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03-14.デートらしさ

「もっと食わぬのか? 遠慮する事は無いぞ?」


「もう十分よ。エリク。とても美味しかったわ」


 そうだな。ここのケーキは絶品だ。ベルトランが勧めてくれただけのことはある。帰りにユーシャ達への土産の分もテイクアウトしていこう。



「本当に良いのか? パティは山程平らげておったぞ?」


 ディアナは三つで満足だと言う。パティは軽くその十倍は食べておったぞ。



「ふふ♪ 無茶言わないで♪」


 突然健康体になったからと言って、食べる量を急激に増やせるわけでもないのか。パティは人並み外れた健啖家だからな。最初からあれと同等は難しかろう。なんとなくディアナならすぐに追いつきそうな気もするが。



「ハニー達はユーシャとパティの事バッカリデス。全然デートッポクナイデ~ス」


「良いのだ。私達はこれで」


 さっき自分でも同じ事思ったけど。でもまあ、何よりディアナが楽しんでるからね。良いよね。別に。



「そうだわ♪ 逆に教えてくれるかしら? ロロはどんなデートがしたいの? 勿論レティお姉様のも聞かせて♪ それで良い案があったらこの後皆で行ってみてはどうかしら?」


「良イデスネ♪ ソノ提案乗リマ~ス♪」


 別に良いがな。どうせ私のプランなんぞ大したものでもないのだし。



「エリクちゃん」


「大丈夫だ。ありがとうなレティ。気遣ってくれて」


「……はい」


 そんな顔をするでない。本当に大丈夫だ。別に落ち込んでなんぞおらん。楽しむ事が一番だ。それにユーシャ達とのデートもあるからな。今回全ての手札を使い切ってしまうのもそれはそれで困るのだ。こうして皆の意見も取り入れられるのはむしろ好都合というものだ。



「レティ」


「……はい♪」


 よかった。なんとなくは伝わったようだ。



「ナンダカ良イ雰囲気デェ~スネ~」


「レティお姉様なら私は構わないわ。後はユーシャだけね」


「一応聞イテオキマ~スガ~私は?」


「頑張って♪」


「オ~。好感度足リマセンカ~」


「もっとレティを見習え」


「ハードル高スギマ~ス。レティ先輩と言エバ~」


「ロロちゃん。お口チャックですよ~」


「ア、ハイ。何モ言イマセ~ン」


 なんで?



「それよりデートのプランを話し合うのでは?」


「ソウデシタ~♪ 私が提案スルノは~! ズバリ! 魔物狩リデェ~ス!」


「なんだ? やはり冒険者にでもなりたいのか?」


「良いわね! それ良いじゃない! 是非行きたいわ!」


 えぇ……ディアナってそっちの方が好きだったのぉ……?



「と言うか、それのどこが普通のデートなのだ? さっきはデートっぽくないなんて文句言っておらんかったか?」


「狩リは立派なデートデス! 我が国では一般的デェス!」


「そうなのか?」


「さあ? お姉ちゃんもそこまでは」


「ナンデ!? レティ先輩に聞クデスカァ!?」


「いや。つい。そもそも今から行くのか? 冒険者登録も時間がかかるだろう。下手をするとそれだけで今日は日が暮れてしまうぞ」


「構わないわ! 行きましょう!」


「待て待て。落ち着け。ディアナ。

 その格好で行くつもりか? 折角のおしゃれだぞ?」


「……そうね。少し冷静じゃなかったわ」


 よかった。思い留まってくれた。このまま冒険者ギルドに乗り込むと言い張ったらどうしようかと思った。今の私達の格好では冷やかしとしか思われんだろう。それにユーシャとシュテルも未だについてきているのだ。出来ればあまり治安の良くないところには行きたくない。こんな美少女集団が乗り込んだら目をつけられるのは間違いないのだ。



「一旦帰りましょう。パティとジュリちゃんが作ってくれた冒険者向けの装備があるわ。あれを着て出直しましょう」


 全然冷静になってなかった。まだ行く気満々だった。



「ダメだ。どうしてもと言うなら明日にしよう。明日ならパティとシルヴィーも学園は休みだ。場馴れしているパティに付き添ってもらうべきだ。それに装備の方も多少のサイズ調整が必要だろう。ディアナの変化が大きすぎたからな。ゆったりめの服ならともかく、その手の装備は入らないだろう」


「そう……よね……」


 そんなに冒険者なりたかったの?


 ああ。そうか。思いっきり身体を動かしてみたいのか。折角出歩けるようになったのに、私とした事がショッピングやら甘味処やらに連れてきてしまった。それではディアナの期待していたものと違うというのも当然の話しだ。ロロはそれに気付いていたのか。レティがロロを止めなかったのもそれが理由か。これは私の方が空気を読めておらんかったな。



「すまん。気が利かなかった。冒険者は難しいが、どこか身体を動かせるところに行こう。或いは王都中を練り歩いたって構わない。ロロとレティは何か良い場所を知らんか?」


「でしたらアイススケートなんかは如何でしょう? そろそろリンクも出来ていると思いますよ」


「いいな。デートの定番じゃないか。よし。早速行ってみよう」


「待ッテクダサイハ~ニ~。ハニーも落チ着イテクダサイ。イキナリスケートは難シデス。レティ先輩ミタ~イナ、パーフェクツ超人と一緒にシテはダメデェ~ス」


 それもそうか。私も実際にやった事は無いしな。



「先ズは身体動カス事に慣レルのが先決デェ~ス」


「具体的には?」


「屋敷の庭で鬼ゴッコシ~マショウ♪」


「そんなんで良いのか?」


「ええ♪ 楽しそう♪」


「わかった。ディアナがそう言うなら否はない。一旦帰ろうか。それで夕食はまた外に食べに行こう。今度はユーシャやパティ達も誘ってな」


「ふふ♪ 良いわね♪ とっても楽しそう♪」


 庭で遊ぶだけなら何時でも出来るだろうにとは思うが、ディアナもすっかりその気みたいだ。ならゆっくり回るデートはまた次の機会に取っておこう。これから何度でもその機会は訪れるのだ。今は今したい事を優先すれば良い。焦る必要はない。私達は私達のペースで進んでいこう。

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