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罪過を綴る  作者: asahi
中学生編。

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18/20

僕と君なら。

あれから、ずいぶんと時間が経った。

小春と一緒に、夏を越えて、秋を過ごして、今は、2年の3学期、冬の時期になった。

席替えで離れても、僕は必ず休み時間になると、小春の所へ行く。

「小春!返ってきた国語のテストは、どうだった?」

「別に…。」

「え、素っ気ない。僕は、84点だったよ。」

「…」

「93点じゃん!すごい!」

「勝手に見ないでよ!」

小春が声を大きくして、僕に言う。

「…ごめん。もう、二度としないよ。」

「でも、そんな怒る事じゃないのに。点数だって、小春の方が高いのに。」

小春が無言で席を立った。

「え、どこ行くの?」

「お手洗いに行くだけだから、着いてこないで。」

「…分かった。」

最近、僕と話す時、物憂げな表情を浮かべることが増えた。

もしかして、嫌われたのかな。

点数も問題ない。

身長が伸びたから、今は174cmはある。

全部、小春の理想に近いはずなのに。

どうしてだろう。



放課後。

「ねぇ、小春、一緒に帰ろ。」

「…今日はちょっと、用事があるから。先に帰って。」

「じゃあ、用事終わるまで待つよ〜。一緒にいたいからさ。」

「…そう。」

小春と職員室に行った。

簡単な用事だったらしく、すぐに小春と帰ることになった。

「用事終わったんだね。今日は、どっちの家に行く?だいたい、小春の家だけど、僕の家でもいいよ!」

「…ちょっと、来て。」

「ん?うん。いいよ。」

小春に着いて行った先は、僕たちの教室だった。

小春は、何も言わないまま教室で立ち尽くしている。

というより、何かを躊躇している感じがした。

「小春、どうしたの?僕にできることなら、何でもするよ?」

「…夕日はさ、」

「うん。」

「もっと、友達とかと話さないの?」

「ん?小春と一緒にいるのが一番楽しいから別にいいかな。」

「それって、私以外の人と仲良くしない。ってこと?」

「もちろん!僕は、一途な人間だからね。」

「ねぇ、夕日。」

「何?小春。」

「このままだと、私のせいで夕日の選択が減っちゃう気がするの。」

「それでもいいよ!将来は、小春のために時間もお金も使いたい。それに、体だって自由に使っていいよ?」

「…ダメだよ、それは。良くないよ。」

「え?どうして?」

「夕日には、もっと色んな事に目を向けて欲しいし、将来もちゃんと考えて欲しい。」

「将来?小春の旦那さんになることだけど?あ、まだ、理想の彼氏じゃないってことね!それなら、もっと頑張るよ!」

「パンッ!」

「…え?」

小春に頬を叩かれた。

でも、それよりも、

「小春!()()()()()()()()()()

「…」

「あ!泣くくらい辛い事があったんだね。

いいよ、この体、自由に使って。殴っても、蹴っても、首を絞めても。慣れているし、今はもっと頑丈だから!」

「…」

「少し距離を置きたい。」

小春はそう言い残して、教室から出て行った。

暖房のついていない、教室は酷く寒いのに、叩かれた頬だけがジンジンと熱を帯びていた。




久しぶりかな、独りで帰るのは。

僕の隣には、いつも小春がいた。

ねぇ、小春。

どうして?

僕には、小春がいないと生きていけないのに。

小春。

寒いよ。

…手、冷たいよ。

「ガチャ。」

玄関に着いて、ドアを開ける。

「あら、おかえり。夕日。」

「うん。ただいま、お母さん。」

「いつにもまして、今日は、元気そうね。」

「うん、毎日が充実しているからかな。」

「そうなのね。最近は、成績も上がったし、やっぱり離婚して正解だったね。」

「…うん。そうだね。僕、勉強してくる。」

「そう。頑張ってね。この成績ならいい所も狙えそうね。」

「うん。勉強、頑張るね。」

僕は、音を立てずに2階の自室まで行く。

…そっか、LINE。

小春とのトーク画面。

「え?」

アイコンは、アニメキャラの画像に変わっている。

「ねぇ、小春。今日のことは本当にごめん。許して欲しい。僕に、足りないこと、できることならなんでもする。勉強だって、運動だって、小春のためだと思えば、学年1位にだってなれる。だから、お願い、僕を必要として欲しい、僕と一緒にいて欲しい、僕を愛して欲しい。小春のためなら、時間もお金も体も全部提供する。だから、また、小春の温度が欲しい。寒いよ。冷たいよ。僕は、もう凍えて死んでしまいそうなんだ。もう一回でいいから、チャンスが欲しい。小春以外の人間なんか、どうでもいい。全部全部小春のために、尽くすから。もう一度、手を繋ぎたい。それで、手を握り潰したって、体が壊れたっていいんだ。今日、何が悪かったか教えて欲しい。小春だけを愛しているよ。」

既読ついた。

返事がない。

ねぇ、どうして返事してくれないの。

僕は、小春が愛してくれないと、

僕でいられないのに。

小春に必要とされることが存在意義なのに。

小春。

小春。

…瞼が、重い。

こ は る ……

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