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爽やかな目覚め

「……」


 カーテンの隙間から光が差し込んでくる。

 穏やかな風とともに草木の香りも運ばれてくる。


「……?」


 あれ?

 戸締りするのを忘れていたのかな?

 暖かい季節だから開けっ放しで眠ってしまっても風邪をひく心配はないと思うけど。


 ごろごろーん。


 体を起こそうとしたらぬいぐるみが転がってきた。

 寝る前にはいつもベッドの周辺を片付けている。

 またお母さんが勝手に置いていったのかも。

 カバっぽいぬいぐるみを枕元に置き、ベッドから下りようと……。


「?」


 ベッドというか、部屋全体が違う。


「あっ」


 ここって昨日のゲーム内のお屋敷だよね?

 急に始まったクエストだからよく覚えている。

 なんでまだゲーム内にいるんだろう?

 プレイヤーの意識がなくなったら自動的にログアウトするはずなのに。


「おはようございます、お嬢様」


 ナーランさんがやってきた。

 やっぱりゲーム内で間違いないようだ。

 昨日の始まり方もなんか変だったしログイン継続機能でも実装されたのかな?


「昨夜はよく眠れましたか?」

「はい、ふかふかなベッドのおかげでぐっすりでした」

「それは何よりです」


 カーテンを開けていく。

 昨日は夜だからわからなかったけど、大きなベランダもあったようだ。

 洗濯物をたくさん干せそう。


「それではお着替えしましょうか」

「はい」


 ナーランさんに手伝ってもらいながら身支度を整えていく。

 髪を触るとぴょんっとはねている寝ぐせがあった。

 ゲーム内なら自動で補正されるはずなのにそういった機能が働いていないようだった。


「本日のお召し物は……」

「おはようございますお嬢様!」


 バーンッと扉を開けてプーリーさんがやってきた。


「寝起きのお嬢様きゃわわうひょーぅ!」


 ベシッ!


 ナーランさんのチョップが突き刺さる。


「前に住んでいたお嬢様のドレスになりますが、フローレイズお嬢様にぴったり合うよう一晩で仕立てました!」


 めげずに衣装を見せてくる。

 フリフリやリボンがたくさんあって、いかにもといった感じのドレス。

 当然のことながらボクに似合うはずもない。


「前に住んでいたお嬢様というのは……?」

「あー、前のお嬢様というのは……あれ? これって言っていいんだっけ?」

「それはのちのちカール様(執事)が説明してくださいます」


 ナーランさんが教えてくれた。


「そのためにもまずはお着替えをしましょう。はい、ばんざーい」


 するするとネグリジェを脱がされていく。

 代わりにドレスをすぽっと装着される。

 びっくりするくらい手際がよくて恥ずかしがる暇もなかった。

 見ただけでスリーサイズを把握できる特殊能力持ち。

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