8話「冒険者登録試験の説明」
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「すみません!!登録試験、受けたいです!!」
なんとか、1分前に冒険者ギルドに辿り着いたウルフは受付の方まで駆けつけ、受付にいた女性に声をかける。
女性は唐突の申し出にビクッと体を震わせるも、即座に営業スマイルをしてウルフに対応する。
「と、登録試験の申し込みですね。かしこまりました。」
女性は1枚の紙を取り出して、ウルフに差し出す。
ウルフはババっと紙に記入をしていく。もちろん、名前は先程思い付いたリーフと書いた。
「では、リーフ様は西の広場に行ってくださいませ。」
「西の広場?」
「はい。冒険者の登録試験を導入してからは、試験の申込者が多くいらっしゃいますからね。1つの広場では対応しきれないので、東・西・南・北の方向にある広場にバラけて試験を行ってもらうんです。」
「なるほど。」
女性の説明に頷きながら納得するウルフ。確かに、今まではいつ何時でも出来た冒険者の登録に日程が決められてしまったのならば、申込者が多くいるのは分かりきっていたことだった。
「最後にこちらを」
女性は"西"と刻まれたバッチをウルフに渡す。
「試験の受験者を示すバッチです。それを衣服のどこかに身につけて行ってください。それが無ければ、受けることは出来ません」
「分かりました」
バッチを受け取り、忘れないようにとすぐに胸元に付ける。その後、申込み料を支払ったあとウルフはギルドを後にした。
「西の広場はっと………」
東の広場なら、よくクリスと遊んでいた過去があるので分かるのだが、それ以外の広場の場所は分からなかった。なので、各場所にある掲示板を見て、場所を把握しながら西の広場へと急ぐ。
そして、10分後に、ウルフは西の広場に到着した。
西の広場には、ウルフと同じく冒険者希望者らしき少年少女が多くいた。その数はおよそ50を超える。確かに、1つの広場でこんだけ数がいれば、試験会場をバラけさせる必要があった。
「やぁ。君も冒険者の希望者かい?」
「そうだけど………君は?」
突然、誰かに声をかけられる。振り向くと、そのには金髪の少年が立っていた。
「俺の名前はヤナギ。よろしくな」
ヤナギと名乗った少年は、ウルフに手を差し伸べるので、ウルフも「よ、よろしく」と言いながら彼の手を掴む。
「どうして、僕に声を?」
「見た感じ、君はこの試験初めてだろ?様子を見れば分かるよ。俺、そういう人を見かけると気になるタイプなんだよな。」
ヤナギは言葉を出す。その言い方からすると、どうやら彼は何度か試験を受けているように見える。
「君の想像通り、俺は試験を受けるのはこれで2回目になる。」
表情を見て、ウルフが思っていることを察するヤナギ。彼の言葉を聞いて、ウルフは申し訳ない気分になる。
「なんか………ごめん」
「そこまで、気にしないでくれ。1回目の時はまたまだ俺は未熟だった。ただ、それだけだよ。」
どうやら、割り切っているヤナギは励ますように、ウルフの背中をバンバンと叩く。少しだけ痛かったが、ウルフも気にしないことにした。
そして、疑問に思ったことをウルフはヤナギに向かって言葉を出した。
「それじゃあ、ヤナギさんは試験内容を知っているのか?」
「あぁ。今回も恐らくだが、変わっていないと思う。」
ヤナギは「ズバリ!」と言いながら、背中に背負っていた剣を取り出して試験内容を口にした。
「現・冒険者との一騎打ち。これが、試験内容さ。」
一騎打ち……つまり、1体1で相手と戦うことが試験内容ということになる。と、なるとその相手となる冒険者に勝たなければいけないということなのだろうか。
「とは言っても、別に相手に勝つ必要はない。戦いぶりを見て、合否を判断していると思われる。前回は、試験管を務める冒険者に勝てなくても合格した人が何人かいたからな。」
ヤナギは補足するように言葉を付け足す。やはり、受験者で実力を少なくとも積んでいるであろう冒険者の人に勝つのは、なかなか難しいようだ。
「それに、相手はEランク、高くてもDランク冒険者が相手になるだろう。前回もそうだったからな。」
