08-04.戸惑いの距離感
「!?」
あ……逃げられた……。
まじかぁ……。私もかぁ……。
「エリ! 大丈夫だから! ちょっと驚いちゃっただけだから! 気を落とさないで! 私がなんとかしてあげる!」
「あ、ああ。うむ。心配ない。気にしてないさ。本当だ」
大丈夫大丈夫。むしろシュテルが年相応の反応を示してくれて感動しているくらいだ。プチ感動。ホントホント。マジだって。
『御主人様ぁ……お労しやぁ……』
『無理はしないでください。ギンカ』
『そうだよ~』
『しかたない』
『きっとすぐ』
『もとどおり』
ありがとう。皆。
「任せといて♪ キャロもシュテルも仲良しなんだから♪」
そう言い残し、エイヴァが一人で追いかけて行った。
「私たちはルーテシアとユーフェミアに挨拶しておきましょう♪」
セリナちゃんは私とシルヴィの手を引いて歩き出した。
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「なるほど。義姉さんまで避けられてしまったと」
「どうしたんだろうね。ユーシャの変化には驚いたけど、エリクさんはそのままなのにね」
いやまあ、シュテルから見ると違うんだろうけどね。気配とか私自身も完全に神に寄っちゃったわけだし。
『そうでした。シュテルは元聖女です。本能的に嫌悪に近い感情を抱いているのでは?』
えぇ……。
『ネルケ』
『いいすぎ』
『けんおは~ちがうかな~たぶん~』
コルピスは何かわかるのか?
『うんと~ぼくは~なんとなく~きこえたの~』
聞こえた?
『うん~なんと~なく~』
曖昧だぁ~。
『だぁ~』
『失礼。確かに嫌悪は言い過ぎましたね』
いいや。ネル姉さんもありがとう。
「まあ、エイヴァに任せておけば問題はないでしょう」
「そうだな」
あの子は忙しいエフィたちに代わって、普段からよく面倒を見てくれているものな。たしか。そうだったはず。
『間違いありませんよ』
ありがとう、ネル姉さん。
『すっかりおぼろげですね。随分と充実した十年だったようです』
あれ? なんかちょっと怒ってる?
『いいえ。私たちとは過ごせなくなったというのに、ホッとしていることに対して怒ったりなんてしていませんよ』
ごめんなさい……。
『謝らないでください。不可抗力だったことはわかっています』
あの真っ白空間ならどうかな?
『やめておきましょう。テミス叔母様の言いつけを破りたくはありません』
それもそうだね。
「義姉さん」
「うん?」
「どうやら逃げられたようです」
え?
「エリクさん!!」
ああ。
「ごめん! 二人が!」
「いや。私も失念していた。あの子たちは転移が使えるのだったな。まあいい。無理に追いかけ回す必要はない。食事時にでも会えるだろう。あの子たちは賢い子だ。時間になっても現れなければ皆が心配するとわかっている。だから大丈夫だ。ありがとう、エイヴァ。私も今日はここで仕事を手伝っていくことにしたよ。よかったらエイヴァもどうだ? 私のリハビリに付き合っておくれ。実は色々スッポ抜けてしまっておってな。日常を取り戻さねばならん。暫くはどうか付き合ってくれ」
「喜んで♪」
「勝手に決めてくれるわね♪」
「いいだろう? セリナちゃんもシルヴィも今日は何も無いのだろう?」
「もちろんいいよ♪ エリがやりたいことには何でも付き合ってあげる♪ なにせお嫁さんだもん♪」
「もちろん私もよ♪ 私だって負けてはいられないわ♪」
「なんだか張り切ってるね。とても助かるよ」
「義姉さん。早速ですが一つ頼みたいことが」
「なんだ? 何でも言っておくれ♪」
「では二人で出かけましょう」
「「「「待った!!!」」」」
「何でもって言いました」
「「「「抜け駆け禁止! 出し抜こうとしない!」」」」
「残念です」
ふふ♪ エフィはこんなに積極的だったけか♪
『まったく。油断も隙もありません』
ネル姉さんもだったな♪
『むう』
『ライバル』
『おおい』
『ね~』
『御主人様ぁ~』
大丈夫だ♪ 皆きっと受け入れてくれるさ♪




