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22 世界の秘密


 翌日、爺ちゃん小屋に来た俺は、ある目的のために魔道書を調べていた。

「ふむふむ、やっぱりバズは面白いのう」

 事情を話すと、爺ちゃんはリアについては連れてきたらディナを呼んで一緒に見てみることを了承し、そして俺が考えていることが可能だと教えてくれた。

 情報はそれだけで十分だ。


「よし!」

「もう見つかったのか?」

「うん、これなら防御術が使えない俺でも行けるはず」


 俺は自分の思いついた方法を爺ちゃんに説明した。爺ちゃんは何度か頷くとニカっと笑った。


「早いのう、教え甲斐のないやつじゃ」


 ナヴィを教えていたメイド達もこんな笑顔をナヴィに見せたのだろうか。


 用事は終わり、爺ちゃんの焼いたクッキーを食べながらのんびり雑談する。


「爺ちゃんはどう思う?」

「何が?」

「奴隷について」

「そりゃ、ワシは生まれも育ちもこの世界じゃからな」

「そう」

「じゃからバズがどうするのか楽しみじゃよ」

「楽しみ?」

「魔道を極め尽くしたと言っても、ワシの世界は狭い。バズと出会ってあらためて思い知った」

「爺ちゃんは世界中見てきたんでしょ?」


 次元すら旅した爺ちゃんにとって、世界が狭いなんてことがあるのだろうか。


「あるよバズ。ワシはこの世界の秘密を垣間見た」

「世界の秘密?」

「教えんぞ、あれは自分の目で確かめるべきものじゃ」


 その時に爺ちゃんが見せた表情は、はじめて見るものだった。興奮と喜悦の入り混じった顔だ。


「一体何を見たのやら」

「まずはホワイトマウンテンの町を目指さねばな」

「この国一番の職人の町だっけ?」

「うむ、森の川に添って進めばたどり着ける」

「それじゃあ、旅の予行練習にみんなと行ってみるよ。リアの体調がよくなってからだけど」

「うんうん、あそこにも世界の秘密の一端がある。まあそもそもお前さんは一番近いアクロポリスの町から始めるべきか。街にも一人じゃ行ったこと無いんじゃろ?」

「父さんに連れられて行ったのが3回かな」


 アクロポリスはこの領地にある大きな町。普通ここらで町といったら、アクロポリスを指す。基本的にこの世界の住人は旅をしない。自分の生まれた場所で一生を終えるのが普通で、一番近い町に行くのも年に数回程度だ。

 アクロポリスにはちゃんとした冒険者ギルドもある。ランクを上げる承認も欲しいしね。


「それもそうだ、そこから始めないと」


 俺は本当に屋敷の周囲だけで生きてきたんだな。俺の世界は狭い。

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