マン・ターゲット6
「整理整頓を心がけてほしいもんだよなぁ……」
捜査の後、荒らされた倉庫の中でマイクは呟いた。
荒らされたのは倉庫だけではなかった。捜査は徹底を極め、各個室のベッドの中、トイレットペーパーの芯、その他いろいろと考えられるものを全てを壊していった。
無論、麻薬のあろうはずもなかった。
「備品の補充が必要だな。ちゃんと後でステーションの方から修理代もらえるんだろうな。そうじゃなきゃ……。あーあ」
マイクが頭を抱えて倉庫から出ようとすると、ハワードが叫んだ。
「まいく! まいく! ドコニ イルンデス!? 緊急事態デス!」
「おい、またかい」
船内放送を聞いて舌打ちすると、マイクはインターホンに向かっていった。
「どうしたんだい、ヘルメス」
「コノ船ノ各場所ニ 爆弾ガ仕掛ケラレテイマス。スデニ作動シテイマス。ドウシマショウカ」
「どうするって、何を」
マイクは少しも驚かず、かえってしらけた感じでいた。
「デスカラ爆弾デスヨ。アト30みにっつ10まいくろ、9、8、7……」
「撤去すればいいだろうに。それくらいのことはできるだろう?」
「ソリャア、爆発物探知機デ見ツケヨウトスレバ見ツケラレマスヨ。デモ撤去シタ後ドコニ置ケバイインデス? 私ハ爆弾ノ解体ナンテ デキマセンヨ」
マイクは少し黙り込んだ。そして右手を拳にして軽くポンポンと頭を叩いた。
「倉庫……機関室……コンピュータールーム……指令室……から一番離れたところ……。ヘルメス、僕の個室に撤去した爆弾を置いといてくれ。解体作業は考えなくていい。その代わり全て撤去するのに使う時間は5ミニッツ以内」
「ハイ」
「あ、ちょっと待て。それと同時進行で駐船場管理局へハッキングするんだ。ジャン・ド・ヴァジール以下その一味がいつ出発するのか、何の船に乗るのか、その船がどこにあるのか、調べろ。名前が無かったら映像でチェックするんだ」
「らじゃー」
マイクが部屋に着いたとき、彼が最初に見たのは、自分のベッドの上に山と積まれた……棒付きキャンディだった。
「なんだいこりゃ?」
思わず聞いてしまったマイクを誰も責められないだろう。
「爆弾デスヨ。ココニ置ケッテ言ッタデショウガ。コレデ全テデス。要シタ時間ハ4みにっつ 32まいくろデス」
キャンディの爆弾。奴ら一体どういう意識をしてるんだ。いやこんなことを考えている場合じゃない。
「ヴァジールの船はどうなった?」
「個人デ船ヲ持ッテイタヨウデス。すてーしょんノ職員ジャナカッタンデス、アノ人。
提出サレタ予定表ニヨルト アト10みにっつデ出港スルヨウデス。船ノ場所ハ第3ぶろっくノ13デス。
デモ ナンデ ソンナ事調ベサセタンデス? ヤッパリ ソノ爆弾ハ彼ラガ……」
「忘れ物はちゃんと返さないといけないよなぁ」
マイクはいたずらっ子みたいにニヤッと笑うと、部屋の隅から空き箱を引っ張り出し、その中に爆弾キャンディーを詰め始めた。ニコニコして鼻歌を歌いながら詰め終わると、今度は綺麗にラッピングしてリボンをかけて、とうとう物騒なプレゼントが出来上がった。
「じゃあ僕は配達に行ってくるんで、留守番頼む」
マイクはその左手にプレゼントを抱え、右手の指二本でちょっと敬礼すると出て行こうとした。
「チョット、まいく、ドコヘ行クンデス!?」
「元の持ち主のところ」
「デモ ソレ マダ作動シテルンデスヨ! 爆発シタラ ドウスルンデス!」
マイクは少しきょとんとしたような顔で、簡単に言ってのけた。
「知るもんかぁ」
*
次の日。
新聞の三面記事は賑わっていた。
まず、駐船場展望台においてのブラスターの爆発事故。ブラスターの持ち主は重症を負い、ステーションの病院にて死亡。
次に、電動車の追突事故。荷物の下敷きになった人間は重症を負い、ステーションの病院にて死亡。
街で喧嘩をし全治6ヶ月の怪我をした人々が、ステーションの病院にて何者かに襲撃され死亡 。
ステーションホテルの一室にて、キャサリン・ヘップバーンという女性が服毒自殺。
そして最後に、ステーションと駐船場の中間地点においての個人所有の宇宙船爆発事故。行方不明の方も多く、船主であるヴァジール氏も行方不明。
……以上新聞より抜き書き。




