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九戸さんの長い一日  作者: うずら


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2/13

二日目 動き出した調査団

昨日は対策本部が用意してくれたホテルに泊まった。

今日中にウィークリーを用意してくれるらしい。

調査ついでに自宅から私物を運び出すことにしよう。


早速仕事の開始だ。まずは本部へと向かう。と言っても、団員が車で迎えに来てくれた。

というか和真くんだ。私のせいで格下げされたわけだが、さして気にしていない様子。むしろ・・・。


「九戸さんが隊長になってくれて助かりましたよ。俺じゃ何して良いか解りませんでしたからね。」


だって。

いやいや、こんな状況じゃ誰も解らないでしょ?と突っ込む。

私だって、あの[壁]の中で活動できるって理由だけで隊長に(半ば強制で)なったんだから。


彼は某大学教授の助手。聞けば私より年下の24歳。今回の事で急遽隊長に任命されたそうだ。そんな話を交わしているうちに本部に着く。

中に入り昨日解ったことの確認と今後の活動予定を話し合う。


昨日解った事

外からの様子

壁の外からは見ることはできるが入ることは私以外出来ない。壁の外からも中の物が止まっていることは確認できる。私が壁の外に出たとき突然現れたように見えた。

中の様子

あらゆる物が止まっている、人も、動物も、機械も。そんな中で動けたのは私だけ。壁の中からは外の様子は動いて見えた。


今後の予定

1.壁の範囲の確認。

これに関しては現在自衛隊が手を尽くして調査中との事。

2.内部の状況確認。

これは私にしかできない。私しか壁の向こう側に行けないから。因みに向こうに入れることは確認済み。

3.原因の究明と解決。

これは・・・やって見ないと解らない。やるしかないんだろうけど。


そして禁則事項が決められた。

1.壁内の消費財の使用。

これは時間停止を仮定した話、再び時間が動き出した場合「さっきまで有ったものが無い」といった現象(ある種のタイムパラドックス)を防ぐため。

2.壁内の人物への接触。

これは私の猫への接触の件で導き出した答え。私が他人に触れればその人は動くだろう。今回のことは隠密裏に済ませたい。その先は言わなくても・・・。


という訳だ。


「でも、壁の存在は既に全国ニュースになってますよ。それはどうするんですか?」


今のところ「現在調査中」とだけ発表されているのだが。今朝もマスコミが昨日私が見た、真っ二つの車の所で中継しているのをテレビで見ている。

問う私に市長は、


「調査結果次第・・・としか言えませんね、今はまだ」


と。

でしょうね。とにかく調べるしかないか。


会議が終わり、私は支給された車で現場へと向かった、と言っても対策本部があるビルの前にも壁があるのでそこから中に入る。

ここで早速実験。そう、私の乗る車は中に入れるのだろうか?と。

答えはすぐに出た、恐る恐る進んだのだが、少しの放電現象を伴ってすんなり入ることが出来た。


後から聞いた話だが、私の乗る車は見えない壁に吸い込まれるように消えたとの事だった。

早速、私はもう一つの実験を始める。と、言っても簡単な事。中で無線機の類は使えるのか?

答えはすぐに出た、使えない。スマホはもちろん、自衛隊から借りた無線機も使えなかった。折角使い方覚えたのに。


次の実験。記録機器、ビデオやICレコーダーの類は使えるのか?これは上手くいった。但し私が手に持っていないと止まってしまう、止まっている間のことは記録されていなかった。

ビデオを例にすると、手持ちで撮影した5分の映像は記録されていた。だが、三脚で撮った5分は録画開始の瞬間と、録画停止の瞬間しか記録されていなかった。間の映像はまるで編集でカットしたように抜け落ちていた。私がビデオカメラに触れた瞬間だけ動いていた訳だ。


一通りの実験を済ませ私は車を走らせる。そして人や車の集まる場所で撮影を開始する。そして気付く。

壁内へ侵入してからかなりの時間が経っているはずなのに、目に見える太陽の位置ではあり得ない方向へと延びる影。少し思案する。そして出た答え。

光も止まっているのかしら?。そう言えば私の部屋の時計は、午前8時ちょうどで止まっていた。壁の中は今も2020年7月20日午前8時という事だろうか?


その私の時計を含む私物を回収に行くことにした。もちろん、市長の許可は得ている。その時少し驚くことが起こった。

私が目覚ましを手にしたとき、その表示がまるでビデオの早送りのように一気に進み、本来の時間を示したのだ。


「壊れてたわけじゃなかったのね、てかやっぱり時間が止まってるのかしら?で、私には影響がない、私が触れたものも影響下から抜ける・・・と。ほんと、どうなってんだろ?」


そんなことを思いながら必要最低限の私物を回収し、車に積み込む。そして本部へと帰還した。

報告を済ませると市長から鍵と住所を書いたメモを渡される。


「新居の鍵だよ。今日からそこへ行くと良いよ」

「ありがとうございます、ところで……」


私の言葉にかぶせる様に市長が言う。


「まあまあ、慌てなさんな。貴女も昨日・今日と疲れているでしょう。今日のところは帰って休みなさい。詳しい話はまた明日にしましょう。」


そう言われて私はそのお言葉に甘えることにした。

新居に着き夕食を摂ってお風呂に入る。

やはり相当疲れていたのだろうか、その後すぐに寝てしまった。

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― 新着の感想 ―
「二日目」まで拝読いたしました。 謎が謎を呼ぶ状態で、この時間停止されている区画は一体何なのでしょうか。 寿美香さんは就職が決まってラッキーではありますが、危険を伴う調査になりそうで心配です。
どうも! Xの企画から来ました。 止まった時間の調査。 これは非常に面白いテーマですね。 寿美香が調査員として、どのように働くか。 先が楽しみなので、ブクマしておきますね!
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