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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
1stシナリオ~プロローグ~
17/63

予選終了。果たしてファイナリストは!?

 やっと投稿できました。


 次回もまた少し遅くなる予定です。

 朝食を作り終え、さあ、ログインしよう、としていたときの事だ。


「黒くんっ!!」

「なに?」

「炒飯ありがとう! ちゃんと腐らないように処理して永久保存するからね!」

「お食べください(瞬間的に)。」

「そういうと思って、持って来ました! じゃーん! ね、黒くん。お姉ちゃんに食べさせて? あーんして、あーん」

「お引き取りください(刹那的に)。」

「あぁん、そんなこと言わないで、食べさせてよぅ」

「諦めてください(重力にひかれて落ちる物に匹敵する速度で)。」

「黒くんの、い・け・ず♡」

「………い、いくら可愛く言ったって俺の心はう、動きません!(学生が机に向かう時のような速度で)。」

「じゃあこうしよう! お姉ちゃんが黒くんに食べさせてあげるよ!」

「さっき食べたんで結構です(光の速度で)。」 


 このままだと埒が明かないと判断。

 そして行動に移す。

 姉ちゃんの後ろに回りこみ、脇に手を入れる。

 そしてそのまま持ち上げ(姉ちゃんは小柄)、部屋の外まで運び、投げ出す。

 振り向かず部屋に帰り、鍵も閉める。

 振り向いたら、俺の心が折れる気がした。

 姉ちゃんは容姿だけは抜群にいいのだ。

 いや、容姿だけじゃなくて性格も良いし、家事全般もこなし、もはや出来ないことはない。

 しかし、家の中ではあんな感じなのだ。

 でも、ただブラコンってわけではなく、沙羅にもあんな感じだから、多分家族への依存が強いのではないか、とも思う(沙羅は断らないためたまに百合姉妹に見える……)。

 ただ、俺は不思議とこの距離間が好きだった。

 ……シスコン? 何とでも言うがいい。


「ねえ沙羅ちゃん、起きて? 起きないと、食べちゃうぞ?」

「ふぇえ? 駄目だよ、お姉ちゃん、くすぐったいよぅ……」


 姉ちゃんは、俺を諦めて、沙羅の元へ行ったようだ。

 俺は、姉ちゃんの会話を締め出すように、ゲームを開始。

 この百合姉妹め………! じゅるり。

 ……炒飯の匂いをかいでお腹が減っただけなんだからね!

 雑念を降り払うように、炒飯(姉ちゃんが置いていったもの)を腹に詰め込み、今度こそ、ゲーム機のスイッチを入れた。

       あ、雑念って言っちまった……!


          ☆☆☆


「お? お前らがアレか? 生き残りか? よし、なら話は早い、早速勝負しようぜ?」

「……まどろっこしいのは嫌いだ。……さっさと来い」

 

 森を抜けた俺とゴンドーを待ち受けていたのは、ビジュアル系っぽい感じの見た目の、片方は陽気、もう片方はどこか陰のある、男のアバター二人組だった。


「よーしよーし、他の参加者が弱すぎてつまらなかったんだけど、お前らはどうなのかなー?」


 明るく、楽しくて仕方が無いと言うように、陽気な声の、赤いメッシュが入った髪形の男。


「……他のプレイヤーは雑魚ばかり。……でも、君達は強そうだね……!」


 低く、しかし何故かよく通る美しいテノールの声の、また、楽しさが伝わってくる長身痩躯の男。


 とても、対称的な二人だ。

 しかし、いままで対峙したどのプレイヤーよりも強そ……俺の脳裏に、ゴンドーの斬撃、キリバの光弾、聖夜、リラの大剣捌きが浮かんでは消えていく。

 俺の周り、強いプレイヤーいすぎて感覚が麻痺しているっぽい。


「やー! やー! 我こそ――――」

「いや、ゴンドー、今は名乗りいらねーよ」

「む、そうか? ならば、まずは我から、いざ尋常に、参る!」

「ああ、サポートはまかせろ」


 ゴンドーが、まず右手に持つ大剣(バスタードソード)を振るう。

 斬撃の後を氷が駆け抜け、敵を二手に分けた。


「……困った。けいとと離れてしまった。……まあ、僕のほうが強いんだけどね…!」

「よし、敵を二手に割ったぞ、クロウ! そっちのプレイヤーは任せた!」

「OK! 任せろ!」


 敵はばらばらになった。

 正直、二人相手でもなんら問題は無かったのだが、まあ、戦いやすくなったからいいか。


「……さあ、おいで、僕は君の全力が見たい……!」


 背筋がゾワッとする感覚。

 同時に、その場から飛びのいた。

 この辺は、サバゲーで培った経験の賜物と言えよう。


「……チッ! 流石に、これぐらいじゃ死なないよね…!」


 寸前まで俺がいた場所に、無数の赤い棘が立ち上がっていた。

 揺らめく様を見るに、恐らく炎で出来た棘だろう。

 それが、5平方メートル位に広がっている。

当たったら相当痛いに違いない。

 

