スライムダンジョン2
ぽいーん、ぽいーん。
先に進むと、同じような集団がいた。
今回のミッションも、すべて倒して進んでいくタイプらしい。
りょーちゃんが突撃していったので、それに続く。
「支援として動くなら……」
全体の動きを見ながら、弓を構える。
自力撃破は無理に狙わず、りょーちゃんのサポートに徹する。
元々そのつもりでヒーラーを選んだわけだし。
ビュン!
少し外れた場所にいるスライムに攻撃を当て、ターゲットを取る。
続いて、もう1匹……。
「あっ」
外しちゃった。
やっぱり、距離があると難しい。
欲張ったら失敗しそうなので、次の行動に移る。
ぽっこーん!
近くにいた1匹にスマッシュ。
距離を調節しながら移動する。
りょーちゃんがスキル待機モーション(※1)に入るのを見てから、範囲内に引き連れていく。
ズババババ!
まとめて消えていくスライム。
1人でちまちま倒すより、ずっと早い。
ビュン!
同じように、遠くのスライム優先でターゲットを集める。
ダメージを稼ぐ必要はないので、とにかく当てることに集中。
りょーちゃんの周りをぐるぐる回って、範囲攻撃に当たるよう誘導する。
ズバババババ!
範囲で一掃。
……したのはよかったけど、りょーちゃんのHPが一瞬で消えた。
ギリギリ範囲外にいたスライムが、スキル硬直中に攻撃したらしい。
「ごめん、ちょっと遠かったよね」
「問題ない」
うまくタイミングを合わせないと、りょーちゃんを危険にさらしてしまう。
範囲はかなり狭いようなので、しっかりまとめないと。
復活薬を投げて、バフをかけ直す。
残りは2匹。
全部任せても大丈夫だろうけど……。
「……」
弓を構える。
少しでも連携の練習をしよう。
りょーちゃんがスライムを投げ飛ばし、2匹ともおびき寄せる。
サポートするため、タイミングを見ながら矢を放つ。
ブスリ。
ドゴォ!
のけぞりに反応して、スキルを叩き込むりょーちゃん。
すぐにキャンセルステップして、もう1匹の攻撃を避ける。
「あれ? 範囲スキルじゃないの?」
「連携の練習したかったんじゃないのか?」
「よくわかったね」
「千里のことだからな」
ボクの動きも読まれていたようだ。
残りの1匹にも同じように矢を当て、硬直からのスマッシュで倒す。
なかなか有効そうに見えるけど、ボクが外したらアウトなパターン。
100%当てられるようにがんばらないと。
「……あれ?」
次の集団の中に、違う色のスライムが混じっていた。
遠くから見ていると、ゼリーみたいでおいしそう。
「オレンジは少しだけ速い」
「別種なんだ」
名前を見ると『みかんスライム』となっていた。
まずは、矢を当てて反応を見る。
ぽいーん、ぽいーん。
気持ち速いかな?
ノーマルのスライムのターゲットも取って、速度を比べてみる。
ぽいーん、ぽいーん。
あ、ちょっと速い。
といっても、こちらが歩く速度と変わらない程度。
矢を当てて距離調節しながら、りょーちゃんの近くへ運んでいく。
「ヒール!」
持ち替えステップを試しつつ、被弾するタイミングに合わせてヒール。
……したかったけど、失敗。
回復する前にりょーちゃんが倒れる。
なかなか難しい。
持ち替えや弓の練習もしないといけないし、やらなきゃいけないことが山積みだ。
テレレレッテレー♪
『レベルが1上がりました!』
相打ちになったスライムでレベルアップ。
『新しいクエストを受諾しました』
レベルが10になったので、クエストが届いた。
今は進行できないので、またあとで確認しよう。
ぽいーん、ぽいーん。
「?」
次の集団の中に、今度は白いスライムがいた。
おっきな杏仁豆腐みたい。
「ここって、スライムしか出てこないの?」
「ああ」
だんだんカラフルな色合いになってきて、楽しい雰囲気に。
全部で何種類いるんだろう?
ぷすり。
ディレイショットなんかも混ぜながら、なるべく多くのターゲットを集める。
ぽいんぽいん集まってくるスライム。
ペットみたいで、ちょっとかわいい。
ズバババン!
範囲で一掃。
「?」
範囲に巻き込んだはずなのに、白いスライムがその場にとどまる。
HPが多いのかな?
