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03-03.知りたい事

「それで? 何から知りたいんだ?」


「取り敢えずデートプランだな」


 他にも聞きたい事は沢山あるのだがな。シルビアの事とか。でも先ずは明日の事だ。何よりそれが重要だ。



「は?」


「一般的な女性が喜ぶ場所を教えろ。明日恋人と逢引するのだ。しかし生憎とこの地には詳しくなくてな」


「えぇ……それ俺に聞くのかよ……」


「お前以外に聞ける相手などおらんのだ」


「いやけどよぉ……。先ずはそのデリカシーの無さをどうにかするべきだと思うぜ?」


「小さい男だな。そんなんだからモテぬのだ」


「何言ってやがる! モテるぞ! モテモテだぞ! 俺は!

 後で惜しんでも知らねえからな!」


「そうかそうか。それは惜しい事をしたな。それで? モテモテ騎士団長殿はどんなデートをするのかね? 参考までに教えてくれたまえ。なんなら私に対するプレゼンという体でも良いぞ。それならお前もやる気が出るだろう」


「なんて冷徹な女だ! 慈悲もねえ!」


「生憎人間ではないのでな。

 人間の男の機微なんぞ知らんのだ」


「そんなもんわかるだろ!

 なんかこう! フィーリングで!」


「見苦しいぞ。ベルトラン」


「そうだそうだ。言ってやれニコライ」


「……」


 え? 終わり?



「仕方ねえなぁ……。

 デート、デートなぁ。

 最近の若いのはどこ行くんだろうなぁ」


 そういえばこやつら幾つなのだ? ニコライが最初の印象よりずっと若いのは間違いない。陛下も病が癒えたからか、だいぶ若返った印象を受ける。なんなら今となっては第一王子が一番老けて見えるくらいだ。勿論見た目だけだが。


 そしてベルトランも大柄で迫力があるだけで特段老けているわけじゃない。ニコライもベルトランも精々二十代後半くらいではなかろうか。確かに私達とは一回り違うな。このロリコンめ。



「無難に甘味処でどうだ?」


 本当に無難なやつが出てきた。



「詳しいのか?」


「まあ多少はな。

 あの酒場ともそう離れてねえぞ。

 エリクでもわかるはずだ」


 ふむふむ。それは助かるな。



「なんなら連れて行ってやろうか?」


「折角だが遠慮しておこう」


「ちぇ~。ツレねえなぁ~」


「しつこいぞ。いい加減」


「扱いがどんどん雑になってやがる」


「悪いな。また今度相手してやるさ。

 お互い酒が解禁されたらな」


「なんだ。エリクも禁止されてんのか」


「たっぷり絞られたよ。朝帰りになったせいでな」


「俺もだ」


「おい。まさかお前かみさんがいたのか?」


「ちげえよ。妹だよ」


「妹だと? お前にか?」


「なんだよ! その反応!

 妹くらいいるだろ! 誰でも!」


 誰でもはいないよ?



「どんな妹なのだ?」


「まさか狙ってるのか?

 節操ねえな。大将も」


「んなわけあるか。ただの興味本位だ」


「可愛い妹だぞ。小さくてな。

 けど態度だけはデっけえんだ。誰よりも」


 微笑ましげに言うのがちょっとキモい。理不尽だけど。

こやつさてはシスコンだな? この国シスコンだらけだな?



「昔はもう一人いたんだがな……」


 唐突にぶっこんできたな……。

これは聞かない方がいいやつだよね……。



「やはり気付いていなかったのか。ベルトラン」


 こっちもこっちで突然どうした。ニコライ。



「フラビアならこの場にいるぞ」


「「はぁあ!?」」


「この場にいるってどういう事だ!?」


「おい待て!

 何故ニコライがフラビアの名を知っている!?」


「エリク!? お前も知っていたのか!?

 どういう事だ!? 言え! フラビアはどこだ!?」


 ベルトランが私に掴みかかるような勢いで迫ってきた。



「落ち着け。ベルトラン」


 ニコライがベルトランの肩を掴んで引き止める。



「あ! わりぃ……」


「いや、それよりもだ。

 どういう事だ。説明しろ」


「それはこっちのセリフだぜ?」


「メイドに混ざっておったろう」


 あかん。一旦落ち着こう。

私も少し動揺しすぎていた。

このままじゃ話しが進まん。



「ベルトラン。フラビアと会わせるのは構わんのだが、先に伝えておくことがある。落ち着いて聞いてくれ」


「お、おう。わかった。言ってくれ」


「……フラビアは記憶を失っている」


「「……」」


「今はスノウだ。そして私の奴隷だ」


「なんだと?」


「これは仕方がなかったのだ。フラビアは裏ギルドに属していた。あの子は罪を犯した。それに正体を勘付かれるわけにはいかなかった。元は第三王子が派遣した刺客だったのだ」


「……いったい何があったってんだよ」


「それは私にもわからん。何せ本人すら忘れているからな。それでもよければ引き合わせよう。お前と会わせる事であの子の記憶も取り戻せるかもしれん」


「……頼む」

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