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03-11.服装TPO

「本当についてくるつもりか?」


「安心してください。影から見守っていますから」


「せめて服装はどうにかならんのか?

 お前達は町中を歩くには目立ちすぎるぞ」


 露出が激しすぎるのだ。なんだビキニって。もう冬だぞ?


 それに魔女コスだって目立つのだ。こちらもやたらと胸元が開いてるし。パティの趣味だとか言っていたが、だからと言ってずっとそんな服装でいる必要もあるまいに。もっとタートルネックセーターとか着たらどうだ? 私はそういう落ち着いたお姉ちゃんの方が好きだぞ?



「つまりお姉ちゃんにもメイド服を着せたいと?

 ふふ♪ エリクちゃんも好きですね♪」


「ああ。うむ。もうそれで良いから頼むぞ」


 何故私とディアナについてくるのがレティとロロなのだ。いやまあ、やむにやまれぬ事情はあるのだけども。



 先ずスノウは外出させられない。少なくともベルトランが裏ギルドの件を調べ終えるまでは屋敷から出さない方針だ。こればかりは仕方がない。


 そしてスノウが残るというなら必然ミカゲも留守番組だ。ミカゲはスノウの世話係だからな。私がそう命じたのだ。実態としてはまるっきり逆になっている気もするが。まあともかくあの二人はセット運用だ。


 二人にはユーシャのサポートをしてもらう。シュテルとユーシャが仲良くやれるよう、見守っていてもらわねばならんのだ。メアリもいるから心配は要らんとも思うがな。朝の様子も随分と良好なものだったし。



 でまあ、そうなると余ったロロが私の護衛に着くと言い出すのも無理からぬ事なのだ。レティは別にメイドというわけでもないけれど、私個人の所有物扱いな事に変わりはない。二人が私の為にと言うなら邪険にする事も難しい。パティからも任されていたしな。ついて来る事だけは認めてやろう。



「オ~……ハニーはお気に召シマセンカァ……」


「ロロも普段からメイド服を着てくれ。これは業務命令だ」


「ムゥ~」


「ロロのこの家での立場はメイドだ。自分でもそう納得しているのだろう?」


「考エ直シテモ良イデスカ~?」


 そんなにビキニで過ごしたいの?

なにか譲れない拘りでもあるの?



「ダメだ。逃がしはせん」


「安心シテクダサ~イ♪ 逃ゲはシマセ~ン♪

 アルバイト探シマ~ス♪」


「アルバイト? 冒険者にでもなるのか?」


「ソレも良イデスネ~♪」


 と言うか他になかろうに。服装規定が厳密に定められているとは限らんが、冬だと言うのにビキニとホットパンツで職を求めてやってきた露出女なんぞ、敬遠されるか望まぬ仕事を斡旋されるかの二択だろう。少なくとも常識が無いと判断されるのは間違いない。



「わかった。もうそのままで構わん。

 だから余計な事は考えるな。私の側にいろ」


「オ~♪ 熱烈デスネ~♪ ヤッパリお好キデ~スカ~?」


「やめろ。抱きつくな。私はこれからデートなのだ。

 少しは空気を読め。状況を考えろ」


「後デデ~スネ~♪」


「ロロの番は当分先だ。ユーシャに許されてからだ」


「難問デェ~ス」


 レティはだいぶ懐かれているんだけどなぁ。


 いやまあ、ロロに対してはやたらと雑だから、あれはあれで気を許しているとも言えるのかもだけど。



「エリク? 準備はまだ終わらないの?」


 あかん。待たせすぎてしまった。別室で着替えていたディアナが迎えに来たようだ。



「開けるわよ?」


「ああ。うむ」


 扉が開き、余所行きの綺麗な服に身を包んだディアナが現れた。



「良いな。うむ。似合っているぞ」


「ふふ♪ ありがとう♪ エリクこそ最高よ♪

 今日はエスコートしてくれるのね♪」


「まあな。そのつもりだとも」


 今日の私の服装は何時ものゴスロリやメイド服ではない。少しだけ男性っぽい装いだ。そして何故か黒尽くめだ。選んだのはパティだ。あの子は私には黒が似合うと思っているらしい。



「それじゃあ出ようか。レティとロロの事は気にするな。後からこっそり付いてくるそうだ。他人のフリをしておこう」


「もう。酷いわ。エリクったら。お姉様達とも一緒に行きましょう。護衛くらい付いていても不自然ではないものよ」


 まあそれもそうか。何せディアナは公爵令嬢なのだ。単独で町中歩いている方が不自然なのだ。



「ところでレティの顔は知られておらんのか? 王女にメイド服着せて連れ回したら後々問題になったりはせんのか?」


「心配要りません。お姉ちゃんは公務なんてやった事もありませんから」


 それはそれでどうなの?



「ロロは……いえ、行きましょうか」


 ディアナは諸々察してくれたようだ。レティだけがメイド服に着替えてくれているのを見て、私が何に苦慮していたのか気付いたのだろう。



「お手を」


「ふふ♪ ありがと♪」


 ディアナの手を握って歩き出す。ユーシャへの挨拶はやめておこう。今は刺激しかねんからな。夜まで待つと約束したのだ。あの言葉を信じるとしよう。



「今日はどこに連れて行ってくれるのかしら?」


「到着してからのお楽しみだ。

 王都だけあってこの地には中々見所もあるようだぞ」


「もしかしてエリクも見たことは無いの?」


「そういう事は聞くもんじゃない」


「あら♪ ごめんなさい♪」


 図星だがな。実際ベルトランに聞いただけだし。



「フォローは任セテクダサ~イ♪」


「ダメですよ。ロロちゃん。邪魔をしては」


「大丈夫よ。レティお姉様。折角なら皆で楽しみましょう」


「そうですか。ディアナちゃんがそう言うなら。

 お姉ちゃんも遠慮はしません」


「ええ♪」


 ならユーシャ達も連れて……いえ、なんでもないです。



「エリク。こっちよ」


 いかん。無意識の内に視線がユーシャのいる部屋の方向に吸い寄せられていた。私がエスコートする筈が逆にディアナに手を引かれてしまった。



「大丈夫。信じてあげて。エリク」


「うむ。勿論だとも」


 行ってくるぞ。ユーシャ。シュテル。

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