最後に、という形でヤナギは相手の実力の内容もウルフに教えてくれた。悪魔で、これは冒険者として腕があるか、もしくは成長の見込みがあるかを見定める試験だ。低ランク冒険者が相手なのは仕方がないことだろう。
「それでは、希望者の方は集まって下さーい。」
広場の中央から、恐らく試験の関係者だと思われる人の声が響き渡る。
「それじゃあ、えぇと……君の名前は?」
「リーフです。」
「よし、リーフ。互いに合格できるように頑張ろうな」
「はい!!こたらこそ、色々と教えてくれてありがとうございました!!」
ウルフはヤナギに感謝の気持ちを込めながら頭を下げる。何も知らないウルフに丁寧に試験についてのある程度の情報を提供してくれたのだ。お礼ぐらいは言っておかなければ、ヤナギに対して失礼だろう。
そして、ヤナギと別れたウルフは広場の中央へと向かう。中央には2人の人間が立っていた。
1人は受付にいた女性と同じ制服を着ている男性で、もう1人はウルフと同じローブを着て更にフードも被っていたため、どんな人間なのか分からなかった。
「本日、この西の広場にて冒険者登録試験の試験内容を説明させていただくブルノームと申します。よろしくお願いします。」
ブルノームと名乗った男性は礼儀良くお辞儀をしたあと、ウルフ含む大勢の受験者に向かって言葉を出していく。
「では、試験内容を説明させていただきます。内容としては、前回と変わらず我が街の冒険者ギルドに登録されている冒険者の方と一騎打ちで勝負してもらいます。」
「ーーーッッ」
試験内容はヤナギが言っていた通りであった。
「試験ルールとしては、戦闘時間は10分とさせていただきます。この10分の間に、どれだけ自分の実力をアピールできるかが試験の合否に繋がることをお忘れなく。」
10分………、意外と短いな、とウルフは心の中で思ったが、人が多いので、それが限界なのだろう…………と勝手に予測した。
「試験官となる冒険者の方は身に纏っている装備服のどこかに、この緑色のバッチを付けています。これを破壊することが出来た方は、その時点で合格となります。」
ブルノームは緑色のバッチを取り出して、皆に見せながら説明する。そんな特別ルール的なものもあるのか。
「最後に、試験を受ける皆様に一言だけ。この試験を乗り越え、無事に冒険者へとなった皆様と同じ職場で働ける未来を、我々職員は強く願います。どうか頑張って下さいませ。これで、私からの話は終わらせて頂きます。」
ブルノームがまたしても礼儀良くお辞儀をして話を締めると、彼の言葉に感化された受験者は「ウオォオオオオオ!!!」と張り切りながら雄叫びをあげる。
このブルノームという人物は、人を昂らせる才能があるようだ。
「まぁ、試験を無事に合格することが出来れば………の話ですがね。」
「え?」
未だに冒険者が雄叫びを上げる中、ブルノームはボソッと呟いた。雄叫びによって、ほとんどの人は耳にしていないようだが、聴力に特化しているウルフはハッキリと彼の言葉を聞こえた。
それは、一体どういうことなのか気になったところでーーーー
「それでは、今回の試験管をやってくださる冒険者を紹介したいと思います。」
ブルノームの言葉で、正体不明だった何者かは数歩前に出る。そして、ローブを手にしてあと、引きちぎるように引っ張ってローブを放り投げて姿を現した。
「「「「「ーーーーーーーなっ!?」」」」」
正体を明かした人物を見て、周りにいるほとんどの受験者は驚愕の声を顔を青ざめながら出した。ウルフは初めて見たため、ポカンとしている。
その人物は女性であった。容姿はとても整っていて、誰もが1度顔を見れば恋に落ちるのではないか、と思われるほどの美人だった。髪型は桃色のツインテール。服装としては、上半身は迷彩柄のスポーツブラだけを着用し、スレンダーな体系が強調され、下半身も迷彩柄のダボダボとしたズボンを履いていた。
「おいおい………嘘だろ?」
「どうして、彼女が!?」
「おい!?どうなってるんだ!?」
「何かの間違いだろ!?」
先程まで雄叫びを上げていたのが、嘘みたいに次第と消極的になっていく周りの受験者。
それもそのはず。なぜなら彼女はーーー
「皆様の相手になるのは………………Aランク冒険者、『灼熱の冒険者』チナツ様でございます。」
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