「……じゃあ、次だ…! 『焔の弾丸(ファイアバレット)』…!」


 手で鉄砲の形を作り、焔の弾丸を放ってくる。

 それに右手のひらを向け、主様の固有スキル、水弾を放ち、相殺。


「……水系魔法職…か…? 分が悪いな…」


 どうやら、敵は炎系魔法職らしい。多分、悪魔憑き。炎の魔法を使役する職。俺も死霊使いとどっちにするか迷った奴だ。

 ただ、残念な事に、俺は水系魔法職じゃない。死霊使いは……何系? 闇系? 日陰系?

 このぶんだと、もしかしたら余裕かもしれない。


「……残念だけど、こうするしかないよね…!」


 銃の形をした手の、銃口を、ゴンドーが作った氷の壁に向ける。


「……ショット…!」


 二十発くらいか。

 氷の壁が溶けてなくなり、そして穴が空いた。

 そのまま、敵は開いた穴に飛び込み、ご丁寧に、炎の壁を残していきやがった。

 まあ、水弾で消すけど。


 そして、俺も空いた穴から後を追う。


「……けいと、こいつ等、強いよ…?」

「大丈夫だ、フィリップ! 俺が居る。脱落したキオラのためにも、俺らは勝たなきゃならねぇ!」


 両方の敵の名前が発覚。

 陽気なほうが けいと、陰気な方がフィリップというらしい。あと、キオラってのはこいつらの仲間か?

 他に、けいとの攻撃方法も、ゴンドーとの情報交換で発覚。こいつは氷系魔法職。恐らく雪男、とのこと。いつからUMA(未確認生物)が仕事として選べる時代になったのかねぇ?


吹雪(ブリザード)!」

炎の風(ゲイルフレイム)!」


 火の粉と、吹雪が同時に襲い掛かってくる。二人でゴンドー一人と同じ手数か。

 悠長な事を考えているように見えるかもしれない。しかし、避けきれない…! どうやら、脳が現実逃避を選んだらしい。体が動かない。

 しかし。

 俺には、仲間がいる。心強い、仲間(ゴンドー)が。

 ふっと、右を見る。


「うわわわわっわわゎぁぁゎっわ!?」


 めっちゃテンパってますやーん。

 なーんでーやねーん。


「おいゴンドー! しっかりしてくれよ!」

「はわわわわわわあわわわっわ!!!」


 こりゃ無理そうか。

 ゴンドー超強そうだったのに。武器だけか?

 やむを得ず。

 主様固有のスキル、地震を発動させる。


「……………カッ!」


 衝撃波で、炎と吹雪の暴風雨をなぎ払う。


「……分かった…! さっきからその攻撃、ナイロック湖の主のものだね…?」

「ああ! そういやそうだ! どっかで見たことあると思ったんだよな! じゃあ、モンスターテイマーの、上級職か!?」

「……自分の体に取り込んでいるからね、多分そうだと思う…!」


 いやいや。

 そんな大層なものではございませんよ。

 こちとら、一般の死霊使い(ネクロマンサー)でして。

 まあ、それはさて置き。

 こいつらと遭遇する直前くらいに散らしたゾンビたちも、いい感じに敵の包囲を完了したようなので。

 俺も、霊剣(亡霊×3)を作成、装備。更に、それに『死霊使いに送るこれだけは知っておきたい魔法大全』を通して魔力を流す。

 たちまちの内に、霊剣は透き通るような外見から、逆棘の、禍々しいフォルムを持つ漆黒の片手剣に姿を変える。

 名前は、えーっと。憎悪の剣で。ほら、ここの棘とか見た目そんなんだし。

 ……名前のせいか、この剣が本当に憎悪を体現したように見えてきた。心なしか、瘴気が見える…。

 ふふふっ、格好良いじゃねぇか! カタカナのルビが欲しい! 英語だのフランス語だのでさっとそういうのを思いつける才能が欲しい!

 よし決めた! お前は今から憎悪の剣(カタストロフィソード)だ!

