03-17.合流
「捕まえたわ!」
「いつの間に参加していたんだ。パティ」
「ディアナ! ユーシャ! こっちよ! エリクを捕らえたわ!」
なんで無視すんの?
「パティにならすぐ捕まるんだ」
「油断していたのだ。他意は無い」
「パティばかり贔屓してズルいわ。皆平等に扱いなさいよ」
「おい。話を聞け。そもそも参加していた事を知らんかったのだ。完全に不意を突かれたのだ。私の意思じゃない」
「まったく。あれ? ミカゲは?」
「途中で囮になってくれてそのままだ。ディアナは会っていないのか?」
「ええ。誰が捕まえたのかしら?」
「さあな。さて。私達も皆の下へ戻るか」
「これどんなご褒美があるの?」
「エリクが何でも一つ言う事聞いてくれるの」
「え!? 良いの!?」
「なんだそれは? 私は聞いてないぞ?」
別に良いけどさ。
「ズルい」
「ちゅるい!」
「おい。あまりそういう事を言うでない。シュテルが真似するだろうが」
「おい~!」
「エリクもよ。あんまりいい気分はしないわ」
「「はい。ごめんなさい」」
気をつけよう。
「ア! ハニー! 戻ッテ来タデェスネ~!」
「すみません。主」
「ああ。ミカゲはロロに捕まったのか。なに気にするな。むしろよくやってくれた。後でミカゲの頼みも何か聞いてやろう」
「エリク」
「わかった。わかった。ユーシャもな。もちろんディアナのもだ。鬼チームの勝利だ。全員の頼みを聞くともさ」
「「「「!?」」」」
なにその反応?
「……で……とかも?」
「……わね。けど……はダメよ」
「ソンナァ!?」
何で内緒話してるの?
「メアリ。夕食を食べに出るぞ。メアリも同行しろ」
「はい。エリク様」
「これで全員か? うん? シルヴィーはどうした?」
「居残りよ。まだ学校なの」
「なんだ? 成績が悪いのか?」
あの娘、優等生だと思ってたんだけど。魔術以外に遅れている科目があるのだろうか。一月もの休学に巻き込んだのはマズかっただろうか。
「違うわ。魔導の実演よ。先生方に頼まれたの」
「それは……良いのか?」
教えたところで人間には扱えんだろうに。
「今のところはね。見せてるだけだから」
「魂の呪の件は?」
「一応伏せてるけど」
「気を遣ってくれてます? 気にしなくて大丈夫ですよ?」
「だそうだが?」
「どのみち一度話し合いましょう。魔導を広める方法も確立したいし、何かその為の活動も始めたいと思っていたの」
「研究チームを組んで具体的な計画を立てるという事だな」
「そうよ。エリクにはもちろん加わってもらうわ」
「うむ。任せよ」
私も少しは仕事をせねばな。今は自己研鑽とディアナの勉強を見る以外にやることも無いし。近い内に冒険者でも始めてみよう。それに学園に赴いて魔導を披露してもいい。彼らには世話になったからな。城の方はどうしようか。王宮魔術師達には特に借りも無いが、逆に貸しを作っておくのも良いやもしれん。そっちもパティと相談してみよう。
「ああ、そうだ。明日は空けておいておくれ。ディアナを連れてギルドに行きたい。登録だけでも済ませておこう」
「良いわよ。ロロ先輩も行くのよね?」
「是非ご一緒シマァ~ス!」
「パティとも話していたのか?」
今朝思いつきで話していたのではなかったのか?
「前に副業しても良いかって聞かれたのよ」
なるほど。元々その腹づもりだったわけか。そんなにお金必要なの? 何か困ってる? これって聞いても良い事なのだろうか? 追々様子をみて探ってみよう。何か助けになれる事もあるかもだし。
私はロロの所有者で、ロロは私の眷属だからな。ちゃんとそういう事にも気を回していかないとな。
「そうだ。ミカゲ。悪いがスノウと留守番だ。任されてくれるか?」
「はい。主。いってらっしゃいませ」
「いってらっしゃい。エリクさん」
うむ。また土産でも買ってこよう。
これで同行者は、ユーシャ、シュテル、ディアナ、パティ、レティ、ロロ、メアリの七人か。シルビアはどうしよう? 待つか? いっそ迎えに行くか?
「シルヴィーの事は気にしなくて大丈夫よ。今度私が連れて行くわ」
「その時は私も同行しよう」
「ありがと♪」
こちらこそ。




