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死体が無いなら作ればいいじゃない♪  作者: たしぎ はく
1stシナリオ~プロローグ~
18/63

武闘会終了。そしてスマボ洞窟、盛大に横道にそれている気がする!?


 えっとですね、感想で指摘されましたので、本当はまだ出すつもりの無かった伏線は設定を散らせました。


 まだおかしい所があれば感想でお願いします。


 さて決勝。

 どうやら、決勝一回戦は同時に行われるらしく、俺は一回戦の相手、セイラと対峙する。

 フィールドは、闘技場。

 学校の運動場くらいの大きさの土のグラウンドを、観客席が囲んでいる感じ。

 しかし、観客席もバトルフィールドの一部であり、観客はいない。

 予選と同じく、中継で見ているはずだ。

 そして、勝負が始まって10分で。


「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」

「アレ? 意外と君、弱い? もしかしてこれ、ボク余裕で勝っちゃったりするんじゃない?」


 既にボロボロだった。

 強すぎる。

 こちらの攻撃は全てバットに弾かれる(バント、というらしい。野球はよく分からない)。

 そして、向こうは遠近中距離なんでも何でもござれ。こっちに的確に攻撃を放ってくる。

 最初の方こそゾンビを楯に(この言い方だと、何か語弊がありそうだが、硬化させたものをヴェール状に、俺に被せて楯に)して防いでいたのだが、しかしやはりこちらの技は当たらない。主様の攻撃ですら当たらない。(地震と水弾は、共にグローブで受け止められた。)

 次第に疲弊していった、と言うわけです。ハイ。

 

「『死者の行進(デスマーチ)』!」


 俺の今使える中の最強技を放つ。

 しかし、全て弾かれる。


「はははッ! ボクはね、毎日もっと早い打球を処理しているんだ! これくらいの量ならバットで弾き返せるさ!」


 弾き返すどころか、全てを俺の居るところに的確に打ち込んでくるあの技量。

 野球の天才少女とかそんなんだろうか。

 そんなんが何でゲームやってんだ。練習しろ、練習。


「いやー、しかし、凄いね、ゲームって。バットの感触、重さ、質感までこんなに綺麗に再現されてるなんて。向かってくる球(攻撃)を打ち返すのは、スピード、重さ共に野球の練習に丁度いい。おかげで、現実(リアル)でも少し野球の腕が上がったよ!」


 知識を総動員して考えてみろ、俺。

 野球の弱点は、なんだ?

 考えても、運動音痴(得意スポーツ? うーん、サバゲー?)な俺にそんなもんが思いつくはずが無い。

 ……この前、体育の授業で野球した時も、顔面にボールが当たったっけ。

 硬くて痛かったんだよな、野球ボール。バットで打ち返したらそりゃ飛ぶだろうけどさ。

 ん?


 硬くて痛かった?

 硬くて(・・・)

 そこが頭に引っかかる。 

 今、セイラに放っている俺の攻撃は何だ?

 『死者の行進』。霊魂状態のゾンビを全て硬質化。それを、敵にぶつける。それだけの攻撃。それが通った後には死者のみが残る。ゆえに死者の行進。

 ならば。

 バットが物を弾き返せるのは何故?

 それは、それが硬いので、反発力が生まれ、そして跳ね返るから。


 それならば。

 死者の行進を形作るゾンビを、軟らかくしてしまえばいい。

 そんな事ができるのか甚だ疑問ではあるが、硬く出来たんなら多分やわらかくもなるだろう。

 スライム系のゾンビがいればそれで事足りるだろうが、残念な事にこのゲームではスライムは中級モンスターらしい。チッ。

 

「操魂系能力(アビリティ)『魂合成』!」


 名前の通りだが、この能力は、ゾンビを合成し、強力なゾンビを作る技だ。

 操魂系スキルLvがさっきの戦闘であがり、やっと使えるようになった技、選べる合成モンスターの種類はコウモリ系及びスライム系及び人型(!)。今はこれだけだが、いずれ増えるみたいだ。

 もしかしたら、聖夜みたいに分身を作れるかもしれないが、今作っても意味は無い。

 閑話休題。

 手持ちのゾンビのうち比較的疲弊していないゾンビを結集し、合成。

 スライム型ゾンビをつくる。

 できたのは、半透明のナメクジみたいなスライム。見るもの全てに嫌悪されそうな見た目をしていらっしゃりはっきり言って俺もアレを直視したくない。

 しかし、勝負中なので、そうも言っていられない。


「……うわ…気持ち悪……」


 ホラ。敵も精神的ダメージを受けているじゃないか。(だからどーした)

 それを、セイラに突っ込ませる。

 今まで俺を散々ボコってくれた罰だ!