 もう、厨二病でいいや。


「……その剣は一体…!?」

「お前、やっぱりテイマーじゃねえな? 何の(ジョブ)だ!?」

「聞かれて答える奴がいるか! でも、俺は言いふらすぜ! いいか、お前らも、この中継見てる奴等も全員よく聞けよ!」


 少し間を空け、


「俺は、クロウ! 職は死霊使い! このゲームを二番目にクリアする男だ!」


 言った。

 後ろでゴンドーが、むう、自分は名乗りおってからに、と言っているが今は耳に入らない。あーあー聞ーこーえーまーせーん!


「そうか、じゃあ、やっぱり俺らともどっかで決着をつけなければならないってわけか! じゃあ行くぜ! お互い本気の一撃を出して、生き残ったらそいつが勝者だ! 分かりやすくて良いだろ!?」

「おう、それで良いぜ! ただ、死んだらお前ら両方ゾンビだ!」

「よーっしゃ行くぜ! 本気の本気! 最終奥義だ!」


 敵のノリが良くて結構なことだ。

 なんか、この戦いが終わらせるのがもったいないくらい楽しくなってきた。

 しかし、本気の一撃、か。

 アレを出す、か?

 いや、やっぱりアレは決勝まで取っておきたいしな……。

 よし、現時点最強の技、の一個下の奴を出そう。


「行くぜ! ……『氷龍の息吹ホワイトドラゴン・ブレス』!」

「……『炎獄ヘルフレイム・ジャッジメント』!」


 わーお厨二ネームがずらり。

 これには、本気出すしかない、か?

 流石に、本気も出さずに倒せるとも思えない。

 認めよう。こいつらは、強敵だ。無茶苦茶強い。

 せっかく散らせたゾンビを全体、霊魂状態に戻し、しかし一部以外手元に戻さずその場に待機させる。


「操魂系能力(アビリティ)・闇魔法系能力(アビリティ)! 『死者の行進(デッドマーチ)

 あらお名前可愛らしい。

 しかし、中身はいたって極悪。でも、ふたを開ければ攻撃は簡単。

 霊魂状態のゾンビを全て硬質化。それを、敵にぶつける。それだけの攻撃。それが通った後には死者のみが残る。ゆえに死者の行進なのだ。

 さらに。

 それが全方位から、敵に流れ星のように襲い掛かる。

 色が綺麗(薄緑)なので、それこそ本物の流星のように見えることだろう。

 

 手元に残した霊魂は硬質化させ、俺の回りをヴェールのように覆う。

 さあ、本気のぶつかりあいだ!


          ☆☆☆


 ゴンドーも、黙ってみていたわけじゃなく、気を取り直し、瞬く間にけんとに肉薄し、大剣バスタードゾードを振り回す。しかし、けんとはそれを軽々回避。ゴンドーの懐に入る。

 そして、手のひらから棘を出して攻撃しようとして失敗する。

 ゴンドーの持つもう一つの武器、ソードブレイカー、炎獄の猛獣(ボルケーノ)で弾いたのだ。

 そして、そのまま大剣を振り回し、一回転、けんとの、技を弾かれた後の一瞬の硬直を見逃さず、頭から凍てつく大河バスタードソード・オブ・フリーズンを振り下ろしゲームセット。

 俺とゴンドーの決勝進出が確定した。


          ☆☆☆


 会場に戻ってみると、どうやら俺達が最後だったらしく、他のメンバー六名は揃っていた。

 そしてトーナメントの組み合わせが発表される。


 一回戦

カミーユvsゴンドー

 二回戦

ジャックvsイブ

 三回戦

クロウvsセイラ

 四回戦

キリックvs桜魔


 リラは、予選落ちしたらしい。

 残り三人まで言ったが、キリックに倒されたのだとか。

 リラも結構強いプレイヤーなのだ。

 それを倒したキリックはかなり強いだろう。(もう一人リラの組から勝ちあがったイブは、開始から終了まで一度も戦闘することなく生き残ったらしい。運だけのプレイヤーみたいなので、決勝に進むのはやはりゴンドーだろう。)

 ひとまず、俺の相手であるセイラを警戒するべきか。

 見た感じ、野球少年っぽい女子(・・)

 ショートの髪型に、手にしたバットから見て、近接系(ジョブ)、野球選手だ。この職は、バットで攻撃したさい、敵が吹っ飛ぶ、とか他の職には無いユニークなスキル盛りだくさんだったはずだ。

 ……生産側(聖夜の実家、ゲームクリエイト中津)も、迷走した挙句の難産だったんだろうな…。

 お疲れ様です。

 やっと決勝まで進みました。


 感想、誤字脱字、欠点、変な言い回し等、ありましたら、書き込んでください。


 よろしくお願いします。

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