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03-12.ショッピング

 デートは順調に進行していった。どうやらロロもレティも王都に詳しいようだ。私の目指している場所もすぐに見つけ出してくれた。



「ハニーのプランは無難スギマ~スネ~」


「良いだろ別に。私達にとっては初めての散策なのだ。言わば観光地を訪れているようなものなのだ。セオリー通りで何が悪いと言うのだ」


「悪クはアリマセ~ンガ~」


「ロロちゃん。こっちに来てください」


 レティがロロを連れて離れていった。釘を刺してくれるつもりだろうか。レティは頼りになるなぁ。



「エリク。ユーシャにはこれなんてどうかしら?」


「髪飾りか? ユーシャは付けんぞ?

 どうせ面倒くさがるからな」


 たまに興味は持つのだがな。結局続かんのだ。あとよく失くすし。



「違うわ。本当に気に入ったら使い続けてくれる筈よ」


「いいや。私の方がユーシャには詳しいのだ。間違いない」


「一番のお気に入りは肌見放さず持っているじゃない」


「私の本体は装飾品などではあるまい」


「似たようなものよ」


 扱いはそうかもだけどさ。



「ならこっちはどう?

 あの瓶に付けても似合うんじゃないかしら?」


「それこそ無意味だろ」


 そもそも今は袋にしまわれちゃってるし。



「ならエリクとお揃いにしましょう。それならきっと付けてくれるわ♪」


「先程からユーシャのばかりだな。自分のは選ばんで良いのか?」


「私はパティとお揃いにするわ。今は早くエリクとユーシャに仲直りしてほしいのよ」


 今回は私とディアナのデートだろうに。

と言うか、やっぱり気になっているんじゃないか。



「シュテルも欲しがるな」


「それはそれで用意しましょうか」


「装飾品だらけになってしまうぞ?」


「そんなに派手なものにはしないわ。けれど指輪以外にもお互いの繋がりを示す何かを持つのも良いと思うの」


「ディアナはそういうのが好きだな」


「エリクは嫌いなの?」


「気恥ずかしいだけだ」


「ふふ♪ 付き合って♪」


「ならばこれだ。私とディアナはこれにしよう」


 折角のデートだからな。やはり私達の分も選ぶべきだ。



「即決ね。イヤリング? 月をイメージしたものかしら?」


「ディアナによく似合うだろう。それにユーシャに内緒で会いに行った晩もこんな月だった」


「違うわ。あの日は三日月じゃないわ。もっと明るい夜だったじゃない」


「そういう事にしておけ」


「なんでそんな嘘つくの? エリクが忘れている筈はないわよね?」


「聞くな」


「酷いわ。ちゃんと言ってくれないのね」


「そういうのは家でやるもんだ。出先でイチャイチャしすぎるのは控えるべきだ」


「これはデートよ? 少しくらい良いじゃない」


「……ディアナは月のように美しい。君の象徴はこれ以外に考えられない」


「ぷっ」


「おいこら」


「ふふ♪ ごめんなさい♪」


「やっぱり無しだ。他のにしよう」


「ダメよ♪ これに決めたわ♪」


「まったく」


 ご機嫌なディアナは、結局そのまま私とユーシャの分も選び始めた。取り敢えず私に似合いそうなものを基準に選ぶようだ。次々と私の額に添えて、ああでもない、こうでもないと楽しそうに悩み続けている。



「む? レティとロロが見当たらんぞ?」


「本当ね。どうしちゃったのかしら」


 一応護衛の筈だろうに。無断で離れるとはよっぽどの緊急事態でもあったのだろうか。


 取り敢えず繋いでみよう。二人とも私の眷属だ。すぐに居場所はわかるだろう。



 レティの視界を覗いて見えたのは、店の外の光景だった。どうやら近くにはいるらしい。少し視線が低い気がする。これは隠れているのか?



「おい。何をしている」


「シー! 静かにです! エリクちゃん!」


 なんだ? 何を見て……うん? は? え?



「何故ユーシャとシュテルがここに?

 と言うかお前達は何故黙って隠れているんだ?」


 報告が必要だろうが。何故私達に言わんのだ。



「ディアナ。すまんが少し待っていておくれ」


 レティとロロの怪しい行動を問い詰めるのは後だ。それより先ずは二人に合流せねば。



「待ってください! エリクちゃん!」


「なんだレティ。何故止める?」


「大丈夫です。向こうにはメアリがついています。それによく見てください。ユーシャもシュテルも隠れています。二人はこっそりついて来ているんです。気付かないフリをしてあげてください」


 なるほど。それで隠れて見守っていたのか。



「別に合流すればよかろう」


 勿論ユーシャさえ良ければだけど。

やはり問題はそこなのか?



「ここは我慢です。エリクちゃん。あの子達も気を遣っているんですから」


 私達に告げなかった理由はそれか。



「エリク。そっとしておいてあげましょう。ユーシャとシュテルもきっと親睦を深めている最中なのよ。私達がその役に立てるならいくらでも見せてあげましょう。むしろ率先してお手本を示しちゃいましょう」


「ディアナは良くともユーシャは本当に大丈夫なのか?」


「大丈夫よ。ここまで来ちゃったくらいだもの。それに我慢できなくなったら帰るわよ。ユーシャはそれくらい自分で判断出来る子よ」


「むぅ……」

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