ぶるぶると震えて、ぷくーっとふくれる。
「ちなみに……」
りょーちゃんが何か言おうとすると同時に、破裂した。
「っ!」
全身に破片が当たる感触。
すぐにHPを確認するけど……減ってない。
攻撃判定はなかったのかな?
でも……。
「べとべとする……」
白くてねっとりとした粘液が、全身にまとわりついていた。
粘着性があって動きづらい。
「倒した時に破裂する。鈍足効果だけでダメージはないが」
「もう少し早く言ってくれたらうれしかったかも……」
水の中を移動するかのように、ゆっくりとしか動けない。
服にも染み込んでいるのか、体にはりついてくる。
「あと、一度食らうと他の白スライムが寄ってくる」
「えっ?」
こちらから攻撃していないのに、白いスライムが周りを取り囲む。
逃げようとするけど、相手のほうが速い。
「わっ!」
次々と破裂するスライム。
降り注ぐ体液。
「ぬるぬるする……」
頭からつま先まで、全身べっちょりになる。
取り除こうとしても、ドロドロしていて取れない。
状態異常扱いのようなので、治癒魔法とかじゃないとダメっぽい。
「?」
見た目と違って、いい香りがする。
レモンとかオレンジみたいな、さわやかな香り。
「あれ? 感触とかニオイとかって、抑えてあるんだよね?」
「開発協力しているところが感触特化系だからな。基準を守った上で最大限再現している」
「すごくリアルな感じ」
足元までぬるぬるしているので、滑って転びそうなほど。
「βだともっと生臭かったらしい」
「何かモチーフでもあるのかな?」
もしかすると、本格的な杏仁豆腐っぽくしたかったとか?
本場の作り方だと、日本風とは違うと聞いたことがある。
「あ、消えた」
話しているうちに、すーっとなくなってしまった。
体のあちこちを触ってみるけど、どこにも残っていない。
「1分くらいで消える」
「よかった」
ずっとあのままだったら、いろいろと困ってしまう。
かなり強力な状態異常。
アクティブモンスターが多数いる狩場では、ピンチになってしまうかも。
「次行くか」
「うん」
状態異常もなくなったし、次の集団に突撃していく。
「……?」
また違う色のスライムがいた。
今回は緑色。
また特殊な行動をしてくるのかな?
緑色だと……毒とか?
「りょーちゃん。緑色のスライムは、何をしてくるの?」
先ほどの反省を生かし、あらかじめ聞いておく。
「服が溶ける」
「予想より危険だった!」
想定外の状態異常。
「服が溶けたら、装備も消えちゃうの?」
「一定時間防御が下がるだけ」
「それならよかった」
「見た目は半裸になるが」
「よくなかった!」
防御力低下より、そっちのデメリットのほうが大きい。
人が見ているところで溶けてしまったら、大変なことに。
今はりょーちゃんしかいないから、特に問題はないけど。
ぽいーん、ぽいーん。
なるべく近づかれぬよう、距離を取ってターゲットを集める。
移動速度は……ノーマルのスライムと同じかな?
ねちょ。
体液を飛ばしてきた。
事前に体がぷるぷるするし、攻撃範囲も広くない。
こちらがミスをしない限りは大丈夫そうだ。
ズンババババ!
HPもそう多くない。
範囲攻撃に巻き込まれて、バタバタ倒れていく。
「ヒール!」
被弾に合わせて回復。
タイミングをしっかり合わせても、やっぱり倒されてしまう。
回復力が足りない。
中級ダンジョンなので、相手の攻撃力も上がっている。
「うーん……」
もっと回復力を上げるか、そもそも被弾させない立ち回りをするべきか。
ダンジョンデータを見て、被ダメージの計算などをする必要も出てきそう。
予算と相談しながら、できることからやっていこう。
復活薬を投げて、残りのモンスターを倒していく。
どろりとした白濁液が全身にぶっかかってますが、健全な液体なのでまったく問題ありません。
※1、スキル待機モーション:もっさりオンラインシステムと呼ばれる要因の一つ。
まずは使うスキルを発声する(もしくはスキル発動ポーズ)→スキルが使えるようになるまで待つ(ここが待機モーション)→当てたい相手を選択→武器を振る→スキル発動→スキル硬直時間→スキルディレイ
と『合計すると何秒かかるんだよこれ?』なもっさり具合。
現実世界で説明すると、
まずは使いたいブツを選ぶ→元気になるまで待つ→キメる相手を選択→そそり立つ武器を振る→発射→硬直時間→賢者タイム
といった流れです。
もちろんペットと遊ぶ時の健全な話です。




