プロローグ ー50年戦争ー
よろしくお願いします
五十年。
それは一つの戦争が続いた年月である。
始まりは誰も知らない。
宗教だったのか。
資源だったのか。
あるいは、もっと些細な出来事だったのか。
今となっては記録も失われ、真実を知る者はいない。
ただ一つ確かなことは、その争いが世界を変えてしまったということだった。
帝国と連合国。
二つの巨大勢力による戦争は、やがて人類史上最大の戦火へと発展する。
最初は人と人が戦っていた。
だが戦争が長期化するにつれ状況は変わる。
帝国は連合国に比べ資源も人も足りなかった。
長期化すればするほど連合国の勝利は確実だった。
しかし、そうはならなかった。
帝国は連合国に比べ科学力が頭一つ抜けていた。人数差も資源差も、その技術力で覆そうとしたのである。
自律型無人兵器。
生物兵器。
そして数々の特殊兵装。
帝国は次々と新兵器を投入し、それらを戦場に送りこみ、連合国を幾度となく追い詰めた。
気付けば五十年という長い歳月が過ぎ、多くの国が疲弊していく中、戦争は突然終わりを迎える。
帝国皇帝暗殺。
それは連合国によるものではなかった。
帝国自身による反乱、クーデターである。
皇帝の死と共に帝国は崩壊し、五十年続いた戦争はあまりにも呆気なく終結した。
人々は歓喜した。
ようやく平和が訪れる。
誰もがそう信じた。
だが、悪夢はそこから始まった。
帝国が残した無数の兵器。
オートマタと呼ばれる自律型無人兵器。
キマイラと呼ばれる生物兵器。
それらは停止しなかった。
帝国崩壊の混乱の中で判明した事実。
帝国製兵器の多くには共通した最優先命令が存在していた。
――皇帝に害をなす者を排除せよ。
本来であれば皇帝を守るための命令。
しかし皇帝は帝国民によって殺害された。
その結果。
兵器達は帝国民すら敵と認識する。
兵器達にとって世界そのものが敵となったのである。
戦争は終わった。
だが兵器達は戦い続けた。
都市を襲い。
村を滅ぼし。
旅人を殺し。
復興を妨げた。
連合国は事態を重く見た。
そして一つの制度を作り上げる。
戦争終結で職を失った傭兵。
帰る場所を失った難民。
行き場を失った元兵士。
彼らに新たな仕事を与える組織。
暴走兵器の討伐。
都市の防衛。
復興支援。
護衛任務。
報酬によって成り立つ新たな秩序。
その名を――ギルド。
こうして世界は復興への道を歩み始める。
だが平和には程遠かった。
帝国の残した五十年の傷跡はあまりにも深い。
荒野には今も兵器達が徘徊している。
戦争が終わって一年。
世界に平和はまだ訪れない。
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