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転生したら万能回復薬でした!?  作者: こみやし
02.王都編・お引越し騒動
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02-31.望みの褒美

「お風呂入りたい」


 ああ。うむ。そう来たか……。


 どうしたものか。出来る限りスノウの要望は聞いてやりたいのだが。しかし今はこの場を離れられんのだよなぁ。とは言え私から聞いた事でもあるのだし。それに一日頑張ったスノウを労ってやりたくもある。



「悪いが一人で行ってはくれぬか?

 私も意識は繋いでやるから」


「エリクさんが洗ってくれる?」


 なにそのプレイ。

私がスノウの体操って洗うの?

別に良いけどさ。それくらい。



「うむ」


「主」


「ダメだ。ミカゲは私と共にここに残れ。そんな目で見られても一緒に連れてはいけん。私は見張りとスノウの風呂にだいぶ意識を割かれる事になる。ここの見張りが疎かになっては困るのだ。ここで私の目を補ってくれ」


 既にミカゲの勤務時間は過ぎているがな。

すまんが今日はもう少しだけ残業しておくれ。

スノウの風呂が済んだら今度こそ寝ていいから。



「……ならば私の膝に」


 ミカゲもだいぶ私の魔力にやられているようだな。

なんかその前から従順だった気もするけど。



「スノウ。良いか?」


「うん。どうぞ」


 スノウは私の体を抱き上げて、ミカゲの膝に横座りになるよう降ろした。ミカゲは小柄だからな。スノウのように後ろから抱きしめるのも少々辛かろう。まあ仕方ないな。うん。



「ふふ♪」


 私を抱きしめてご満悦のミカゲ。

そのまま嬉しそうに私の頭を撫で始めた。



「気を抜きすぎるなよ」


「はい♪ 主♪」


 ウッキウキだなぁ。

やっぱこれも依存症のせいだよなぁ。

ミカゲはまだ眷属化してないんだけどなぁ。

けどミカゲはそういうのに人一倍弱いからなぁ。



 いっそ完全に眷属化してしまおうか。

私の手足が増えれば便利ではある。


 けれど既にスノウとレティが何時でも使えるのだ。

これ以上増やしたって私の制御が追いつかない。


 唯でさえ学園組ユーシャとも常に繋いでおく必要があるのだ。

それに蜘蛛達の監視網もだ。残念ながら私の意識は単一だ。

マルチタスクにも限りがある。


 やはりミカゲは時期尚早か。

レティに先を越されてしまったのは気の毒だが。

こればかりは仕方あるまい。


 それにミカゲにも重大な役割はあるのだ。

眷属化していない従順な実験台と言うのは貴重な存在だ。

手放すには惜しい逸材なのだ。



 せめて少しでも優しくしてやろう。

別に無理して眷属化なんぞしなくても良いのだ。

どうせミカゲは私かスノウの側にはいるんだし。



「あるじ~♪」


 少しミカゲに体を押し付けるようにしてすり寄ってみると、ミカゲからも嬉しそうに頬ずりをしてきた。なんだかペットにでもなった気分だ。案外ミカゲの認識もそんな感じだったりして。もしかしたら恋や愛に繋がっているわけでもないのかもしれない。魔力の影響で根付いた好意が強すぎるだけで。わからんけど。




----------------------




「何か良い事でもありましたか?」


「まあな」


「ズルいです。お姉ちゃんとも良い事してほしいです」


「なんだそれは。

 別に妙な事なんぞしとらんぞ」


 ちょっとミカゲに抱きしめられながら、スノウを風呂に入れてるだけだ。うん。妙な事はしてないね。してないったらしてない。



「ほんとですかぁ~?」


「しつこい」


「ぶ~お姉ちゃんに冷たいです~」


「それより見張りに集中しろ。

 私は忙しいのだ。見落とすかもしれん」


「いっそ屋根の上に上がります?」


「ああ。そうかその手があったな。

 レティは飛行魔術が使えるんだものな」


「はい♪ お任せ下さい♪」


 躊躇もせずにぬるっと器用に窓から飛び出し、そのまま屋根の上に飛んでから、その場に腰を下ろすレティ。



「そう言えば私にも出来たのか。

 魔力壁で階段作れば良いだけだものな」


「ふふ♪ これでまた一つ手札が増えましたね♪」


「うむ」


 こんな簡単な事も見落としていたとは。結構ショックだ。


 まあ、今までは上がる必要が無かっただけとも言えるが。

今後も別に真っ昼間に上に上がる事は無いだろうし。

あの部屋の窓からでも十分に入口は見えるからな。


 とは言え、当然敵は後ろからでもやってくるのだから、いっそ開き直ってずっと屋敷の上に陣取るって手も無くもないけども。流石にスノウの負担が大きすぎるか。遮るものもなく陽の光に晒され続ける事になるんだし。



「色付きの魔力壁も作りたいな」


 直射日光を遮ったり、カモフラージュしたり、色々用途はあるはずだ。



「それも練習あるのみですね♪」


「よし。ならばレティに技術開発局長の地位を与えよう。

 私の代わりにいっぱい練習して身に付けておくれ。

 それから私にも教えておくれ」


「いやです♪」


「おい」


「名前が可愛くありません」


 ああ、そっち。

可愛いの好きね。レティって。



「名前は何でもいい。

 とにかくレティは私の成長を助けてくれ。

 なんなら好きにプロデュースしてくれて構わない」


「ほんとですかぁ♪

 やっちゃいますよ♪

 やる気出てきましたよ♪

 お姉ちゃんに任せて下さい♪」


「言うほどやる気ない事なんてあったか?

 レティは随分と働き者ではないか。

 聞いた話とはだいぶ違うぞ?」


「お姉ちゃんがやる気を出すのはパティとエリクちゃんの為だけです♪ それ以外は興味ありません♪」


 なるほど。それで。

と言うか自覚あるんかい……。



「私も妹に加えてもらえたわけだな」


「そうですよ♪

 だぁ~い好きな妹の為なら、なぁ~んでもしちゃいます♪

 あんな事だってぇ~♪ こんな事だってぇ~♪ きゃ♪」


「そっちは要らんぞ。間に合ってる。

 私には既に三人も恋人がいるのだ」


「いけずですぅ~! お姉ちゃんも加えて下さい~!」


「ダメだ。諦めろ。

 ユーシャが認めん限りはありえんのだ」


「あは♪

 つまりユーシャちゃんを落とせば良いってわけですね♪」


「妙なことはするなよ。

 機嫌を損ねるようなら、二度と近づく事は認めんからな」


「まっかせてくださ~い♪」


 なんだかなぁ。不安だなぁ。

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