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侍女の独り言

ねぇ、聞いてくれる?


私ね、子どもの頃から公爵家の使用人として働いてたんだけど、途中からそこの坊っちゃまに言われて伯爵家に入ったの。



坊っちゃまはとっても綺麗な顔なんだけど、もともと表情が豊かじゃないから、人形みたいなかんじ。特に、兄君が亡くなってからはぼんやりしていることも多くなって、奥様たちが心配していたの。


でも兄君が亡くなって、後継にならなくちゃいけなくて大変なんでしょうね。私みたいな平民にはよくわからないわ。




伯爵家にうつったのも、嫌がらせとかじゃないのよ?クビでもないの。

伯爵家の様子や伯爵家のお嬢様のことを時々知らせればいいんですって。


遊びに来ていたお嬢様に懐かれて、妹のようにとても大切にしていらしたからかしらね。




同じように公爵家にいたセドリックさんと一緒に伯爵家にきたんだけど、後からもう1人女の子が公爵家からきてるわ。



基本的には侍女の仕事だから変わらないけれど、伯爵家の様子を定期的に報告したり、異変があったらその都度報告するだけ。お給料も公爵家からもでてるし。



伯爵家の人たちはとてもいい人たちで、私たち使用人にもとってもよくしてくれる。他の貴族の家にあるような、気に入らないからって鞭を振るわれたり、食事を食べられなかったりすることもないの。ちゃんとした部屋があてがわれていて、時々お休みだってもらえるわ。だから全然不満はないのよ。



伯爵夫妻は仮面夫婦ではなくお互いを大事にしているし、お子様たちも素直でいい子たちよ。

特に弟君は一族始まって以来の秀才なんですって。旦那様が投資に失敗してからは、社交界から遠のかれてしまったけれど、弟君が跡を継げば大丈夫だろうって使用人も領民たちも思ってる。



お嬢様も、学園には行けないけれど家庭教師たちが来て、家でたくさん勉強していらっしゃる。弟君ほどではないけれど、やはりかなり優秀だと家庭教師たちが言ってた。


私たち侍女にも優しくて、明るくて素直で、こっそりお菓子を分けてくれたり、お土産をくれたりするお嬢様のことは大好きよ。ぜひ幸せになってほしいと思っているの。


でも、今の経済状況では、お嬢様は社交デビューや同列以上の貴族は厳しいとセドリックさんが言ってた。そんな…



そう思っていたらね、ディミトリアス様がいろいろ考えてくださってるんですって。



最終的にはお嬢様を妻にしたいそうだってセドリックさんから聞いたわ。素敵!見守る恋なのね!



私も2人のためにがんばるわ!!!



そしたら、王太子様の婚約者を決めるパーティーの招待状がきたの。セドリックさんによると、ディミトリアス様がここでお嬢様にプロポーズするって。

これは気合が入るわよね!

ディミトリアス様から、パーティーのための装いは金に糸目をつけないって言われて、公爵家からの使用人たちは持てる能力を全てつぎ込んだわ。



初日はディミトリアス様の髪の色と同じ色の布でドレスを仕立てたの。アクセサリーは真珠で統一。お嬢様、割と普通体型なんだけど、胸は平均より大きめなのよ。羨ましい。貴族の中では胸が大きいより細い方が美人って言われるらしいんだけどね。男の人は胸がある方がいいんじゃない?

ドレスは胸を強調しないように気をつけたデザインを提案した。


ディミトリアス様はニヤニヤしてたってセドリックさんが言ってた。特別ボーナスでて、アンナと2人でランチに行っちゃった!



2日目のお茶会、どうでした?ってお嬢様に聞いたら、王族やら宰相様やらに話しかけられてお菓子の味がわからなかったって言ってたわね。宰相様はすごく綺麗だったのよ!って言ってた。

宰相様って確か…




3日目のダンスパーティーは勝負よ!ドレスはディミトリアス様の瞳の色に合わせて、宝石もエメラルドにしたの。合わせてディミトリアス様のブローチとカフスボタンもオススメしておいたわ。デザインは見えるようで見えないドレス!髪はアップにして、大人のセクシーさを出してみたの。見えるようで見えないのがいいってセドリックさんが言ってたからね!

また特別ボーナスもらっちゃった!!



無事にディミトリアス様はお嬢様にプロポーズしたみたいで、ダンスパーティーの日のうちに、伯爵家のタウンハウスにディミトリアス様のお遣いが来てたの。


旦那様は目が飛び出そうなほど驚いていたわね。

王太子妃になるために行ったのに、なんで宰相と婚約なんてことになってるのかわからないと、目を白黒させてた。

公爵家の縁談は断れないっていって。



そんなこんなで、トントン拍子に結婚が決まって、今お嬢様は花嫁修行のために、毎日公爵家に行ってるの。このあいだの社交デビューでは、会場中を釘付けにしてきたらしいわよ。


花嫁修行って大変みたいで、毎日ぐったりしながらディミトリアス様に送られて帰ってくるわ。


頭が疲れた時には甘いものですよ、って言ったら、「頭が疲れたんじゃないのよ…」って遠い目をしながら言ってた。貴族様は大変ね。



あら、もう行っちゃうの?

また撫でさせてくれる?ご飯も用意しておくからね。

やっぱりお魚が好き?あっ…

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― 新着の感想 ―
[良い点] 可愛いお話でほっこり(*´ω`*)しました! こういうお話が好きです。
[一言] 猫…だな? 猫に話しかけてたな? 猫には、話しかけちゃいますねぇ~☆
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