08-19.実家組
「「~♪」」
母さんもアニムスさんも楽しそうだ。
シュテル、ニタス姉さん、キトリの三人はどこだろう。いつの間にか離れてしまったようだ。
「私たちもどこか行きませんか?」
「そうですよ♪ 主様とアニムス様はユーシャとフーちゃんに任せておきましょう♪」
え~。それは流石になぁ~。
今日の主役はアニムスさんだし、私は魔王一家の主だし。いわばホストだ。ここで私が抜けるのはなんか違うと思う。
「何を言ってるんですか。今のギンカは下から二番目です」
「そうですよ! ホストは主様かフーちゃんです!」
そうか。このメンバーだと実家の方になるのか。
母であり、この世界の守護神でもある母さんがトップで、その次に長女のフーちゃん、次女のルベド、三女のニタス姉さん、四女のマグナ姉さんは不在、五女のネルケ姉さん、六女のキトリ、七女のシュテル、八女の私、九女のユーシャ。
順番はこんな感じか。確かに私は下から数えた方が早いのだな。
「けど姉妹は全員私の所有物だ。正式に主になる契約を結んだじゃないか」
「「それはそれです。姉をやめるつもりはありません♪」」
なら次女であるルベドはホスト側を手伝うべきでは?
「可愛い末っ子が母の手を占有しているのです♪ 微笑ましく見守るのが姉の役目です♪」
その役目放棄しようと……いえ。なんでもないです。
「私には女神アーエルとしての立場も」
「「無しです♪」」
あ、はい。
「妖精王エリクも魔王クシャナも女神アーエルもそして次期竜王も。今日は全て忘れてください。今のあなたはただのギンカです♪ 銀花じゃありませんよ♪ ギンカです♪ お姉ちゃんたちの妹のギンカです♪」
「ならお姉ちゃんたちがエスコートしてくれるの?」
「「任せてください♪」」
「ふふ♪ ならお願いするね♪」
「「はい!!」」
お姉ちゃんズは母さんたちに一声掛けてから、私の手を引いて駆け出した。
まるで幼い子供のようだ。ふふ♪ まさか姉さんたちとこんな風に過ごすことになるとはな♪
「「ギンカ♪」」
「うん♪ お姉ちゃん♪」
あっという間に楽しい時間が過ぎていった。
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『ギンカちゃ~ん♪』
母さんからのラブコールだ。
「フーちゃんからも呼び出しです」
「ソラから……まあこっちは無視して構わないでしょう」
ひどい。いや、ソラが一番面倒なことになると思うけど。
「今からコロシアムで試合があるそうです。一緒に参加しないか、或いは見学にというお誘いのようですね」
なるほど。それで皆一斉に。
カルモナドも流石だな。転んでもタダでは起きぬか。さっそく有効活用するとはな。というかまだ残ってたんだ。このままカルモナドの名物にでもするつもりだろうか?
「どこに行きましょうか」
「そりゃもちろん、今回はアニムスさんのところだろう」
母さんには悪いけど。なんなら皆で合流すればよかろう。
「それと参加はダメだぞ。あくまで観戦だ」
「キスカとファスタはもうエントリーしてしまったそうですよ」
なんでさ……。シルヴィとリリィは何やって……ああ。全員で参加するのね。なるほどね。
「アニムス様とフーちゃんもです」
えぇ……。
「じゃあ母さんのところに行こう」
流石に母さんとユーシャが参戦することはないだろうし。
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「あ~来た~♪」
母さんたちと合流すると、私は母さんとユーシャの間に座らされた。姉さんたちはちょっと不満そうだったけれど、私の中に入ることで妥協することにしたようだ。
『またですかぁ!?』
大丈夫大丈夫。オトヒメもすぐ慣れるさ。ネル姉さんとはなんだかんだ上手くやってるじゃないか。ルベドとも仲良くしてやっておくれ。
「アニちゃんたちも~出るんだって~♪」
うん。聞いてる聞いてる。
「ギンカちゃんは~♪ 誰が勝つと思うかしら~♪」
母さん燥いでるなぁ~。
「本気でやればアニムスさんかフーちゃんじゃ……あれ? フーちゃんはどうやって戦うつもりなのだ?」
対戦相手に敵意を持てんでしょうに。攻撃自体不可能だ。そういう制約が存在するのだ。フーちゃんには。
「ふふふ~♪」
どうやら戦う術はあるようだ。母さんのこの顔を見る限り。
まさか暴走モードを意図的に? いや。流石にそれは無いか。……無いよね?