 行け!


 半透明の白巨大ナメクジは、GYAaaaaaaaAAA! と、雄叫びを上げるとセイラに突っ込んだ。


          ☆☆☆


「おおーっと!? ここでクロウ選手が新しい技を出した? これは何だ!? 流星のように高速で動き回っていた霊魂たちが一箇所に集まってゆく!」

「これは……、ナメクジ、でしょうか。気持ち悪いですね、技の使用者と同じくらいに」

「聖夜さん、クロウ選手になんか恨みでもあります?」

「ありませんよ、もちろん」

「…。そうですか。…………おあっと、場が動いた! 巨大ナメクジが、白濁した帯を残し、白濁した液体を振りまきながら、セイラ選手に突っ込んでいく! これはエ、いや、グロイ!」

「もはや人間業とは思えませんね。彼は本当に人間ですか? 人間の心を持ってますか?」

「いや、むしろ聖夜さんの方が仲良いので、よくご存知なのではないでしょうか?」

「私の友人にあんなグロイ液体を撒き散らす怪物を婦女子に突撃させて喜ぶような鬼畜はいません」

「そうですか。あっと!? セイラ選手、満身創痍ながらも立ち上がった! しかし、体中ナメクジに衝突されたせいか、テラテラと光っている! これはエロ……気持ち悪い! 精神的にアウトか!?」

「私ならここで戦意を喪失しますね」

「ですよね? むしろコレはトラウマものではないでしょうか? 犯罪者! 犯罪者が誕生しそうですよ!? ホラ、観客席も、あまりの居た堪れなさに、目を逸らし始めてますよ! え? なになに? なるほど。今観客から、クロウ選手を非難する声が多数送られています!」

「死ねー! や、乙女の敵ー! とか、月の無い夜には気をつけな! 、 黒くんかっこいい! などの声がありますね。いや、最後のは違うな」


          ☆☆☆


 俺が作り出したナメクジには、硬さが無い。

 バットで叩けば、衝撃は吸収され、粘液が撒き散らされるだけだ。

 駄目だ、自分で自分が最低の人間に思えてきた。

 しかし。

 セイラには効いてる。

 相手のHPが減っているのが分かる。

 それにしても、なんと言うか、ナメクジを叩けば叩くほど、粘液が飛び散るわけで。そして、それはもちろんセイラにかかり続ける訳で。……エロい! あ、いや! 間違った、エグイ! 我ながら!

 それでも、セイラは、ダウンすることなく、ナメクジをしのぎきった。

 まあ、もとからナメクジは足が速いわけではないため、後ろに下がれば簡単に回避できるのだが。

 そして、キッ、と、音がするような勢いで、俺を睨みつけてくる。ちょっと涙目(+粘液)可ー愛ーい。


「この! 変ッ態!」


 一回戦にて、私は敗退しました。


          ☆☆☆


 せっかく良い所まで行ったものの、結局最後は怒り狂ったセイラに残りのHPを全部削られて、負けてしまった。

 受付に戻り、リラと合流する。

 開口一番、「変態、です」と罵られた(?)ものの、一心不乱に謝りもうあの技は出さないと誓うと許してくれた。

 ちなみに、優勝者はゴンドーだった。


          ☆☆☆


 大会終了後、ケインさんに挨拶して(苦笑いを頂戴する)、聖夜と合流。

 『レイオリア宿場町』まで戻り、『スマボ洞窟』を攻略する事にする。(PM4:35)


 『スマボ洞窟』。一本道があるのだが、そこから一本でも横道に入るとたちまち迷ってしまう迷路のような洞窟。初心者には向かない。そのため、今まで他のフィールドの攻略を優先していたのだが、そろそろ大丈夫かな、と、入ることに。

