Episode0:神様
自らの国が、革命により燃やされ,家族も身内も,生死不明となったらアナタはどうするだろうか
私はどうも思わない。ただ『嗚呼、愛した人が死んだな』と思うだけだろう。
だって実際問題そうだ,家族とは、唯血の繋がりがあるか、はたまた無いかは関係はない
唯、そう定義するだけに過ぎぬ言葉,名称だ
確かに育ててくれた恩はあるだろうが、それはそれとしてだ。
つまり、私が言いたいのは『薄情な人』と言われても、私は『あの人達は家族と言う名の他人』としか、答えようが無い
……いや、今はそう思うだけだけど、昔は泣きわめいていた、合理的でもない事をしていたと思う。ただ思うだけだが
気付いたら、いつの間にやら1人になるのを想像してみよう
もしアナタが親が大好きで、身内も好きならば、アナタはずっと──…いや、個人差はあるな。
……さて、
その革命時のせいで、記憶喪失となっていたら,
アナタはその革命時の新聞を見て、何も知らない状態で見たのならアナタはどう思うだろうか。
──……
泡沫の夢
夢なのに、夢だと思わせない夢。
私は其れを,何度も其の夢を見たはずなのに。
・▒ィ?ス王國中央貴族街・城内
「母さま!母さま!」
城内は豪華で、白くて、赤いカーペットが続き、中央奥に置かれた王座の2つ、その片方に座る女,もう片方には誰も居なかった
私はその女を母さまと呼び、声を掛けた
「▒▒▒▒、どうしたの?」
女は名前のような事を言うが私には認識が出来ない
と言うより、砂嵐のような音を鳴らしその言葉を聞くのを拒む様に,その声は聞こえなかった
私は喋りたくも無いのに喋る
「母さま!母さまと一緒に今日行われる祭りへと行きたいのです!
母さま行きたいです!」
胸へと手を置き、行きたい行きたいと駄々をこねる私に、目の前の女は困ったように眉を顰め,軽く笑った
「そんなに駄々を捏ねなくても、ちゃんと一緒に行けるからね。」
そんな言葉に、私は目を輝かせていたのだろうか。その言葉を聞き、やったー!と跳ね、自身の専属の召使いにでも報告をしていた。
召使いも
「よかったですね、▒▒▒▒おぼっちゃま」
と言っていた,名前はやはり聞こえない
部屋に行こうとした時、私が声を掛けた女に声をかけられた
「▒▒▒▒,これを貴方に」
「母さま、これは?」
渡されたのは、銀の笛。
魔具の様な物だろうか,少し禍々しい雰囲気が、私には見えていたが女は気付いて無さそうだった
「これはね、私のお母さんから貰った笛なの。けれど、1度も吹いてないんだけどね。
誕生日プレゼント……には改めて、プレゼントを渡すけれど、たまには、何も無い日でもプレゼントをあげてみたくなったの、だから…」
私は其れを受け取り、特別な気分になった。
心が暑くなった。
祭りが始まり、街は騒がしくなった
「あ!王女様と▒▒▒第一王子様だ」
「素敵な服装…!」
「やはり王女様は聖女に相応しき存在だ…!」
騒がしい声が多かった。
声を掛ける国民達に女は手を振った、私もその動きを真似していた。
国民達にも女は優しく声を掛けていた
「今日は楽しんでくださいね」と。
祭りが最高潮となった時花火が見えた,魔法で作られた花火は綺麗に見えた
私は女と共に城壁の上で花火を見ていた。
花火の光が,女の顔を綺麗に見せていた、私は好きだな,と思ったのだろうかその顔をずっと見ていた
彩りが、色が綺麗だった。
……背後から来る革命を謳う反逆者が2人、現れる迄は。
女が反乱者に刺され、斬り付けられた
「── ッ ゛!? 」
斬られた際の女の血が私の顔についた
一面に赤が広がった
広がって、石に染み付いて。
