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⑩妖怪シリーズ




 ナイフで切ると肉汁が溢れてくるオーク肉のステーキ。

 この世界に来てよく食べていたが、この店で出されたオーク肉はさらに美味い。


 タウルスと呼ばれる牛の魔物を煮込んだ絶品シチュー。

 噛めば噛むほど美味しく、幸せな気分になっていく。

 タウルスとシチューの相性がよく、これこそ完成された料理。


 ロックバードの卵で作られた贅沢な卵焼き。

 外はフワフワ、中は半熟とろとろに出来上がっており、卵の濃厚な味わいがたまらない。


 他にも色んな料理がテーブルには並んでる。

 どの料理も魔物を使っていて豪華な料理ばかりだ。

 

 クラリスさんと共に来た、この店の料理は素晴らしく美味い。

 勿体無いので一つ一つ味わいゆっくりと食べている。


 そう、贅沢な料理は味わって食べるものだ!


「あむあむあむあむあむ!」


 だが、そんな事はお構いなしと言わんばかりに、料理にがっつく少女がいた。

 止まることを知らぬ強靭的な胃袋を持ち、獲物は逃さないという確固たる信念を貫く。


 テーブルの上には空の皿が積み上げられていく。

 

 店内は慌ただしく、次から次に料理が運び込まれる。

 俺の目の前に座る少女は、そんな周りの事など気にも止めず、ただ食べる事にがむしゃらに集中している。

 

「あむあむあむあむあむ!」


 そう、この少女こそが、噂の【大食い姫(おおぐいひめ)】ルナである。


「ルナ、おいしい?」


あむあむあむあむあむ(おいしいです)!」


「そっかー。 よかったね」


 俺は隣りに座るクラリスさんをチラリと見る。

 

「そろそろを話をしようか……」


 俺とクラリスさんは既に食事を終えたが、ルナがまだだったので待っててくれたみたいだ。

 

 たぶん、待ってら話が進まないと思ったのだろう……ルナは放置して、いよいよ本題だ。


「明日この町を出る事にした」


「え、急に? どうしてですか?」


「ああ。 実はな……」


 クラリスさんは仕事でこの町を訪れていたらしいのだが、その仕事というのが……ある女性を捕まえる事なんだとか。


 その女性の名前はライカといい。

 封印されているドレスアーマーを狙っているようだ。


 ドレスアーマーはシリーズに分けられていて……花、獣、海シリーズと様々有るが、その中でも最凶最悪と言われているのが妖怪シリーズだとか。


 神様が創造したドレスアーマーには意志が宿る。

 妖怪シリーズは邪悪な意志を持っていて、所有者の意識を乗っ取り、完全に掌握して暴れるらしい。


 妖怪シリーズは全部で四つ。


 一番邪悪な妖怪シリーズ最強のドレスアーマーだけは、この国イルミーナ宝国の王都ジュエリーにあり、神人であるキマリ様が厳重に封印しているようだ。


「えっと……どこから質問していいのやら……とりあえず神人って何ですか?」

 

「神に最も近い人……それが神人だ」


 てことは、この世界には神がいるって事か……?


「何ていうか、話が凄すぎて、分からないですけど……それを俺に話したら駄目なんじゃないですか? 場所バレてますよ?」


「ああ、それは問題ない! 神人のキマリ姉さんが守っている限り、封印が解けることは有り得ない」


「キマリ様が倒される事は……?」


「ありえないな! 人の身では絶対に勝てない。 私でも無理だ……」


 ええええ!!!! えぇぇ〜!?


 そんな強いのか! キマリ様?


 異世界最強だと思ってたクラリスさんでも敵わないだと。

 じゃあ誰も敵わない……うん安心だ。


「って、それなら大丈夫じゃないですか!」


「残された妖怪シリーズの三つを、ライカが狙っている。 いや、他にも美乱(びらん)という謎の多い組織が狙っているな」


 謎の組織……美乱。

 そいつらは死ぬまで永遠に美しさと若さを保つ禁止薬物を乱用しているのだとか。

 その禁止薬物を使えば確かな効果はあるが、デメリットとして寿命が短くなり、狂人になってしまうらしい。


「いやいや怖い……え? 何で怖ろしいデメリットが有るのに、そんな危険な薬を使うんですか?」


「君は分かってないが、女とは、どんな罪を犯してでも、美しくなりたいと思う生き物なんだ。 年を取れば取るほど、自らの老いに嫌気がさして、美に対する執着が強くなる。」


 俺は男だから、分からない!

 でも女性ってそう思う人もいるのか……


「この話を俺にしたのは、協力して欲しいってことですよね」


 それ以外には考えられない。

 絶対そうだ。


「いや、全くそういうわけじゃない。 君の事が心配だから、ライカと美乱には近づくなと、注意しようと思った。 それだけだ。」


 全然違った。 見当違いにも程がある……


「ああ、そうだ! それと、もし何か困った事があれば、私の弟子のリーシェと冒険者のギルドマスターに頼るといい」


 クラリスさん、こんなに俺の事心配してくれてたのか……なんて良い人なんだ。


「もし王都に行くことがあれば、神社にいるキマリ姉さんの元を尋ねるといい。」


「本当に何から何までありがとうございます! 俺が別の世界から来て生きてられるのは、クラリスさんのお陰様です」


「今生のお別れみたいな事を言うな。 また、すぐ会えるさ」


 寂しくなるが仕事なら仕方ない。

 せめてお見送りしますと言ったのだが、明日朝早くに、この町を発つみたいで、いらないと言われてしまった。


「お兄様〜」


「うん? やっとお腹いっぱいになった?」


 ルナのお祝いで食事してたのに、ずっと放置してしまっていた。

 気づいたら慌ただしかった店内が落ち着いている。

 もう、満足したのだろうか……


「でざーとが食べたいです!」


 さすがルナ! 

 最後にデザートでの締めを忘れない。

 帰りに買って帰らないと。 


 会計を終え店を出る。

 かなり、お高い金額になっていたがクラリスさんは予想してたみたいで、全部出してくれた。


 男が払うものじゃない! と一言。


 ヤバいなイケメンすぎる。

 惚れてしまいそうだ……いや、もう惚れてるか。


 それにしても王都か、いつかは行ってみたいな。

 神人のキマリ様にも会ってみたい。


 今分かっているのが、稀人の俺、神人のキマリ様、あと狂人。

 この分だと他にも、まだいそうだ……。


 

 

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