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勇者のハーレム要員みたいですけど拒否していいですか?  作者: 蓬(よもぎ):


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どうやら転生者だったようです。

全4話、完結済みです。

毎日更新します。

 いきなり気がついた。

 わたし、転生者だわ。


 運がいいのか悪いのか、魔王城の前の街。最終決戦目前。


 あ、こんにちは。わたしは村娘のエリシアです。勇者の幼馴染。

 前世の人生はぼんやりだけど、このお話は知ってる。だって人気のRPGゲーム。

 

 そもそもなんで単なる村娘で戦闘能力皆無なわたしが勇者パーティにいるのかなんて、だいぶ前から腑に落ちなかったんだけど、あれですか?ヒロイン枠ってやつ?

 でもわたし、自慢じゃないけど普通オブ普通。どこにでもいる茶色の髪と茶色の目。特に容姿端麗というわけではありません。ヒロインとか無理。

 そりゃ昔から勇者の片鱗を見せていた幼馴染のアラミス、黒い髪に金色の瞳でかっこいいなと思ってましたし、頑張ってるのも知ってましたけど。でも単なる村娘のわたしをパーティに入れるなんて、それって、死なば諸共?え、わたしの両親の気持ちとか無視なの?

 

 なんだか王命だのなんだので気がついたら巻き込まれてしまってたので、それはもう頑張りましたよ、わたしも。それなりに。でも何、この理不尽感。

 

 とはいえ。魔王をなんとかしないと物事は進まないし、その先の未来もないから仕事します。

「確か…中ボスはなんとかなりそうだけど…魔王、一定ダメージ後に第二形態とかだっけ」うわぁ。これはいかん。

 わたしの役目は後方支援、兵糧や、補給、補充。

 今日と明日でこの街で、できる限りの補充をしなければいけません!


「おはようございますエリシアさん」

 宿屋の階段脇で、立ち尽くしてしまっていたわたしに声をかけてくれたのは、同じ勇者パーティの魔法使い、セレーネさん。

 クリっとした大きな緑の目、少し癖のある栗色の髪をフードに押し込めながら挨拶してくれます。

「おはようございます。宿に朝食をお願いしてあるので食堂を利用してくださいね」

 

 そう。こういった宿の手配や食事の準備伝達もわたしの仕事です。

「あ、セレーネさん。杖のお手入れはできれば念入りにお願いしますね。万一不調があればお知らせください」

 さりげなく付け加えておきます。

 ここぞという時に杖が折れたりしたら魔法詠唱が止まってしまいますからね。

「お手入れ用の香油はこちらです」

 これも先に渡しておきましょう。


「まあ、ありがとうございます」セレーネさんはそれは嬉しそうに微笑んでくれました。

 可愛い人の微笑みっていいですよね。

 そのままわたしは階段を登り、聖女様のお部屋をノックします。

 

「聖女ルシエル様、起きていらっしゃいますか」

「はぁい」

 聖女様はご自分で扉を開けて迎えてくれました。「おはようエリシア」

 ルシエル様はもともと伯爵家のご令嬢。銀の髪に青い瞳、とてもキラキラしています。今日もお綺麗です。

「朝食の準備が整いましたので食堂へどうぞ。あとで聖水への付与魔法もお願いします」

 聖女様は微笑んで答えてくださいました。

「いつもありがとうエリシア。食事が終わったら付与しますから部屋に聖水の瓶を置いておいてね」

「はい」


 そのまま階段を降りていく聖女ルシエル様を見送りながら、お部屋に瓶を並べておきます。

 これは特に重要案件。

 第二形態になった魔王は自動修復するから、この瓶を投げつけて修復の邪魔をしなければなりません。余分に準備するべき。


 さて。

 勇者さんを起こさなければ。


 部屋の扉を少々乱暴に叩きます。

「アラミス!起きて!起きなきゃ朝食抜くから!!」


 部屋の中から「あと5分〜」とか声が聞こえますが無視してがんがん扉を叩きます。

「今起きなければ朝食は撤収するからね!」


「おはよ…」髪はボサボサ、寝巻が半分ずり落ちたままでのそのそ出てきました。この声かけが聖女様だったりすると、もうちょっとシャキッとするのを、わたし知ってます。

「さっさと着替えて食事して、装備の手入れと鍛錬をしてね」

 念押ししてわたしは食堂に向かいました。

 


 とにかく今の最優先は、魔王打倒です。

 上級ポーションと、麻痺解除ポーション。

 あ、確か最終局面で一回、即死攻撃してくるんだったっけ。身代わりのマントを人数分用意しなきゃ。死にたくないし。

 食事を皆さんと一緒に摂った後は、この街の薬師ギルドと商業ギルド、ダンジョン産の希少アイテムを扱うお店をまわりました。資金は王国から出ているので潤沢です。

 何重にもチェックして、準備万端にしなければいけません。なにせ命かかってますし。それはもう必死です。

 特に、わたしのような戦闘能力皆無のただの村娘であれば余計に。



 ◇◇◇



 わたしたちは魔王を倒せました。

 ものすごく頑張りました。それはもう、ものすごく。ものすっごく、頑張りました。

 