「母さま……? ッ 母さま!!」
「▒▒▒▒……にげ…ッ」
その言葉を防ぐ様に2人は女の体を蹴り、頭を踏み付けた
私はやめろ、とその2人へと言いかけた
然し女が、最後の力を振り絞ったのだろうか、私の体を、手で押したのだ。
城壁から真っ逆さまに堕ちた
まるで堕天する天使のように、翼がもげるように。
「 あ 」
グシャン ッ。
そんな音が鳴って、木の枝に落ち、そのまま更に血へと落ちた。
痛かった、とは思わない、夢の中だからだろう
だが、反射的に痛い、と言った。
……
次に見た光景は
女の首から上が、私の視界を覆うように落ちてきた景色だった
───────……
ガバッと起きる影
「は ァ ッ ……ふー……は……ぁ……夢か。クソ,嫌な夢を見た……チッ。」
囲うように出来ている岩,岩陰で布を敷き寝ていたのだろうか、ショートカットの瑠璃色の髪色をした男性が、上半身を起こし,汗をかき,過呼吸をしながら、不機嫌な様子でそのまま空を見あげた
……まだ時間は深夜辺りなのか、天の川が空に満ち,星空と流れ星が綺麗な光のように輝いている。
…近くにある焚き火の煙が空へと上がり、消えてゆく
「クソ…クソッタレ…あの悪夢見たくねぇんだよクソ…ミジンコでも詰まったような夢見せやがって…」
嫌味を吐き、イライラを止められず。不機嫌の様子だった
感情が止められず,髪を手でぐしゃ、としながら周囲を見渡せば,焚き火の近くで黒い髪のボサボサヘアの大柄の男、その男の赤い目がイライラしている男を見て、声を出した
「うるっっせぇなぁ!!?今俺様が黄昏てるって時になんだぁ!?やっと寝たと思ったら数分後でこれじゃねぇか!!
俺様は神だぞ、神の命令に従い静かに寝やがれ!」
「うるせぇ神。今イラついてんだ騒がしくすんじゃねぇ」
「俺様は騒がしくねぇっってんの!!」
「えーと…笛を吹いたらこいつが現れた…,だからさっさと笛に戻れよ…神サマ」
「嫌だわ!!100年以上ずっと出れてなかったんだ!もう笛の中戻らねぇ!」
「……。」
「と言うか、俺様はお前の願いを叶える為に現れたんだぞ?唯吹くだけじゃ俺様は現れなかった
お前が『記憶を取り戻したい』って言ったから俺様は現れた、わかってんのかお前!
つまりお前が呼んだ、自業自得だな!」
うっせーと声を出す瑠璃色髪の男。
瑠璃色髪の男は近くから自身の荷物を出し、1つの本を出した
…とある者から貰った神話に存在する1つの本、その内容を思い出す
神と自負する赤い目を持つ男…名前は確か…
そうだ、『クピディタス』
本当は最も別の名だが、其れは書かれていなかった
クピディタスは特定の銀の笛に取り憑いて,吹くのと同時に自身が叶えたい願いを叶えてくれると言う願いの神
…らしいが、実際にはわからず…だが自身が掲げる放浪の旅のひとつ叶えたかった目的の為願いを込め吹いたら,コイツが現れた
つまりは事実だと思うが……
…もっとこう…なかったのだろうか,明らかに神の雰囲気ではない
「俺様の命令だ、寝やがれ、騒がしいからな」
「わかった、わかったから永遠と言ってんじゃねぇよクソ神」
「だーれーがクソ神だ!!」
「クソ神はクソ神だ!信仰心薄れてる神なんぞ俺はクソ神としか言えないね!」
「うぐ…」
信仰心故に力が薄れていて、ほぼ力が出ないとこいつはいっていた
……聞いた時、コイツは期待外れだと内心愚痴ったのを覚えている
そのまま布へと包まれば、先程のイライラが何故か急に呆れる物となっていて、そのまま寝れた。
…案外アイツの声はイライラも抑えるのかもしれない、と感じた
───…
鳥の鳴く声,勿論,魔物の鳥だが。
