終幕
「だぁぁぁああ!ユクモ、お前はお菓子食べすぎ!!」
「うっさい、レイジ。俺はお菓子が大好きだから良いの!」
「ダメったらダメだ!お前がお菓子食べるの見てたら腹立ってくるんだよ!」
「ははっ!それはおんしがユクモの莫大なお菓子代を払った事があるからじゃろ?」
「っ、タイガさん!!」
タイガとレイジの言いあいなど気にもせず、ユクモは机の上に置いてあるカゴからチョコを取ろうとした。
…が、その手は誰かに払われた。
「…イってー、何すんだよ。…ウキョウ」
「レイジの言うとおり、お前はさっきから食べすぎだ」
「ちぇ、ケチ」
ウキョウは拗ねてしまったユクモを見て、やれやれと肩を竦めた。
そんなウキョウを見ていたカンナが、悪戯な笑みを浮かべてウキョウを援護する。
「気にしなくても良いんじゃなーい、ウキョウさん?
コイツ、ほんとにガキだからねー?」
「っ、うっさいバカンナ!」
「ばっ、バカンナですってぇ!?」
レイジとタイガに続き、此方まで言い合いになってしまった。
ウキョウは再び肩を落とし、唯一話に加わっていなかった武勇ナンバー2であるタスクに近寄った。
そんなウキョウに気付いたのか、タスクはウキョウを見るなり小さく礼をした。
「…神龍のアジトは、賑やかですね」
「いつもは、もっとマシだがな…。ところで、フウマはどうした?」
「ああ、フウマさんなら其処にいますよ」
タスクは微笑み、窓を指差した。
そこには、窓の外をジッと眺めている風真がいた。
ウキョウはタスクに礼を言うと、そっとフウマに近づいた。
「フウマ様」
「…ああ、ウキョウ。もう、僕に様はいらないよ」
チラリとウキョウに目線を向けると、直ぐに窓の外へと視線を戻したフウマにウキョウは微笑んだ。
「…フウマ、良かったのか」
「…んー、何が?」
「西園寺家を、出て来たんだろう?」
その言葉に、フウマは笑った
「…良いんだ、あの家は僕の事なんて誰も見てなかった。
結局は、みんなシイの事を求めていたんだから。」
「…そうか」
「……だから、これからは僕を見てくれる人達と暮らしていこうと思う。」
フウマの横顔は、何か蟠りが取れた様な顔をしていた。
その姿に、ウキョウも小さく笑みを漏らした。
「…ああ、それが良い。
……これからは、朱殺のトップとして頑張れよ」
「…ありがとう」
朱殺のトップ、そう言われてフウマは照れた様に頷いた。
そう、先日あったあの戦いで、センリはトップを剥奪されたのだ。
そしてトキ、タイガ、レイジの四獣神トップの3人の推薦により、ナンバー2であったフウマがトップに選ばれたのだった。
何より、朱殺のメンバーがフウマをトップに、と頼み込んできたのだ。
「…お前は、もう大丈夫だな」
ウキョウが小さく呟いた瞬間、向こうの方からユクモの絶叫が聞こえた。
「あーーー、もう!!
折角のフウマトップ就任祝賀会だって言うのにさ!
あの二人は、一体いつまでイチャついてるわけ!?」
「あー、ここ最近ゴタついてて二人もやっと落ち着いたんじゃ。
ちょっとくらい見逃してあげんかのぅ」
「本当よ、アンタってばマジでガキね!!」
「なんだと!?」
「なによ!?」
ギャーギャー騒がしいその様子に、ウキョウとフウマは顔を見合わせて笑った。
「…向こう、行くか」
「……うん」
フウマはしっかりとした足取りで、一歩歩き出した。
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「んっ……」
「シイ……」
アジトの一室で、絡み合う身体。
トキは己の下に居るシイに、数え切れない程の口付けを落とす。
頭、額、頬、鼻、そして唇。
首筋には、無数の紅い華が散っている。
「…トキ…っ」
「…シイ、愛してる…」
熱の篭った瞳で見つめられたシイは、ゆっくりと瞳を閉じた。
その瞬間落ちてきた、愛しい人の唇にただ身を任せた…。
「…ねぇ、シイ?」
「…ん、なに?」
真っ白なシーツにくるまり、二人で暖かさを分け合う。
何も身に纏っていないお互いの肌に、相手の温度が浸透する。
そんな中、トキはその胸にシイを閉じ込めて穏やかな表情を浮かべていた。
「俺ね、シイは魔法使いだって思ってたんだ」
「…それ、昔も言ってたよね?」
クスクスとシイは笑うが、トキはただ微笑んで頷くだけ。
「俺、ずっと自分は一人ぼっちなんだって思ってた。ずっと、親からの虐待にも耐えて。ユクモを守って。
これから先も、ずっと一人なんだって思って生きてた。
…だけど、そんな俺の前に現れたのがシイだった。」
トキは、己の腕の中にいるシイをギュッと強く抱きしめた。
シイも、トキを抱きしめ返す。
「シイが現れて、俺の中の全てが変わった。
…シイが居なくなったときは、もうどうなってもいいって思えた。
……だけど、君はまた俺の前に現れてくれた。
何度だって、俺の事を救ってくれる。
…だから、君は魔法使いなんだって、そう思った」
「トキ…」
「だからね、シイ」
トキは少しだけシイから身体を離し、シイを見つめる。
シイもまた、その瞳を受け止める。
「ん?」
「…俺に、魔法を掛けて欲しいんだ」
「ま、ほう?」
「うん、魔法」
それだけ言って、トキはベットの傍に置いてあった小さな箱を手に取り、上半身を起こした。
そして、シイも同じように起こして、見詰め合う。
「…俺に、解けない魔法を掛けて欲しい」
「……どんな、魔法なの?」
シイの笑みに頷き、トキは小さな箱を開けた。
その瞬間、驚きに目を見開いたシイをゆっくりと抱き寄せた。
「俺と、ずっと一緒にいてくれるって。
…そんな、素敵な魔法を掛けて欲しい。」
その箱には、小さくダイヤモンドが輝く指輪が二つ並んであった。
「っ……」
「…ダメ?」
「……ダメ、じゃ、ない…」
涙を流すシイに、トキは囁く様に問いかける。
すると、シイは首を横に振った。
瞳からは、未だに涙があふれ出てきている。
「泣かないで、シイ」
「…これ、は。うれし泣き、だから」
「…そっか」
トキは親指でシイの瞳から流れる涙を拭うと、指輪を手に取りシイの左手を手に取った。
「…愛してる、シイ」
「私も…、愛してる」
ゆっくりと、その薬指に指輪をはめた。
そしてシイもまた、トキに指輪をはめる。
「……もう、離さない」
「うん」
「…俺の、大事なシイ…。」
二人は見つめあい、唇を重ね合いながら再びベットに沈んだ。
「君は、俺の一番大切な人だ」
そう言って、微笑む貴方は。
強く、気高く、そして何よりも愛しい私の龍。
私は、そんな貴方を守り続け、
そして、永遠に愛し続ける。
END
ご愛読有難うございました!