 中は、暗いのだけど、周りがぼんやりと(しかしプレイヤー、モンスターはくっきりと)見える。

 プレイヤー、モンスターがくっきり見えるのは、多分危険だからだろう。

 そんな変なところに気を配るのなら、ゲームクリエイト中津はこのゲームのデスペナルティをもうちょっと考えた方がいいと思う。

 そのことを嫌味交じり(嫌味オンリーとも言う)に聖夜に言ってみた所、


「ああ、それはな、今開発中の、次世代機があるんだが、2ndシナリオまでクリアできる人間を選別して、テストプレイヤーをやらせるみたいだ。このデスペナルティの中でも2ndシナリオをクリアできる人間なんてのは、それこそ本当の意味のゲーマーだからな」


 と言う返事が返ってきた。


「救済措置とかないのか?」

「あるぞ。ホレ、そこ」


 聖夜が指差した洞窟の壁には、注意してみないと分からないようなボロボロの看板があり、そこには、消えかかった文字で、こう書かれていた。


   ←ヴェスト高原   思い出の墓場→


「どっち?」

「思い出の墓場のほうだ」

「よし、言ってみようぜ」

「誰もこの中で救済措置が必要なプレイヤーはいないと思うんだが?」

「探検探検。な、リラ」

「あ、はい、そうですね、行きましょう、探検」


 右折し、しばらく進む(途中モンスターに出会ったが、さくっと狩る。適正予想レベルをはるかに超えてしまっているのかもしれない)。

 すると、下り階段があったので、下に進む。

 ざっと百段くらい段を数えた所で階段は途切れ、教室くらいの大きさの場所に出た。

 そこは、蝋燭(部屋中にある)が煌々と照らし、目が慣れるのにしばしの時間を有した。


「行き止まり、でしょうか…?」

「そうみたいだな」

「この阿呆どもが。ここにドアがあるだろう」

「それ、ドアなんですか…?」


 聖夜がドアと言い張るそれは、崩れてはいないものの、朽ち果て、ボロボロになっている木の観音開きの扉。

 あまりにボロボロなので、周囲の壁と一体化して、気付かなかったのかもしれない。


「よし、開けよう。さっさと開けよう。すぐ開けよう」

「罠はないから安心しろ。何しろ救済措置だからな」

「流石三回目だな」

「お前に二回殺されたからな」

「?」


 リラには分からない会話を挟みつつ、ドアを開ける。

 そこは、


「通路?」

「そうだ、通路だ。ここからはしばらくモンスターがでない、安全エリアだな」


 その通路にドアから入り左に曲がる。

 そして、そのまま真っ直ぐ。

 横道は一本と無く、ずっと真っ直ぐの道を、リラや聖夜と話をしながら歩く。


「さっきのどういう意味ですか?」

「ああ、聖夜を殺した、とか言うアレか?」

「そうです」

「言葉通り、聖夜をPKしたんだよ」

「そうなんですか」

「…………」

「…………」


 話が長く続かない。

 そもそも、基本引きこもりの俺にトーキングテクニックを求める時点で間違っている。

 どうしよう、何か話題、話題無い?

 なんかあったか? 女の子と話して盛り上がれるような持ちネタがなんかあったか?

 …………。

 あ、あるじゃん、一つ。


「なあリラ。オフ会、行くの?」


 武闘会終了後、カミーユに誘われたのだ。

 いわく、この前のキリバ討伐の時のメンバーでオフ会をしないか、と。

 俺は、はっきり言ってどうしようかと、迷ってます。

 引きこもりに、夏の日差しは厳しいのであった。はぁ。


「実は、私、迷っているんです。クロウさんはどうするつもりなんですか?」

「うーん。俺も迷ってるんだよなー」

「どうしてですか?」

「いや、あのさ、俺、夏は、――特に八月に入ってからは――引きこもりなんだよ。外出したら倒れる自身がある。日射病とか熱中症とかで」

「…何でそんな所に自信満々なんですか。……クロウさんが来ないんなら、私も行くのやめようかな…?」

「ん? 後半なんて?」

「いえ、何も。もしクロウさんさえよければ、一緒に参加しませんか、オフ会」

「自分は参加するつもりだ」(@聖夜)

「うーん、………? どうしようかな」

「一緒に行きましょう?」


 その上目遣いは反則だと思われます。

 俺は年上にも弱いのかもしれない。(たまにリラが年上である事を忘れるけど)


「まあ、リラが行くなら俺も行こうかな」

「あれ、なんか自分が放置されてどんどん話が進んでいる…?」(※聖夜)