いや、中には普通の鳥も居るだろうが
「…クッソ,首痛めた。」
欠伸を零しながら、移動でもしようと動き始める
荷物を整理し,布を畳み,焚き火の火…は既に消えて煙のみ上がっていた
「ふぁ〜…ァ…。俺様が起きたぞー、神の目覚めだなんかしやがれ」
「しねぇよクソ神,…ち、着替えてくる、待ってろどうせ着いてくるんだろ」
「当たり前だ!俺様はなぁ?一応とは言えどお前と契約はしてんだぞ?」
「いつしたんだ」
「お前が笛を吹いて、願いを込めた瞬間、その願いを叶えると言う,其れが契約だ。」
「…はぁ。……木の後ろで着替えるから見んじゃねぇぞ」
深くため息をつけば,違う服を取り出し,そのまま近くの木の後ろへと行った、木に背中をくっ付ける
ガチャガチャとベルトを外し、ついでに下着も脱いだその時だ
「ん、俺様よりちいせぇな子供みたいな──」
なんでこいつは覗いてナチュラルに見ているんだ。
俺はそう思った、そして次に
「テメェ何見てんだ、見んじゃねぇつったろテメェを畜生の糞に頭から突っ込ませてやるよ、覚えときやがれこの変態クソ神が ッ ァ ゛ァァ───!!!!!」
と取ったベルトをそのままこのクソ神へと投げつけた
「ぐぇ ッ!!」
甲高い声をあげ、そのまま後ろへ、倒れ、転がって行く
「…1回こいつ笛に戻らねぇかな…戻った所でそのまま畜生の糞に投げ付けて詰めたい」
違う服に着替え、半分キレていながらも、自身の荷物から,また別の服一式を取り出しそのままクピディタスへと投げ付けた
「…あ?良いのかよ、まぁ神だし仕方ねぇよなー??」
「コイツ1回死んでくれねぇかな、いやもう死んでる系だけど。」
ふんふふーん、とお気楽でさっきの不敬で嫌な行為が記憶にパッタリとないような雰囲気で着替えている
「着替え終わったぞ,ふん少し服はキツイが及第点だな。
で、聞くのは忘れたが…」
「なんだよ」
考えるようなポーズをしているクピディタスを睨み付けるかのようにして見詰める男に指を指すクピディタス
「お前、名前はなんだよ。」
「…名前ェ?」
オウム返しをした、その声に首を傾げながら、名前と,思考した
…嗚呼、そうえば本をくれた人から名付けられた気がする
「……。」
自信があるのか無いのか分からないが、クピディタスを見詰めながら、その口を開き、音は鳴る
「『フェルブレッヘン』だ。」
「ふーん、フェルブレッヘンねぇ…だっせ!!」
「テメェ……」
ダサいなど戯言を言われれば、流石に頭に来るものがあった。
然し。
「だから俺様が名付けてやるよお前は今日から〜…」
「おい、勝手にってか既に名前はさっきの…」
「『フリューゲル』、フリューゲルな!」
「…。」
色々言っても無駄だと分かり、はいはい、と受け入れた
…まぁコイツが勝手に言ってくれるなら適当に流せばいい。
「…さっさと行くぞ」
「何処に行くんだよ」
「アテもない、ただ記憶を戻すまでの旅だ。
分かったら荷物持て、荷物係として働くんだなクソ神」
そう言えばクピディタスへと、荷物を投げつけ
「うぉっ!?俺様は神様だぞ?」
「だったらなんだ、神だとて働く義理が無いとは言わせんぞ
野宿になった時の飯も出さねぇからな、それなら」
「なっ!?」
驚くクピディタスを他所に、そのまま道を歩いた。
「待って、待てって…!!俺様を置いていくなよ、フリューゲル ッ───!!!」
…ずっと独りで彷徨い、求める旅に、新しい光が落ちた日だった
…こんな光が悪く思えないのは、可笑しい事だろうか
いや、やっぱおかしいか、コイツ覗き魔変態クソ神だわ
…そう思った時、余計に呆れが来て、深くため息を着いた




