んだ殿下は、何を考えているのか…さっぱり分からなかった。
ーーーが、少なくとも。
(…やっぱり、嬉しそうではない、わね。)
わかっていたけれど。
胸の奥がチクリ、と傷んだ気がした。
あの日から、殿下と直接お会いする機会はなかった。
しかし、殿下が以前よりもさらに勉学や鍛錬に熱心になられたこと、国民、特に平民のための事業などに率先して取り組まれるようになったこと。
そんな噂を聞いて、私の印象は最悪でも、殿下が成長される機会になったのならーーーと、なんとなく誇らしく思っていた。
(これからも、密かに応援しようと思っていたのに…。
まさか、私が光の適正だなんて。)
殿下に申し訳ないな、と思うものの、王家からの打診。
しかも、陛下から直接の王命に首を振ることなどできないに等しい。
「…謹んで、お受けいたします。」
ーーーそうして、私と殿下は婚約者となった。