「やった! 絶対一緒に行きましょうね、クロウさん!」


 カミーユにメールをする。

 参加させてもらいますよ、と。


「おい、出口だぞ」


 聖夜に言われ、前を見てみる。

 確かに、上りの階段がある。


「この先が、『思い出の墓場』か」

「どんな所なんでしょうか? 早く行きましょう!」


          ☆☆☆


 階段を昇りきると、そこは始まりの間と同じくらいの大きさの、部屋だった。


「おーおー、よく来たな、お前ら。お前らもアレか、一回死んだ奴らか?」

「はぅぅっ!?」


 その部屋の中央に鎮座する、石像が喋った。

 ……置物かと思った。リラは悲鳴あげてた。俺は悲鳴あげる余裕すらないほどビビッた。


「ちょっと待てや、お前らの『思い出』調べっからよ」

「あーいや、我々は、別に誰かが死んだわけではない。ちょっと見に来ただけだ」

「お? なんだ、坊ちゃんじゃねーか。また会ったな」

「と言うわけで、ここの説明をそこの二人にしてやってくれ」

「おう、任せろ」


 石像、もしかしてNPCじゃない? こんな所で会社員を使ってるのか、ゲームクリエイト中津?


「あー。コホン。うっうん。よし。いいか、よく聞けよ。


 まず俺の名前だがな、俺はビル。この部屋の番人だ。んで、この部屋の奥の、黄色い扉――ほれ、そこの奥の奴だよ――を守ってるって言うか、まあ、管理してんだ。


 でよう、あの扉の奥には、墓場があるわけよぅ。何の墓場かってか? 死んだトレジャーハンターの遺品が流れ着いてくる世界の端っこでよう。俺は墓荒らしだったんだがな、神様に見つかっちまって、こんな所で石像やらされてるわけだ。


 そんでな、神様は俺に役目をくれたよ。それはな、ここの扉の奥に通す人間に試練を与えるっちゅー役目なわけよ。


 試練はまあ、知力、武力、財力の三つがあるんだがな、知力は謎解きを、武力は俺に一定のダメージを、財力は、金をはらうんだわな。――無茶苦茶法外な値段だから、ソロプレイヤーはまずこっちでクリアはできんわな――そん中から一つ選んで、クリアできたらめでたく失われしお前らの遺物が待ってるって寸法よ。


 ただ、アイテムはほとんど途中で駄目になるみたいでよ、ほとんど無い。装備品は、まあ、死んだ時に身につけてたものは、必ず帰ってくるみたいだわ」


 要約するに、このビルって番人に認められたら、もし死んでも装備品――死んだ時に身につけていたもの、まあ、装備していた物だな――は帰って来るって事だな。で、運が良ければ所持アイテムの一部も戻ってくる、と。


「んじゃあよぅ、出来ればもうこんな所に来るなよぅ? あ、遊びに来るのは大歓迎だからよ、また来てくれたら番人は喜ぶって寸法よ。じゃな」


 言ったきり、石の番人(ビル)は動かなくなった。

 急に停止するなよ! 怖いじゃねえか!


「なあ、聖夜。あのビルもやっぱりGM(ゲームマスター)なのか?」

「ああ、アレは違う、ただのNPCだ」

「ええっ!? 私は、てっきり運営側の人間かと思ったんですけど!? 受け答えも普通でしたから」

「それはな、親が開発した、ああ、すまない、これは企業秘密だ、名前すら言ってはいけないのだった」

「しっかし、改めて凄いな、お前の所。VRMMO技術独占してるし、NPCももはや人間(ホンモノ)と大差無ぇじゃねえか」

「独占してはいないぞ? ただ、他のVRMMOの会社は全部ゲームクリエイト中津の息がかかっているだけだ」


 世間では、それを独占と言う、と俺は思うのだけど、どうなんだろう。

 そんなことよりも。


「また、ここを戻るのか?」

「ああ、そうなるな。大体片道で二十分くらいか。さあ、歩くとしよう」


 目下の問題は、また長い距離を歩かなければならないと言う事だ。

 まあ、ゲームだから肉体的には疲弊しないのだけども。


 感想、誤字脱字、欠点、変な言い回し等ありましたら書き込んでください。


 よろしくお願いします。

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