 そりゃもちろん主に頑張ったのは勇者アラミスです。

 攻撃をかわしながら魔王に直接迫り、剣撃で追い詰めていく様は。

 それはそれは、勇者そのものでした。

 でも後方でデバフ魔法と攻撃魔法を的確に使ってくださった魔法使いセレーネさん、要所要所で回復魔法をかけたり、解毒をしてくれた聖女ルシエル様。

 柱の影に隠れながらポーション投げてたわたしも、相当頑張ったと言えるのではないでしょうか。あとちゃんと声かけもしましたよ。

 第二形態になった時に

「後ろの植物を先に枯れさせないと常時回復するよ!」とか

「自動回復しなくなったら胸元の赤い石を攻撃して破壊して!」とか。


 パーティの連携はとても素晴らしかったと思います。

 なので今日は、準備に滞在した街へ戻って、きちんと休養したら王都に凱旋です。


「とりあえず俺は休みたいかな!」と宣言してアラミスがチラッチラッとわたしたちを見ます。

 

「わたくし今日のうちに神殿へ赴いて報告と、神に感謝の祈りを捧げておきます」

 聖女ルシエル様はそうおっしゃって、神殿へ歩き出しました。

 

「わたしは疲弊した杖のメンテナンスしときます。魔王が倒れたからといっても、脅威全てがなくなったわけでもないので」魔法使いのセレーネさんはそう言いながら杖を撫でて、魔術師ギルドへ向かうようです。


「わたしも明日の宿と馬車の手配しにいきますね」

 前もって予約しないと馬車なんて急に使えるわけないんですよ。

 魔王討伐後だからさすがに専用馬車使っていいでしょうし。無駄な体力消耗は避けるべきですもん。

 

 それでなくても、体力お化けの勇者と違って、女性メンバーはそこまで体力あるわけではないです。そりゃあ勇者パーティですから、確かに普通の女の子よりは持久力も体力もあります。でも勇者のような特殊タイプと一緒にはできませんよ。

 今までは、歩いたり、乗合馬車使ったり、馬に乗ったりで移動しましたけどね。それはある程度こっそり移動する必要があったからであって。

 大々的に、魔王城に、今から行きますよって、しないでしょ。普通に。

 でも帰りは違います。堂々と帰れますから。


 なんだか愕然とした顔してるアラミスですが、正直どうでもいいのでさっさと手配に動きますよ。わたしだって早くお家に帰りたいですし。

 宿を出て馬車屋に向かっていたら、先日討伐準備をしてた時に親切にしてくださった薬師の青年と会いました。

「エリシアさん!ご無事でしたか!」

 背が高くて、ちょっとひょろっとしてますけど笑顔が爽やかな方です。

「ええっと、カミルさん、でしたっけ」

「はい。本当にエリシアさんだ。ご無事でよかった」

 なんだかこの青年、泣きそうになってます。何故。

「エリシアさんが、勇者パーティ全体の手配を一人でされてて、一生懸命走り回ってるのに強くなさそうで。それでも勇者と一緒に魔王に立ち向かいにいくって聞いて、心配で」


 あー。まぁ。

 それはそう。

 うん。

 客観的に見ても非戦闘員ですよね。

 いや王命やばいよね、ほんと。

 元々はアラミスが、心細いから一緒に行って欲しいって言い出したせい、だったような?

 んん?なんか今引っかかったぞ?

 これ、もしかしたら物語の強制力的な何か?

 

「すみません。どこかに向かう途中ですよね」

 カミルさんがそう言いながら道を譲ってくれて、再び歩き出したわたしは答えました。

「今度は王都まで帰還しますので。馬車を手配したいと」


 はっと顔をあげて嬉しそうにカミルさんが言い出します。

「それなら私の親戚が馬車屋を営んでます。王都まで、乗り換えなしで行けるようにできるか聞いてみます!」

「あら、もしそうできるならとても助かります。」

 本当にそうできるならどれだけ助かるだろう。毎日手配する手間が省けるし、宿も厩があって馬車が止められる宿限定になる。ということは、勇者の気まぐれで変な安宿になる確率が下がる!すてき。

 わくわくした顔になるのは仕方がないことです。

 わたしはカミルさんと一緒に歩き出しました。

 

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― 新着の感想 ―
始まりから、とても分かりやすく読みやすい。親しみのわく文章です。 中身は今からだと思うので、また次を読んでみたいと思います。
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